図面(機械)|図面の基本とプロセス

図面

図面とは、土木・建築・機械などの構造・設計などを明らかにするための設計図である。対象物を平面上に図示するもので、設計製図者・製作者の間、発注者・受注者の間などで、必要な情報を伝えるための手段として使用される。図面は、JIS規格(国内)やISO規格(国際)に準じて規則正しく描かれ、2次元図面、3次元図面が使用される。特に会社間では図図面は契約書と同様の扱いとなり、注意をしなければならない。

図面の目的

図面の目的には、物を作るための情報ではあるが、そこには、第三者への伝達、情報の保存、技術の継承の三点がある。物を作るために必要な情報のすべてが込められており、言語の翻訳さえすれば世界中のどこでも伝えることができる。

図面の目的 1.第三者への伝達

図面は、第三者に情報を伝えることを目的とする。図面の設計者は、決められた規格や所定の様式に従って製品の形状、色、寸法、材料、処理、仕上げの程度、工程、質量などの情報をすべて図面に明記する必要がある。規格はJIS規格やISOを参考にするが、社内規格や社内慣習に従うべきものが多い。読みやすく簡潔に書く必要がある。

図面の目的 2.情報の保存

図面は、モノを製造する上で、数年後も同様のモノを同じように作成できるよう、情報を保存する目的がある。またモノそのものの情報だけでなく、誰が作成したか、いつ作成したか、またはその過程(どこで間違えたか、なぜこのような形状にしたか)などが保存される。また、情報を持つが故に相応の機密性をもち、多くの会社では、社外秘として取り扱いは厳重に管理される。図面の内容を変更したときは、変更箇所に適当な記号を付記し、変更前の図形、寸法などは適切に保存する。この場合、変更の日付け、理由などを明記する。

図面の目的 3.技術の継承

図面はその企業の技術を凝縮した技術資料でもある。図面による製品の補修部品供給用などに保存するだけでなく、将来の改良や新設計の最も有用な設計情報として、検索・利用できる環境に置かなければならない。

製図

製図とは図面を作成することである。製図は、企画・構想の段階を経て設計され、計画図、細部の部品図、組立図を作成する。部品図や組立図が作成されると、計画図は不必要なものとなるが、技術資料として保存される。部品図や組立図は後の工程に流され、組み立てが進められる。このように後工程にも大きな影響を与えるので、製図者は、設計者の意図を正確に、完全に描き表すとともに、見る者の立場にたって製図しなければならない。

物作りの工程

  1. 企画
  2. 構想
  3. 設計:図面を書く工程
  4. 部品加工:図面を読む工程
  5. 組立:図面を読む工程
  6. 調整:図面を読む工程
  7. 検査:図面を読む工程
  8. 販売:図面を読む工程

図面の種類

図面には様残な種類があるが、ここでは計画図、部品図、それを組み立てる組立図を紹介する。

計画図

計画図は、構造、形状、寸法、材質を熟考しながら描く設計用の図面である。

部品図

部品図とは、部品個々の情報が描かれた制作用の図面である。通常、部品1点につき部品図は1枚で描かれる。

組立図

組立図は、部品をどのように組み立てるかを支持した作成用の図面である。

検図

検図とは、図面に誤りが無いかどうかを確認する工程である。計画図面では、モノの仕様の確認や予算・コスト面の確認する。部品図や組立図では、寸法モレや記入ミスといった図面作成上の問題があるかどうかを確認する。

CAD

かっては手書き製図が主流であったが、近年は、CADソフトを使っての製図が主流である。CADとはComputer Aided Designをいい、コンピュータ支援ソフトである。2次元CADは、AutoCAD(有料)、Draftsight(無料)、Jw_cad(無料)、3次元CADでは、SolidWorks、CATIA、Fusion 360、Tinkercad、Creo Elements/Direct Modeling Express 6.0があげられる。さらに解析やシュミレーション、プレゼンテーションなど、図面の利用に限らず、幅広い分野で取り入れられている。

JIS規格

JIS規格(日本工業規格)とは、国家規格のことで、JIS規格で定められた規格に準じて図面は作成される。JIS規格に適応している限りで、図面は同一性、互換性が担保される。近年、JIS規格は国際規格ISOに近づいている。

図面に必要な情報

図面必要な情報を下記で示す。

図面の向き

図面の向きは、上下の設定は、実際に使われる向きで設定される。例外は、軸形状の場合で、旋盤での材料の加工の向きに準じる。

必要知識

  • 製図用紙の大きさ(AO、A1、A2、A3、A4)
  • 尺度(縮尺、現尺、倍尺)
  • 文字(漢字で4種類、かな・ローマ字・数字で5種類)
  • 線(実線・破線・一点鎖線・二点鎖線)と(外形線、かくれ線、切断線、中心線、重心線、寸法補助線)
  • 投影法・投影図(正面図・平面図・側面図)
  • 第三角法
  • 数学・関数

線の太さは標準数値(0.13~2㎜)に決まられており、一般に、細線:太線:極太線の太さの比率は1:2:4である。

文字

図面に使われる文字は漢字とカタカナ(全角)が基本となる。注記は自由に記入して確実に情報を表現する。縦4㎜、横3㎜が基本。

照合番号

図面は照合番号によって管理され、通常はアラビア数字を用いる。組立図の中の部品に対して、別に製作図がある場合には、照合番号に代えて、その図面番号を記入する。

表題欄

図面において、図以外の付属情報を書く欄を表題欄といい、通常は図面の右下に記載される。技術情報(使用する材料表面処理、熱処理)、画面作成面、設計者名、承認者名、図面の管理番号などが記される。また、会社名、図面番号、図面名称、尺度、設計者名、承認者名、部品名称、材質、表面処理、個数、備考欄などがある。

図面の変更の記録

図面が完成したあとに図面内容を変更することがある。技術的な対応などで材質を変更する場合や文字や記号の記載する場合など情報を保存していく。この際は、図面を変更するには、変更箇所に上書き線を引くことで、変更前の情報を残しておく。また表題欄には変更の記載をしておく。

機密

図面は秘密保持契約を結ばれていることも多く、流通させては危険がともなうため、注記や「Confidential」や「社外秘」などの記載を行う。会社ごとにルールが決め荒れている。

タイトルとURLをコピーしました