レイノルズ数|流れの重力に対する慣性力の割合

レイノルズ数

レイノルズ数とは、流体力学に重要な数値で、流れの重力に対する慣性力の割合を示す無次元量と定義される。流体の流れの状況を比較することを目的としていれる。レイノルズ数は「慣性力/粘性力」であり、レイノルズ数が大きいほど、流れの乱れは大きくなる。層流から乱流に移る領域は臨界レイノルズ数と呼ばれ、2300以下であれば層流となり粘性によって乱れが消失し、2300以上だと乱流となり慣性力が大きくなり乱れが増幅する。

レイノルズ数

レイノルズ数は下記の図式で表される。ν[m²/s]は動粘性係数、μ[Pa・s]は粘性係数、vは代表速度、dは代表寸法、ρは密度である。

水の粘性係数と動粘性係数 (1atm)

温度
0 5 10 15 20 30 50
粘性係数
Pa・s
(×10-3)
1.792 1.519 1.307 1.138 1.002 0.797 0.547
動粘性係数
m2/s
(×10-6)
1.792 1.519 1.307 1.139 1.004 0.801 0.554

空気の粘性係数と動粘性係数 (760㎜Hg)

温度
0 10 20 30 40
粘性係数
Pa・s
(×10-5)
1.724 1.774 1.874 1.872 1.92
動粘性係数
m2/s
(×10-5)
1.334 1.423 1.515 1.608 1.70

層流と乱流

流体が層流のときレイノルズ数が低くなり(Re≦2,300)、乱流になると、レイノルズ数が大きくなる(Re>4,000)。

  • 層流:流線上を規則正しく運動している流れ
  • 乱流:不規則な流体の運動

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臨界レイノルズ数

層流と乱流のその中間の領域のとき、すなわち2,300<Re<4,000のとき、層流と乱流とが混在した領域で遷移域という。また、層流から乱流へと遷移しはじめるこのレイノルズ数を臨界レイノルズ数という。(円管内の流れの場合は、Re=2,300)

ストークス流れ

ストークス流れとは、レイノルズ数が非常に小さく粘性力が支配的で慣性力を無視できる流れである。

レイノルズ数からみる管内の流れ

  • 層流での管内の流れ:流体が層流でレイノルズ数が2300以下のとき、管摩擦係数λはレイノルズ数Reの逆数に比例する。λ=64/Re
  • 遷移域の管何の流れ:流体が遷移域でレイノルズ数が2,300<Re<4,000のとき、流れの乱れの状態により異なる。
  • 乱流での管内の流れ:流体が乱流でレイノルズ数が4000以上のとき、またこの値が大きければ大きいほど、管摩擦係数λは一定値へ近づく。

管摩擦係数λ

レイノルズ数からみる流速分布

  • 層流での円管内の流速分布:軸に垂直方向に対して放物線分布になる。(ハーゲン・ポアズイン流れ)
  • 乱流での円管内の流速分布:壁の近くでは層流で粘性底層が存在する。壁から離れると対数則で表される分布になる。

対数測と指数測

レイノルズの相似則

流れの中におかれた物体に働く力は、レイノルズ数とマッハ数のみの関数であるため、圧縮性を無視できる場合、レイノルズ数が同じ条件であれば、流れは相似となる。

円管内の流れに対する管摩擦係数

円管内の流れに対する管摩擦係数は、層流状態で64/R、乱流状態では「配管表面粗さ/管内径」とRの関数となる。

抗力係数

物体の抗力係数はReの関数となる。

レイノルズ応力

レイノルズ応力は流体の乱流によって生じる応力である。乱流では、ランダムな速度の変動が貼って静止、流れは時間的・空間的に変化するが、レイノルズ応力は、そのときに流れの均一化する作用である。

物体まわりの流れにおいて、物体下流で発生するの様相は、Reにより異なる。なお、物体下流で発生するカルマン渦の周期を表すストローハル数は Reの関数となる(5 × 10°<R<2 x 10°の範囲では、ほぼ0.2で一定)

渦拡散(乱流拡散)

乱流では、乱れの影響から物質移動が激しく、その結果、物質濃度拡散や温度拡散、エネルギーの混合速度が生まれ、が全体的に広がっていく。このことを渦拡散(乱流拡散)という。

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