防錆|金属の錆を防ぐための対応や処理方法

防錆

防錆とは、金属の錆を防ぐための対応や処理方法をいう。錆に強いステンレスや樹脂の利用や塗装やめっきなどの表面処理を扱う場合も多い。


錆に強い素材

錆に強いステンレスや樹脂を使うことは防錆における有効な方法である。

ステンレス

不透鋼といわれるオーステナイト系ステンレス(SUS304、SUS316など)は錆に強い素材である。ステンレスの表面は3酸化クロム(Cr2O3)の薄い透明な皮膜で保護されおり素材を錆から不正でいる。炭素鋼などの別種の金属と接すると、酸化皮膜が電位差の関係で破壊され、赤錆が発生するため、注意が必要である。

樹脂

PTFEやPOMなどの樹脂(プラスチック)は、錆さびにくいため、防錆対策で非常に有効である。金属にはない絶縁性もあるため、電気部品などにも有効である。

金属の素地調整

防錆をするには金属表面に塗装やめっきなどの表面処理を施す必要があるが、その前の下準備として、錆や油脂を除去して素地の調整をしなければならない。一般的に素地調整の方法はケレン等級によってえらばれる。

一種ケレン

一種ケレンには、ショットブラスト、サンドブラスト、ベレル研磨、酸性洗浄、アルカリ洗浄がある。もっともレベルの高い素地調整で、ミルスケール・錆を完全に除去し、鋼材の素地を95%は露出する加工である。いずれも特定の設備が必要である。

二種ケレン

二種ケレンにはデスクサンダや空圧電動工具による機械加工で、基本的には錆を完全に除去する方法である。油脂・水分は完全に除去される。

三種ケレン

三種ケレンには、ワイヤブラシやサンドペーパなど簡易の手動工具で行うもので、浮錆、浮スケール、油脂、汚れなどを除去する方法で、かすかな金属光沢を持つ。

プライマ塗装

プライマ塗装とは、素地調整した面を一時的に保護するための下塗りである。プライマは金属に付着し、上塗り塗料との親和力のある塗料で、防錆効果がある塗装はラッカープライマ、ジンクリッチプライマ、ウオッシュプライマがある。

塗裝

塗料は、樹脂と顔料を溶剤に分散させたコロイドであるが、樹脂にはラッカー系、フタル酸系、エポキシ系、ポリウレタン系などがある。

塗装の種類

  • ラッカー系塗装:1時間で乾く速乾性で扱いやすい。ただし、肉もちや付着力、見栄えが悪い。
  • フタル酸系塗装:乾燥に20時間かかるが、付着力、肉厚感、光沢があり、耐油性、耐薬品性、耐候性ともに優位がある。審美性が優れている。
  • エポキシ系塗装:密着力に優れ、硬度が高く、可撓性があり、耐候性・耐薬品性に優れている。乾燥炉で30分程度の加熱が必要である。
  • ポリウレタン系塗装:乾燥が速く扱いやすい。塗膜に弾力と光沢があり、耐候性・耐溶剤性・耐薬品性がある。

亜鉛めっき

防錆として代表的なめっきとして亜鉛めっきがある。溶解めっきの代表されるめっきで、亜鉛の溶融浴に部品を浸漬して引き上げ、 被覆を形成する。浴槽に丸ごと入れるためどぶ付けともいわれる。亜鉛は鉄鋼よりイオン化傾向が大きく電気的に犠牲陽極となるため、亜鉛めっき層が剥がれない限り、防錆効果が期待できる。

黒染め

黒染めは、部品表面に黒色酸化鉄皮膜を生成し、簡易防錆ができる。六角穴付きボルトや銃身の黒い皮膜で、一般の機械まわりでは塗装不要で装飾性もよい。皮膜は四三酸化鉄 (FesO4) だが、水分があると三二酸化鉄(Fe203) に変わり、赤錆になる。

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