止めねじ|機械部品の回転や滑りをとめるためのねじ

止めねじ set screw/grub screw

止めねじとは、セットビスとも呼ばれ、主に部品同士の回転や位置ずれを防止する目的で用いられる小ねじの一種である。機械部品の回転や滑りをとめるため、ねじを押し込んで部品を固定するねじである。通常はねじ頭を持たず、ねじ全体が円筒状となっており、部品の表面から突き出さずに固定できることが特徴である。とハブのような回転体同士の固定、あるいは位置決めなどの用途に広く利用されており、産業用機械や精密機器、電子機器などでも頻繁に見られる。

ねじ頭

頭の形状はすりわり付き、六角穴付き、四角頭、きざみ付きなどがあり、ねじ先の形状は平先、とがり先、棒先、くぼみ先などがある。

構造と形状の特徴

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止めねじは、全長にわたりねじ山が切られており、頭部がないため、部品に埋め込まれる形で使用される。ねじの先端部にはいくつかの種類があり、主に「平先」「とがり先」「棒先」「くぼみ先」などがある。これらは使用目的や接触する部品の素材・形状に応じて選ばれる。また、ドライバで回すための溝は六角穴(六角レンチ用)が一般的である。

先端形状

平先:の変形が起こりにくく再位置決めに使われる。
とがり先:シャフトや調整ねじに使われる。とがり先を利用して位置決めに使われる。
棒先:位置決め(固定)に使われる。
くぼみ先:カラー、プーリー、歯車軸受などに使われる。

六角穴付き止めねじ

使用目的と働き

止めねじの主たる目的は、回転する部品同士を軸方向にずれないように固定することである。たとえば、モーター歯車やプーリを連結する際、軸にあけたフラット面(キーやディンプル)にねじ先端を押し付けて、部品の動きを安定化させる。また、仮止めや調整用として、ばねや部品の当たり位置を制御するケースにも用いられる。

材料と表面処理

止めねじには、主に炭素鋼(SCM435など)やステンレス鋼SUS304SUS410)などが使われる。耐腐食性や強度が求められる用途では、表面に黒染め亜鉛メッキニッケルメッキ、無電解ニッケル処理などが施される。特に電子機器や医療機器などで錆や磁性の影響を避けたい場合には非磁性ステンレスが選ばれる。

締結方法と注意点

止めねじは、部品のタップ穴(めねじ)に直接ねじ込んで使用される。十分なトルクで締め付けることで安定した固定が得られるが、過大なトルクをかけると、ねじの先端が変形したり、相手材を傷つけるおそれがある。また、振動や熱変化による緩みを防止するために、ねじロック剤の併用やダブル止めねじ構造が採られることもある。

止めねじの代表的な使用例

  • モーターとシャフトの接続部の固定
  • 軸受の位置決め
  • カムやローラーの位置保持
  • 電子部品の微調整と固定
  • 機械内部のストッパー機構

規格と標準

止めねじJIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)で規格化されている。JIS B 1177では六角穴付き止めねじの寸法・ねじの種類・先端形状などが定義されており、工業製品の互換性や部品調達の標準化に寄与している。また、インチねじ(UNC、UNF)タイプの止めねじも機械装置や輸入品において使用される。

産業界における重要性

止めねじは、部品を簡単かつ強固に固定できる利便性から、産業用ロボット、搬送装置、工作機械、医療機器、電子機器など多岐にわたる分野で不可欠な要素部品となっている。精密な動作が要求される機構では、部品の位置決め精度を確保するためにも重要であり、製品全体の品質や耐久性に大きく関与する。

その他の固定手段との比較

止めねじは、キーピン、圧入、接着などと並ぶ固定手段の一つであるが、特に繰り返しの取り外しが必要な機構や、部品に大きな損傷を与えたくない用途に適している。一方で、高トルクの伝達には不向きであり、必要に応じて他の手段との併用が望ましい。

選定における留意点

部品の材質、使用環境、繰返し回数、要求精度などを考慮して止めねじの種類や材質を選定することが求められる。特に振動や衝撃が多い環境では、ねじの緩み対策や、相手部品への損傷防止策を講じることが重要である。

設計・保守の視点から

止めねじは、簡易な構造であるがゆえに、設計段階での位置決めや、保守時の再締結のしやすさにも配慮すべきである。特にメンテナンス性や交換性を高めるためには、適切な工具が差し込めるように十分なスペースを確保することが重要である。