カム|回転運動を順道説の往復運動に変換する

カム

カムは、回転軸に取付けて使用される機械要素である。基本的な働きは、原動節であるカムの回転運動を順道説の往復運動に変換することで、運動の方向・種類を変える目的で用いられる。簡単な構造で、複雑な運動・変化を与えることができるため、カムの利用範囲は広く、様々な機械の中で使われている。ガソリンエンジンの吸排気バルブの開閉から生まれる直線運動を、回転運動に変換するなどで使用される。19世紀後半に普及した自動盤がきっかけに広く知られることとなった。

カムの特徴

  • 回転運動を直線運動に変える
  • 拘束性に優れている
  • 位置決め精度に優れいている
  • 運動が安定的で再現性に優れている
  • 部品数が少なく、信頼性や保守性に優れている
  • 微調整ができず運動を変更するためにはカムを作り直す必要がある

カム機構

カムを用いた機構をカム機構という。カム機構は原動節として特定の輪郭曲線をもつカムとこれに接触する従動節、およびこれらの節を回り対偶または進み対偶で支える静止節からなっている。カム機構は、カムを一定速度で回転させ、従動節に往復直線運動または揺動運動を行わせることが多い。(対偶

カムの構造

カムの回転軸側を原動節と呼び、その形状・輪郭により、相手の従動節(接触する棒のように動きを受けるもの)に周期的な運動や変化を与える。また、それら原動節・従動節を支えるフレームで成立している。

接触子

カムの運動と従動節の接触する部分を接触子という。摩擦の大きな順に平端、尖端、円端の三種類がある。接触子は重力の作用を利用して下へ移動する。高速回転をするカムでは接触子が離れるリスクがあるため、接触部分にばねを用いる、カムの軌道面を溝やリブにはめ込むなどの工夫がされている。

カムの種類

カムには、輪郭曲線が平面曲線である平面カムと空間曲線である立体カムがある。

平面カム

平面カムは、二次元的な空間で平面的なカムで、板状の原動節の回転運動が従動節の直線運動に変える働きを持つ。板カムがその代表で、従動節の運動に応じた輪郭をもつ回転板をカムとしたものである。板カムが回転すると従動節が往復運動を行い、従動節は揺動運動をする。カムが回転運動する円板カム・卵形カム、カムに堀った溝に沿って動く正面カム、カムが直進運動する直動カム、従動節の溝に沿って動く反対カムがある。

立体カム

立体カムは、三次的な空間で立体的なカムで、円筒形や円すい形の原動節に溝をつけ、従動節の運動を規定するものなどがあり、複雑な運動を繰り返し行うことができる。円筒形や円すい形、たる形などがあり、これらを組み合わせることで複雑な形を実現することができる。円筒の外周溝に沿って動く円筒カム、円筒の端面にそって動くカムを端面カムという。

カム線図

カム線図とは、カムの運動と従動節の運動を線図に表したもので、時間と変位の関係を数理的に解析することを目的としている。カム線図は横軸をカムの回転角や時間などとし、縦軸をカムの回転角や変位、速度、加速度とする。縦軸に対して、従動節の変位とする場合を変位線図、速度とする場合を変位図、加速度とする場合を加速度線図とがある。(下記の図は等速運動のカム線図の例である。)ハートの形になっていることからハートカムとも呼ばれる。

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