テンションゲージ|ロールやワイヤの張力を定量化する計測器

テンションゲージ

テンションゲージは、糸・ワイヤ・フィルム・金属帯など連続体に作用する張力(テンション)を定量化する計測器である。日本語では「張力計」や「テンションメータ」とも呼ばれ、製造ラインの巻取り・送り出し・張力制御の最適化、品質のばらつき低減、断線やシワの防止に用いられる。測定方式は接触式と非接触式に大別され、一般的には接触ローラに被測定体を当て、その反力をひずみゲージ式ロードセルで電気信号に変換する方式が普及している。用途に応じてハンディ型とインライン組込み型があり、前者は保全・点検に、後者は自動制御に適する。

定義と測定対象

テンションゲージが測る物理量は張力(単位はN)である。対象は繊維糸、銅線やステンレスワイヤ、フィルム・紙・箔などのウェブ、搬送ベルトやチェーンなど多岐にわたる。曲げに弱い対象(超薄フィルム等)は接触圧を最小化できるセンサ構造が望ましい。

動作原理

代表的な3ローラ接触式では、被測定体を2つの案内ローラと1つの計測ローラに沿わせ、計測ローラに生じる合力をロードセルで検出する。巻付角とライン張力から求まる成分力を直交分解し、感度方向の荷重として変換する。荷重はブリッジ回路を介して電圧に変わり、アンプで増幅・零点調整・温度補償を行う。

3ローラ方式の力学モデル

計測ローラの受ける力はおおむねF≈2T·sin(θ/2)(T:張力、θ:巻付角)で近似できる。θを一定に保つことで校正が容易になる。

構造と種類

  • ハンディ型:現場でスポット測定する携帯形。小型表示器とピークホールド機能を備える。
  • インライン型:機械に組み込む据置形。出力はアナログ電圧/電流やパルス、デジタル通信に対応する。
  • クランプ式:対象を一時的に把持して張力を読む。停止時の確認に向く。

非接触・疑似非接触

レーザ変位とダンサーローラ位置から張力を推定する方式や、磁気浮上ローラに荷重センサを内蔵する方式もある。接触ダメージを避けたい高付加価値材に適する。

計測性能の指標

  • レンジと分解能:最小可読値と最大測定力の幅。対象材の張力帯に適合させる。
  • 精度・直線性:フルスケールに対する±%で表す。ヒステリシスと再現性も確認する。
  • 応答性:ライン速度変動や巻径変化に追従できる帯域幅。
  • 温度ドリフト:工場環境の温度範囲でゼロ点とスパンが安定すること。

校正とトレーサビリティ

校正は既知荷重(分銅・校正器)を作用させ、ゼロ点とスパンを調整する。巻付角が可変の場合は実運用角度で校正する。定期校正周期は使用頻度と要求精度に応じて設定し、記録を残すことが望ましい。

校正荷重の与え方

実機の測定姿勢で、滑車や治具を用いて所望の入射角を再現し、F→T変換式を用いて目標張力に相当する荷重を与えると良い。

使用手順(ハンディ型)

  1. 対象材のライン速度と幅を確認し、対応レンジのセンサを選ぶ。
  2. ゼロ点を確認し、巻付角が規定値になるようローラに沿わせる。
  3. 読み値を安定化させ、平均値またはピーク値を記録する。

適用例

  • ウェブ搬送:印刷・ラミネート・コーターでの張力均一化と蛇行抑制。
  • 線材工程:伸線・撚線・巻線での断線防止と品質管理。
  • ベルト/チェーン:搬送効率と寿命の両立のための張り調整。

選定ポイント

  • 対象の材質・幅・厚み・許容接触荷重。
  • ライン速度と必要帯域、設置スペース。
  • 表示・記録・インタフェース(アナログ/デジタル、フィールドバス)。
  • 環境条件(温度、粉塵、薬液、静電気)。

誤差要因と対策

  • 巻付角の変動:治具で角度を一定化する。
  • ローラ摩擦・ベアリング抵抗:高精度ベアリングと清掃で低減。
  • 対象の滑り:表面処理や溝付きローラで密着性を高める。
  • 温度変化:温度補償型アンプを用い、ウォームアップ時間を確保する。

保守と安全

ローラ清掃と回転抵抗の点検、ケーブル・コネクタの緩み確認を定期化する。高張力や高速ラインでは巻き込み防止の安全措置を講じ、測定時は保護具を着用する。

関連機器・用語

テンションゲージの実装には、ロードセル、アンプ、ダンサーローラ、張力制御器(PID制御)、ブレーキ/クラッチ、巻出し・巻取り駆動系が関わる。英語ではtension gauge/tension meterと表記する。用途と精度要求に応じて最適な構成を選ぶことが重要である。

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