ユダヤ教|歴史,戒律,律法主義,モーセの十戎

ユダヤ教 Judaism

ユダヤ教は、『日約聖書』(前2C頃)を聖典とするイスラエルの民族宗教である。「旧約」とはイスラエル民族 (ヘブライ人)が神ヤハウェと結んだ契約。このことは選民思想に繋がった。
歴史的には、BC6世紀、のバビロン捕囚後にユダヤ教が成立してユダヤ人と呼ばれるようになる。元は遊牧民族でアラビア半島を遊牧していたが、長きに渡り多民族の支配を受けていた。前13世紀にモーセに率いられてエジプトを脱出し、パレスチナ(カナンの地)に定住して唯一神ヤハウェへの信仰のもとに宗教的な共同体を形成した。苦難を背景に自分たちが存在する拠り所を精神的基盤に求め、神への進行により民族の自覚と結束をはかった。イスラエル人はヤハウェへの信仰を中心に神から授かった立法を遵守し、みずからを神からの救済を約束された「選ばれた民」であると信じた。イエス・キリストの時代の当時、ユダヤ教の終末観と厳格な律法主義 (律法の形式化)からメシア(救世主)が求められた。この背景からイエス・キリストの出現に繋がったとかんがえられる。

ユダヤ教

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目次

ユダヤ教の成立

ユダヤ教は、アラビア半島で遊牧生活を送っていたイスラエル人(ヘブライ人)は、紀元前1500年ごろ、カナン(パレスチナ)に移住し、その一部はエジプトに移住した。エジプト十戒をはじめとする律法を授かり信仰共同体を形成した。
このような苦難の中で、自分たちが存在する拠り所を精神的基盤に求め、神への信仰により民族の自覚と結束をはかろうとした。なお、彼らの苦難の歴史や神への信仰や生活規範、伝説や文学などを記したものが、『聖書(旧約聖書)』である。
前10世紀ごろパレスチナに王国を建設することになる。王国はダヴィデ王、ソロモン王の時代に栄華をむかえたが、北イスラエルと南ユダに分裂し、北イスラエルは前722年にアッシリアによリ滅ぼされ、南ユダは前586年に新バビロニアに攻められ、指導者らはバビロニアに連れ去られた。(バビロン捕囚)。
そのころ、自分たちは神によリ選ばれた民族であるという信念が形成され、選民思想のもつ宗教となる。民族的、宗教的団結を強化する一方で他民族との摩擦を生み出した。

ユダヤ教の年表

  • 前1500ころ イスラエル人がパレスチナに移住。
  • 前1400ごろ イスラエル人がエジプトに移住。その後、集団奴隸となる。
  • 前1250ごろ モーセの指導により、エジプトを脱出。
  • 前1000 イスラエル王国が成立。ダヴィデ、ソロモン王の時代に栄華を極める。
  • 前922ごろ 南ユダ、北イスラエル両王国に分裂。
  • 前722 北イスラエルの滅亡。
  • 前586 南ユダが滅亡(バビロン捕囚)
  • 前538 ペルシャによる解放、このころにユダヤ教が成立。
  • 前250ごろ 『旧約聖書』が形成される。
  • 参考:ユダヤ人の歴史

ユダヤ教の教えとヤハウェYahweh

ユダヤ教は唯一神への絶対的信仰と帰依を基本とする宗教である。ヤハウエー(エホバ)は、天地万物を創造した全知全能の人格神で、人間は神に似せて作られた。神の意志は「律法 (トーラー)」のうちに啓示される。裁きの神、怒りの神であり、ヤハウェは罪深い存在である人間と世界を支配し、裁きを下す。絶対的な掟であり、ヤハウェの立法を守る者には、救済を与え、立法を破れば厳しい罰を与える。そして、それを成し得た時、イスラエルの人々は神から選ばれた民族となり、栄光と繁栄が与えられるとした。

ヤハウェ(ヤーウエ、エホバ)

イスラエル人が信仰の対象としてきた『旧約聖書』における神の名。万物の創造主である、宇宙のすべてを統治している。また、唯一絶対の神として正義と信仰を人々に求める。ユダヤ教は、ヤハウェとイスラエル人との契約の上に成立する。

『聖書』「創世記」からの引用1

初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあ
り、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。
「光あれ。」
こうして、光があった。神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分
け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。タベがあり、朝があった。第一の日である。

天地万物は完成された。第七の日に、神は御自分の仕事を完成され、第
七の日に、神は御自分の仕事を離れ、安息なさった。この日に神はすべて
の創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を神は祝福し、聖別された。

