ゲートバルブ|配管の開閉を担う基本機構

ゲートバルブ

ゲートバルブ(仕切弁)は、配管内の流体を全開または全閉で制御する直線運動形の弁である。弁体(ゲート)が流路を垂直に遮断・開放する構造で、全開時の流路はほぼ一直線となり、圧力損失が小さいのが特徴である。一方で絞り制御には適さず、半開運転は座面摩耗やキャビテーションの原因となる。水処理、発電、石油・化学プロセス、パイプラインなど幅広い分野で用いられる。規格はJIS、ASME、APIなどで材質・接続・寸法が定められている。

構造と作動原理

ゲートバルブは本体(ボディ)、ボンネット、弁体(くさび形または平行形)、弁座(シート)、ステム、グランドパッキン、ハンドル(またはアクチュエータ)から成る。ハンドルを回すとステムが上下し弁体が直進して流路を開閉する。OS&Y(Outside Screw & Yoke)の上昇式は開度が外観で判別しやすく、非上昇式は省スペースである。シートはメタル同士の摺動が一般的だが、低圧や腐食流体向けにソフトシートを用いる場合もある。

種類(弁体・構造・駆動)

  • 弁体形状:くさび形(単一または分割くさび)、平行スライド、スラブゲート、スラリー向けのナイフゲート。
  • 接続方式:フランジ、ねじ込み、溶接(BW/SW)。配管仕様・保守性に応じて選定する。
  • 駆動:手動、ギア操作、電動、空気圧。頻繁操作や遠隔制御は電動・空圧が有効である。
  • 材質:鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、炭素鋼、ステンレス鋼、耐熱・耐食合金。流体温度・腐食性・圧力に応じて決める。

特性と適用条件

ゲートバルブは全開時の流路が直線で、圧力損失が小さい。スラリーや懸濁物を含む流体ではナイフ形や平行形が詰まりに強い。半開での絞りは座面の乱流・振動・エロージョンを招くため避けるべきである。開閉には多回転を要し、即応性が求められる用途では他形式が選ばれることもある。

選定ポイント

  1. 設計条件:圧力等級、温度範囲、流体性状(腐食性・粘度・固形分)。
  2. 端接続・据付:フランジ規格、溶接性、開度表示、上方空間(上昇式のストローク)。
  3. 材質・シート:腐食・摩耗・温度に対する耐性、メタル/ソフトの適否。
  4. 保全性:グランド部の締付け・交換容易性、ボンネット分解性、予備品の標準化。
  5. 規格適合:JIS、ASME、APIなどの適用セクションと検査要求(圧力試験、耐火・低温試験等)。

保守と点検

ゲートバルブの典型的な不具合は、シートリーク、ステム固着、グランド部からの滲みである。定期点検では(1)全開全閉の作動確認、(2)グランドナットのトルク点検、(3)ステムねじの清掃・給脂、(4)弁座面の傷・腐食の有無を確認する。漏れ量や操作トルクの増加は摩耗・偏心・堆積物の兆候であり、座面ラッピングや部品交換を検討する。長期開放状態でも定期的にストロークさせ固着を防ぐと良い。

施工・据付上の注意

配管芯ズレは弁体の偏摩耗を招くため、フランジ芯出しとガスケット厚み管理を徹底する。上昇式では上部クリアランスを確保し、アクチュエータ自重による配管荷重はサポートで受ける。水撃抑制のため開閉はゆっくり行い、初期フラッシングでスケールや溶接ビード片を除去する。フランジ締結ではボルトを対角順序で均等に締め付け、パッキン座面を損なわないことが重要である。

代表的な使用分野

  • 上下水・海水系:耐食材質とゴム座で低圧・大口径に適用。
  • 火力・石油化学:高温高圧ラインに鍛鋼・合金鋼、ステライト硬化座を用いる。
  • パイプライン:スラブゲートやエクスパンディングゲートで高封止性を確保。
  • 製紙・鉱業:スラリー向けナイフゲートで堆積・閉塞を低減。

用語補遺

OS&Yはステムねじが外部に露出する形式で保守性に優れる。フルボアは流路径が配管径と同等で圧損が小さい設計である。ダブルブロック&ブリードは上流・下流を二重遮断し、中間をブリードして封止確認を行う考え方である。これらの概念はゲートバルブの運用信頼性や安全計装の議論で頻出する。

設計・品質保証の留意点

ゲートバルブの品質は、鋳造欠陥の管理、機械加工精度、表面硬化、組立清浄度、圧力試験(ハイドロ/エア)、塗装・識別表示までの一連の工程品質で決まる。トレーサビリティ(ヒートNo.、ミルシート、検査記録)を維持し、現地受入では外観・寸法・操作トルク・漏れ基準を適合確認する。ライフサイクル全体でのリスク低減が、安定運転とTCO最小化に寄与する。