バリ取り|不要な突起や鋭利なエッジの除去

バリ取り deburring

バリとは金属プラスチックを加工する際に生じる残留物(不要な突起や鋭利なエッジ)のことで、それを除去する工程をバリ取り(deburring)という。加工で発生した残留物が2つの面の交わるエッジ (角)に付着したものである。多くの加工方法では、バリが発生するため、バリ取りを行う必要がある。

バリの発生とバリ取り

バリは機械加工、鋳造、プレス加工、射出成形などさまざまな製造プロセスで発生し、そのまま放置すると製品の外観や機能に悪影響を及ぼすだけでなくケガの原因となる。加工の基本として必ずバリ取りを行う。

切削加工のバリ

旋盤フライス盤、ボール盤などの切削加工には必ずバリが発生する。バリの特徴は鋭利なエッジや微細な突起である。切削加工では、部材に刃物が部材あたると、弾性変形(元に戻る変形)が起こり、次に塑性変形(元に戻らない変形)し、最後に破断する原理によって加工が行われる。加工面には常にこのような塑性変形が起こっており、 加工面の最終端にはみだしたものがパリとして残る。加工バリ少なくするため、鋭利な工具を使用すること、送り量と切込み量を小さくすること、 加工の最終端にダミーの材料を当てるなどの対応が見込まれる。

プレス加工のバリ

プレス機によるプレス加工を行うと、金属板を打ち抜く際にせん断面に沿って鋭利なバリが生じる。加工機のパンチが部材に食い込むと部材の入り口の面にだれが発生し、出口にはバリが発生する。パンチとダイのクリアランスと呼ばれる隙間がバリを生じる原因となるが、隙間は小さくとも大きすぎてもよくなく適切な隙間が求められる。

鋳造・射出成形・鍛造のバリ

鋳造・射出成形・鍛造は金型で成形するか加工方法であるが、この金型を合わせた際のクリアランス(隙間)に流れた材料にパーティングラインと呼ばれる薄いバリが発生する。金型の合わせ面や抜き方向に沿ってのズレや金型の変形や摩耗が主原因として発生するため、設計の段階で問題のない位置に設計する。また、鍛造では押し当てた金型からはみ出したところがバリとして出る。

バリの問題点

バリはケガの原因、寸法精度、組立精度の悪化、相手部材のキズ、故障や摩耗の原因となる。特に機械の組み立て時では、狭いところに手を入れるためケガの原因となりやすい。また部品そのものが正確な精度で加工されたとしても、バリの原因として組み立て時に精度が悪化したり、特に軸部分や特に摺動部に混入するとこじれや故障、大きな事故につながる。

バリの除去

バリの除去には下記の種類がある。ただし、バリだけを除去することは難しく、部品そのものを削る必要がある。バリの除去はドリルでC面をとる場合もあるが、手作業で行うことも多く、バリを除去した後の形状は、必ずしも精度の高いC面にはならない。一般的には㎜単位でC面取りを行うが、特に指示がない場合は、C0.1~0.3mmくらいでとる。 (これを糸面取りという。)

バリ除去に使用する工具

バリを除去する工具は下記のようなものがある。

手作業の工具

手作業の専用工具として、スクレーパやバリ取りブラシなど多くの種類が市販されている。外形のバリだけでなく、穴の内部のバリ取りにも対応可能である。また仕上げ加工用のやすりや砥石、オイルストーンなどもバリ取りに使われている。ドリル加工やねじ加工の穴あけの後のバリ取りは、大きめのドリルを穴のエッジ部にあてて手で回すことで除去できる。

回転工具

作業効率を上げるための回転工具として、研削盤、サンダー、エアグラインダがある。 高い精度と効率を実現できるため、大量生産に適している。

バレル研磨

バレル研磨で、パリ取りを行う。研磨槽に工作物と一緒に砥粒を投入して回転させる研磨方法で、一度に大量にバリを除去することができる。

化学的バリ取り

化学的バリ取りは、化学薬品を用いてバリを溶解させる研磨方法である。化学薬品は液体のため、筒状や多くの穴が複雑な形状の製品や微細なバリを除去することができるが、コストが高い。

電解バリ取り

電解バリ取りは、電解液中に部材を入れ、そこに電流を流してバリを溶解させる方法である。複雑な形状にも適応でき、高精度な仕上げが可能で、精密機械部品のバリ取りに適している。

図面の指示

図面には注記に「バリなきこと」「糸面取り(C0.3/R0.3)のこと」などと記載する。

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