イエス・キリスト|キリスト教の創始者

イエス・キリスト Jesus Christos B.C.4-~ A.D.30

キリスト教の開祖。パレスチナに生まれ、大工ヨゼフの婚約者マリアが精霊によって身ごもって生んだ。(『新約聖書』の福音書による)30歳の頃バプテスマのヨハネから洗礼を受け、やがて神の子と自覚を高めながら、弟子たちを連れて、宗教活動を行った。戒律の厳しいユダヤ教の律法主義に批判して律法に込められた神の愛を実践することを説いた。イエスの教えはユダヤ教で虐げられた人たちを中心に民衆から支持を得たが、イエスをメシア(救世主)とはみとめないユダヤ教の宗教家は神を冒涜するものとして訴えた。やがてイエスは裁かれて十字架にかけられ刑死したが、三日後に復活したことを信じる人々によって、イエスこそ救世主キリストであるという信仰が生まれ、キリスト教が成立した。

イエス・キリスト

イエス・キリスト

新約聖書

新約聖書における「新約」とは、「神の子」イエスを仲介者とする神と全人類との契約である。

神の愛(アガペー)

無差別に行われる、無償の神の愛。人間の罪を赦し救う絶対的愛。神に抗うものでさえも救う神の愛で、見返りとしての神に背いた罪人である人間をも救う無償の愛である。

隣人愛

神の愛(アガペー)に生かされた人間は、その愛に答えるために神の愛にならっておのれの的をも含めて、すべての人を平等に愛するべきである。隣人愛は人生で出会った人の呼びかけに応じて、救いの手を差し伸べ、その愛によってすべての人をみずからの“隣人”へと変えていく。無償の愛を与えつづけるなければならない。

「新約聖書」「マタイによる福音書」

「目には目を、歯には歯を」といわれていたことは、あなた方の聞いているところである。しかし、私はあなたがたにいう。悪人に手向かうな。もし、誰かがあなたの右の頬を打つなら、ほか頬をも向けてやりなさい。あなたを訴えて、下着を取ろうとするものには、上着をもあたえなさい。もし、誰かが、あなたを強いて1マイル行かせようとするなら、その人とともに2マイル行きなさい。求めるものには与え、借りようとするものを断わるな。「隣人を愛し、敵を憎め」といわれていたことは、あなた方の聞いているところである。しかし、わたしはあなた方にいう。敵を愛し迫害するものたちのために祈れ。こうして、天にいますあなた方の父の子となるためである。天の父は、悪い者の上にも善い者の上にも、太陽を昇らせ、正しいものにも正しくないものにも、雨を降らせてくださるからである。あなた方は自分の愛するものを愛したからとて、なんの報いがあるだろうか。そのようなことは取税人でもすることではないか。兄弟だけに挨拶したからとて、なんのすぐれたことをしているだろうか。そのようなことは、異邦人でもしているではないか。それだから、あなた方の天の父が完全であられるように、あなた方も完全なものをとりなさい。

ユダヤ教批判

イエス・キリストは、ユダヤ教の律法至上主義への批判 (律法の内面化)を強める。「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるのではない」。形式化した律法の違反した者をさばく「裁きの神」から、違反したといえども無償の愛を与える「愛の神」への転換を行う。神の愛にならい、神への愛(信仰)と、敵を含めあらゆる人を愛すること(隣人愛)が、もっとも大切であると説いた。

福音

福音とは、 喜ばしき知らせ、よき音信 (福音) の宣べ伝えという意味である。キリスト教では、イエスがもたらした神の国の到来や救いについての教えや、イエス自身の生涯や言葉を指す。「時は満ちた、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」。(参考:福音主義

カエサルのものはカエサルに、神のものは神にかえせ

ユダヤの大半はローマ帝国の属州となり、ローマ皇帝への税金を納めるべきか、とのパリサイ派の問いに対してイエスは「カエサルのものはカエサルに、神のものは神にかえせ」と答えた。

イエスの死

イエスの死

イエスの死

ユダヤ教の宗教家の反感をかい、十字架上での死刑にかけられる。死刑により人類の積みを贖い、その三日後にイエス・キリストが復活すると信じる者たちによって、イエスこそキリスト (救世主)であるとされる。キリストの死後、ペテロを中心に信徒の集団が形成され、これがキリスト教の誕生といえる。

『新約聖書』 マタイによる福音書1

こころの貧しい人たちは、さいわいである。天国は彼らのものである。悲しんでいる人たちは、さいわいである。彼らは慰められるであろう。柔和な人たちは、さいわいである。彼らは地を受け継ぐであろう。義に飢えかわいている人たちは、さいわいである。彼らは飽き足りるようになるであろう。あわれみ深い人たちは、さいわいである。彼らはあわれみを受けるであろう。こころの清い人たちは、さいわいである。彼らは神をみるであろう。平和をつくり出す人たちは、さいわいである。彼らは神の子と呼ばれるであろう。義のために迫害されてきた人たちは、さいわいである。天国は彼らのものである。

『新約聖書』ルカによる福音書2

するとそこへ、律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った。「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましようか」。彼に言われた、「律法には何と書いてあるか。あなたはどう読むか」。彼は答えて言った、「『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主 なるあなたの神を愛せよ」。また、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」とあ ります」。彼に言われた、「あなたの答えは正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られるよ。

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