集電箱|PV直流を集約し保護監視最適化

集電箱

集電箱は太陽光発電の複数ストリングから流れるDC電流を集約し、上位の直流幹線やパワーコンディショナへ安全かつ低損失で送るための直流受配電装置である。内部にはストリングヒューズ、逆流防止用素子、サージ防護デバイス(SPD)、DC負荷開閉器、分岐端子、計測・監視モジュール等を収め、外装は屋外環境に耐える筐体で構成する。システムの信頼性・保守性・発電損失に直結する要素であり、設計では電圧・電流定格、温度・沿面距離、保護協調、熱管理、配線導体断面の選定を総合的に最適化する必要がある。

役割と基本構成

集電箱はストリング数本〜数十本の並列回路をまとめ、各分岐の保護と異常切り離し、落雷や開閉サージからの保護、据付・保守点検を容易にする役割を担う。代表構成は次の通りである。

  • 入力分岐部:各ストリングにgPVヒューズを直列配置し、逆流電流や短絡時の限流を行う(PVモジュール側近傍での保護一貫性が重要)。
  • 集電母線:低抵抗・低温上昇となる断面の銅バーまたはケーブルで構成する。
  • 保護デバイス:DC用SPD(Type 1/2)、DCスイッチ(ロードブレーカ)、必要に応じてダイオードや逆流検出を備える(バイパスダイオードの動作との整合も考慮)。
  • 監視計測:分岐電流・母線電圧・温度・絶縁抵抗などを計測し、ストリング監視で異常を早期発見する。

電気定格の決め方

集電箱の定格は最大開放電圧Voc、最低気温時の昇圧、ストリング短絡電流Isc、並列本数、過電圧カテゴリ、汚損度、環境温度で決める。DC定格1,000Vまたは1,500Vが主流で、母線・端子は最大連続電流(ストリング電流×並列本数×設計余裕)を満たす。

電圧定格(Ucpv)

Ucpvは低温時のVoc上昇を見込む。おおよそUcpv≧Voc(STC)×{1+|αVoc|×ΔT}×直列枚数の最大全接続点で評価する。寒冷地では余裕を増し、SPDのUc(連続許容電圧)も同等以上とする。IV特性の理解は必須であり、詳細はIVカーブを参照できる。

ヒューズ選定と逆流保護

並列ストリングが3本以上となる場合、故障ストリングへの逆流電流がIscを超えるため各分岐にgPVヒューズを設ける。ヒューズ定格電流はIsc×1.25〜1.56程度を目安に、連続運転温度や筐体内上昇温度、周囲温度係数を考慮して選定する。ヒューズホルダはDCアークに耐える定格品とし、トルク管理を徹底する。局所過熱はモジュールのホットスポット誘発にもつながるため避ける。

SPD(サージ防護)の適用

落雷多発地や長距離配線では、集電箱の入力側・母線側にDC用SPD Type 1またはType 2を配置し、接地・等電位ボンディングを最短で実施する。UcはUcpv以上、Iimp/Itの耐量は環境と雷保護レベルで決める。SPDの状態表示と交換性を確保し、劣化終端を定期点検で把握する。

監視・保全機能

各分岐電流の常時監視は遮蔽・断線・経年劣化・コネクタ接触不良などの早期検出に有効である。基準日射時の比較、昼間の相対偏差、夜間リーク電流や絶縁抵抗の監視を組み合わせると、PIDやLIDを含む性能変動の推定精度が向上する(参照:PID現象LID現象)。BOS損失の可視化は発電量改善に直結する。

機械・環境設計

筐体は屋外用でIP65以上、耐UV、耐食性を確保する。ケーブルグランドは引張・防水機能付きとし、沿面・空間距離は汚損度に応じてJIS/IEC準拠で確保する。内部銅バーは温度上昇を抑える断面とし、発熱源(ヒューズ・SPD)近傍の通風や熱拡散を考慮する。結露・粉塵対策として通気メンブレンや乾燥剤を適用し、端子は緩み防止構造を選ぶ。

設置と配線の実務

  • 最短経路・対向配線でループ面積を縮小し、誘導サージを低減する。
  • 極性誤接続防止のため、MC4互換コネクタや端子台の色別・ラベリングを徹底する。
  • トルクレンチで規定値を順守し、熱サイクル後の再増し締め点検を計画に組み込む。
  • 遮断・施錠機構で安全作業手順(LOTO)を運用し、感電・アーク閃絡を防止する。

よくある故障・リスク

代表的な不具合は、端子緩みによる局所過熱、ヒューズホルダの接触抵抗増大、SPD劣化の未把握、誤配線による瞬時過電圧、結露腐食である。赤外線点検、端子抵抗の定点測定、分岐電流のトレンド監視で予兆を捕捉できる。発電低下を見つけたら、ストリング監視のデータとIVカーブ測定で切り分ける。

関連機器との関係

集電箱はモジュール側の接続箱と幹線側のDC集約点の中間に位置づけられる。建材一体型のBIPVや高電圧システムでは、筐体区画・絶縁設計や保護協調がより厳格となる。モジュールの局所不良やバイパス素子の動作は箱内電流に反映されるため、PVモジュールの構造理解とホットスポット抑制設計も重要である。さらに劣化現象の監視にはPID現象の知識が有用である。