『聖書』「創世記」からの引用2

神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が「はい」と、答えると、神は命じられた。
「あなたの息子、あなたの愛するイサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物とし、てささげなさい。」

神が命じられた場所に沿くと、アブラハムは、そこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを縛って祭壇の薪の上に載せた。そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を葬ろうとした。
そのとき、天から主の御使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。
彼が、「はい」と答えると、御使いは言った。
「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。

律法主義

律法という厳しい規則を遵守する宗教を律法主義という。モーセの十戒を柱とする旧約聖書は、律法(トーラー)の遵守と戒め事に背いた罰として裁きの神の威厳が強調され、今日のユダヤ教に受け継がれている。また、この律法主義に合わせて、戒め事を忠実に守った者が神の救いの対象となるとされる選民思想が生まれることになる。

モーセの十戎

預言者モーセ (前13C頃)を通じてさずけられた唯一絶対神ヤハウェからの十の戒めを、モーセの十戒 (前13C頃) といい、律法の原型となった。

  • わたしはあなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である。
  • あなたはわたしのほかに、なにものをも神としてはならない。
  • あなたは自分のために、刻んだ像を造ってはならない。
  • あなたは、あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
  • 安息日を覚えて、これを聖とせよ。… 7日目はあなたの神、主の安息であるからなんのわざもしてはならない。
  • あなたの父と母を敬え。
  • あなたは殺してはならない。
  • あなたは姦浮してはならない。
  • あなたは盗んではならない。
  • 隣人をおとしいれる偽りの証言をしてはならない。
  • あなたは隣人の家をむさぼってはならない。
  • (「旧約聖書」「出エジプト記」)

『旧約聖書』

『旧約聖書』とは、ユダヤ教とキリスト教における聖典。モーセ五書(「創世記」、「出エジプト記」、「レビ記」、「民数記」、「申命記」)、預言書(「イザヤ書」「エレミヤ書」「エゼキエル書」など)、諸書(「詩編」、「ヨブ記」など)の3部からなる。なお、「旧約」という呼び方はキリスト教の見方による。キリスト教が出現する前の、イスラエル人と唯一神ヤハウェとの契約であり、イエスによる新しい契約(新約)に対してのふるい契約(旧約)という意味である。

ユダヤ教

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選民思想

選民思想とは、特定の民族が神から選ばれて、律法を課される一方で恩恵を受け、救済を約束されている「選ばれた民」であるとする考え方。選民思想のもつ宗教は強い団結と民族の自覚を培う一方、他の民族や宗教と摩擦を生み出し、このことにより必然的に世界宗教とはならなかった。
ユダヤ教では、イスラエル人がヤハウェの選民であると考えられている。息子であるイサクを生贄として要求する神に対して、アブラハムは苦悩の末、モリヤ山に登った。父と山登りをすることを無邪気に喜ぶイサクに対し、アブラハムは、イサクの手足を縛り、祭壇の上に置き、小刀をもって喉をかき切ろうとした。神の声のために、その時、イサクのかわりに雄羊を神にささげたが、神は、アブラハムの信仰を大いに祝福し、この時、イスラエル人は神に選ばれた民族となった。

預言者

神によって選ばれ、神の啓示を民衆に伝える者のこと。イスラエルが滅亡の危機にさらされた前8~6世紀に登場し活躍した。イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、第二イザヤ、ダニエルらが代表的人物である。

契約

『旧約聖書』においてはヤハウェとイスラエル人とにかわされた歴史的・宗教的な契約を指し、神からの律法を守リ、服従する関係をいう。

メシア

メシアは救世主・救済者を意味する。ヘブライ語。王に就く儀式から「油を注がれた者」の意味で、異民族からイスラエルを救う王のことである。なお、ギリシア語で書かれた『新約聖書』では、キリスト(ristos)という。
前6世紀のバビロン捕囚のころ、預言者たちはイスラエルの人々が信仰を取リ戻した時、メシアが出現すると説いた。キリストはギリシャ語で救世主の意味であリ、キリスト教ではイエス=キリスト自身を指し、現実の王ではなく、すべての人間を罪から救う内面の救い主のことである。

安息日

ユダヤ教で認められた安息日は労働はもちろん、生活一般のものでもあった。耕す、種をまく、借り入れする、脱穀する、粉をひく、こねる、パンを焼く、羊の毛を刈る、糸を紡ぐ、染める、織る、糸と糸を結ぶ、結びを解く、縫う、狩りをする、切る、書く、消す、建てる、壊す、火をつける、火を消す。特に現代では、自動車の運転やテレビを見ることさえ禁止される。

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