キー(マシンキー)|軸と歯車、プーリー、軸継手を締結する

キー

キー(マシンキー)とは、歯車、プーリ、軸継手などを締結してを伝達するための機械要素である。にキー溝、歯車キーを作り、キー溝(keyway)にキー差し込む構造である。シンプルな形状で取り外ししやすく、分解や組み立ての際の位置決め用として使われることも多い。キーの入る溝をキー溝という。参考こう配キー用のキー溝の形状および寸法 平行キー用のキー溝の形状および寸法

キーの材料

キーの材料は、一般に引張強さ600MPa以上の炭素鋼などを用い、せん断応力30~40MPaを選ぶとよい。

キーの種類

JISには、沈みキー(平行キー、こう配キー)、半月キー(丸底、平底)、すべりキーが規定されている。

キーの呼び方

キーの呼び方は下記のフォーマットで記される。

キーの呼び方

キーの種類 記号
ねじ用穴なし平行キー P
ねじ用穴付き平行キー PS
頭なしこう配キー T
頭付きこう配キー TG
丸底平面キー WA
平底半月キー WB

キーの端部形状

キーの端部形状

沈みキー

沈みキーは、とボスの両方にキー溝を設け、そこにはめ込むことではめあいを固定する仕組みになっている。動力をに確実に伝えることができるため、伝達トルクが大きく最も一般的に使用されている。上下の面が平行な平行キー、上面に1/100のこう配キーおよび頭付きこう配キーがある。高速回転・高荷重に適している。

平行キー(ねじ用穴付き・ねじ用穴なし)

ねじ用穴なしの平行キーは、とハブに共通のキー溝を設け、キーをこの溝にはめ込むことで取り付ける。工作が簡単なため幅広く用いられる。ねじ用穴付きの平行キーについては、ハブを軸方向に滑らせるときに用いる。並級は、粗いキーをのキー溝にすきまばめではめ込み、ハブをはめこむ。精級は、キーをのキー溝に中間ばめではめておき、ハブをはめ込む。 参考 平行キー用のキー溝の形状および寸法

平行キー1

キーの長さ

キーの長さの目安はの直径の1.5倍である。

こう配キー(頭なし、頭付き)

こう配キーは、のキー溝は軸心に平行にしたものを設け、ハブのキー溝をキーのこう配(1/100)にあわせる。こう配がついているため、平行キーより強く固定される。その他、軸・ハブのキー溝のどちらも平行で、キーにこう配がついているものもある。頭付きのものは、取り外しができる。参考こう配キー用のキー溝の形状および寸法

頭付きこう配キー

半月キー(丸底、平底)

半月キーとは、半円形状のキーを用い、その形状にともない、軸側のキー溝が加工されている。キー溝の加工は容易であるが、キー溝が深くなるため、軸が弱くなり、低荷重にしか使えない。主にテーパ軸に使用され、丸底(WA)と平底(WB)の2種類の形状がある。キーの傾きが自動的に調整されるので円すい軸端などに使用される。また、キーの幅や長さは軸の直径に応じてJISで規定されている。

半月キー

すべりキー

すべりキー(フェザーキー・滑動形)は沈みキーの一種で、主にクラッチや変速歯車装置に使われる。キーをやボスにボルトで固定して、軸方向に動くときによういられる。(ボルト用の穴のほか、抜きねじ用の穴を設けるとよい。)ボスを軸方向に動かすため、ともがね(同素材同士の摩擦による摩耗)を回避する必要があり、キーの材質は非鉄金属などボスと異なる材質を用いる。

キーとキー溝のはめあい

キーをはめ込む溝を、キー溝といい、に取り付けられる部品をボスと呼ぶ。キー本体の幅の寸法許容差はh9と規定されており、キーおよびハブのキー溝の寸法許容差を選択することで、滑動形、普通形、締込み形の三種類がある。

滑動形

滑動形は、とハブとが相対的に軸方向に滑動できる結合である。平行キーに適用される。

普通形

普通形は、に固定されたキーにハブをはめ込む結合である。平行キー、半月キーに適用される。

締込み形

締込み形は、に固定されたキーにハブを締め込む結合、または組付けられたとハブとの間にキーを打ち込む結合である。平行キー、こう配キー、半月キーが適用される。

キーの取り付け方

キーは次のような方法で取り付けることができる。クラキー、平キー、接線キー、打込キー、植込みキー、半月キーなどがある。

くらキー

くらキーとは、ボス側にキー溝を加工し、軸にキー溝を加工する必要がない方法である。キーを加工しないため軸の強さは維持できる。固定は、摩擦力のみの利用のため、大きなトルクがかかる場所では使えない。

平キー

平キーとは、軸の面をキーの幅だけ平らに加工し、ボス側にキー溝を加工する方法である。を加工するため、くらキーより強いトルクに耐えられるが、軸の強さは弱くなる。

接線キー

接線キーとは、こう配を付けた2本のキーを、こう配を逆に向かい合わせて両側から打ち込むキーである。大きな負荷に耐えられ、ゆるみ発生しにくい。

打込みキー

打ち込みキーとは、軸側とボス側にキー溝を加工し、こう配キーを打ち込んで固定する方法である。

植込みキー

植込みキーとは、軸側にキーがはまるようにキー溝を加工し、キーを植え込んだ状態でボスをはめる方法である。

半月キー

半月キーとは、半月キーを用いて、軸側にキー溝を作り、滑べらすように半月キーを入れる方法である。キーの傾きが調整しながら入っていく。

はめあい

軸側 穴側
滑動形 H9 D10
普通形 N9 Js9
締込み形 P9 P9

軸径と強度

キーの大きさは軸径によって決まり、軸径が大きくなるとキーも大きくなる。せんだん力がかかるため、せんだん力に耐えうる大きさを設定しなければならない。また、キーの側面には圧縮力がかかる。

キーにかかる力とトルク

許容せん断応力 キー溝に作用する圧縮応力

許容圧縮応力

キーレス

軸に歯車やプーリを固定する方法として、キーレス、つまりキーを使わない摩擦ロック方式がある。丸軸のままでテーパリングを締め込む方法で、負荷が大きければ2重、3重にする。バックラッシュもなく、分解も容易いである。

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