SUS410(13Crステンレス鋼)
SUS410は、13%のクロムを含むマルテンサイト系ステンレス鋼で、主に高い強度と硬度、適度な耐食性を持つことが特徴である。このステンレス鋼は、焼入れ・焼戻しによる熱処理で硬度を調整できるため、刃物やバルブ部品、シャフトなど、強度と耐久性が求められる用途で広く使用されている。SUS410は耐摩耗性と機械的強度を兼ね備えた材料であり、同時に耐食性もある程度持つため、産業機械から一般消費財まで幅広い分野で活躍している。
SUS410の成分と特徴
SUS410は、約13%のクロム(Cr)を主成分とし、少量の炭素(C)を含むことで高い硬度を実現している。クロムの添加により、酸化防止膜が形成され、腐食に対して一定の耐性を持つ。炭素含有量により、熱処理を施すことで硬度と強度を調整できるのがSUS410の特徴である。これにより、機械的強度と耐摩耗性が求められる用途に適している。一方、オーステナイト系のステンレス鋼に比べると耐食性は劣るため、使用環境に応じて表面処理が必要となることもある。
用途と応用分野
SUS410は、その硬度と強度を活かして、多くの分野で利用されている。代表的な用途としては、刃物、ナイフ、バルブ部品、ポンプのシャフト、タービンブレードなどが挙げられる。また、自動車のエンジン部品や排気系部品にも使われており、これらの部品では高温下での強度と耐摩耗性が重要である。SUS410は、熱処理によって硬度を調整し、製品ごとの仕様に合わせた特性を提供することができるため、特に耐久性が求められる場面で重宝されている。
DEDA ELEMENTI
Disc brake rotor 160/140mm入荷しました。フローター機構付きで安定したブレーキングを発揮する高性能ディスクローターです。
サイズ:160/140mm
重量:110g(140mm)、130g(160mm)
素材:Japan SUS-410 (アウターディスク)
7075アルミニウム (スパイダー)
厚み:1.8mm… pic.twitter.com/MzZFx2ewCI— Limbo-cycling (@Limbo_cycling) October 3, 2024
熱処理と機械的特性
SUS410の機械的特性は、熱処理により大きく変化する。焼入れを行うと、鋼材は非常に高い硬度を持つようになり、耐摩耗性が向上する。続いて焼戻しを行うことで、硬度を調整し、靭性と耐久性を最適化することができる。このように、用途に応じて硬度を自由に変化させることができる点がSUS410の大きな特徴である。また、マルテンサイト系の特性として、磁性を持つため、磁気応答が求められる特殊な用途にも適している。
Absolute mujahid DeBoer XM-2F9. 0.187 dia, ran full engagement slotting 0.125 depth in 410 SUS 400 feet of toolpath length. That's 112 cubic inches of material removed and this guy is fine, could do another order. They knocked it out of the park with the XM5 mills pic.twitter.com/q57dnVxR6r
— muhasaba needer (@muhasaba_needer) November 6, 2024
SUS410のメリット
SUS410のメリットは、その優れた硬度と耐摩耗性にある。特に、焼入れ・焼戻しによる熱処理を施すことで、高い硬度と靭性を得ることができ、耐久性が重要視される機械部品に最適である。さらに、クロムの添加により、酸化を防ぐ保護膜が形成され、適度な耐食性も確保されている。このため、腐食性のある環境下でもある程度の耐久性を発揮することができる。また、加工が容易であることから、複雑な形状の部品の製造にも対応可能であり、幅広い用途で使用されている。
そういう用途であればオーステナイト系ステンレスのSUS304等は非磁性なので、フェライト系のSUS430(安い)とかマルテンサイト系のSUS410(もちっと安い)など400番台のステンレスを選びましょう。 https://t.co/16TJBhYd6h
— F.S (@firststar201011) April 6, 2024
課題と注意点
SUS410にはいくつかの課題もある。まず、オーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304)と比較すると、耐食性が劣るため、特に塩分を含む環境や酸性環境での使用には注意が必要である。こうした環境では、表面処理や防食コーティングが必要になることが多い。また、高硬度を持つ一方で、靭性が低下することがあり、特に衝撃に弱いという欠点がある。加工後の熱処理条件を適切に管理しないと、所望の機械的特性を得られないことがあるため、製造工程での品質管理が非常に重要である。