テーパピン|位置決めやせん断力を受けるピン

テーパピン

テーパピンとは、軸方向に1/50のこう配を持つ円すい状のピンで、部品同士の位置決めや軸とボスの固定、せん断力の伝達に用いられる機械要素である。JIS B 1352(ISO 2339)に規定され、呼び径は小端側の直径で表す。打ち込むほどテーパ面が穴の内壁に食い込んで密着するため、振動下でも芯がずれにくく、分解後に再度打ち込めば元の位置を高い精度で再現できる。工作機械や減速機、治具類の組立現場では古くから使われてきた要素で、マシニングセンタが普及した現在でも、現合合わせで位置を確定する場面では第一の選択肢となる。

基本構造と機能

テーパピンは一方の端がわずかに細く、もう一方が太くなる円錐形をしており、そのテーパー角度は通常1/50または1/100が多い。この傾斜角によって、挿入時に自動的に芯が合うようになっている。ピン穴も同じテーパー角で加工されており、嵌合性に優れる。打ち込み後は強固に固定されるため、振動や衝撃による緩みが起こりにくい。

形状と規格

テーパピンの外形は単純な円すい台である。こう配は1/50、すなわち長さ50mmにつき直径が1mm変化する緩やかな傾斜で、呼び径は細い側(小端)の直径で規定される。JIS B 1352では呼び径0.6mmから50mmまでの寸法系列が定められており、長さは呼び径に応じて選択する。インチ系の規格ではテーパが1/48となるため、輸入機械の保守ではミリ系との混用に注意しなければならない。材質はS45Cなどの機械構造用炭素鋼が標準で、耐食性が必要な箇所にはステンレス鋼(SUS303相当)が使われる。等級には端面や表面の仕上げ精度によりA形とB形があり、A形は研削仕上げで面粗さが良く、精密位置決めに向いている。

平行ピンとの使い分け

同じ位置決め用途で比較されるのが平行ピンである。平行ピンは全長で直径が一定のため、部品加工の段階でH7などのはめあい公差で穴を仕上げておき、組立時にそのまま打ち込める。これに対しテーパピンは、機械を組み立てて芯出しを終えた後に、部品をまたいで共加工で穴をあけ、テーパリーマを通して現物合わせで打つのが基本となる。つまり平行ピンが「加工段階で位置を決める」ピンであるのに対し、テーパピンは「調整後の位置を固定する」ピンだといえる。抜けにくさと再組立時の再現性ではテーパピンが勝るが、テーパリーマや共加工の工数が必要で、加工コストは平行ピンより高くつく。現在の設計ではマシニングであらかじめ基準穴を加工する方式が主流のため平行ピンの採用が多いが、客先据付後にハンドドリルで穴あけして位置を固定するような治具では、今なおテーパピンが選ばれている。

テーパピンの種類

テーパピンは部材に食い込むため、タップ(めねじ)が付いているものやボルトがついているものがある。また、先端が割れているものもある。

タップ付きテーパピン

タップ(めねじ)がついているピンで、ここにねじを入れて取り外す。

ボルト付きテーパピン

ボルトがついているピンである。

先割れテーパピン

先が割れているテーパピンを先割れテーパピンという。

使い方

普通、テーパピンが使われるテーパ穴の作業は現場で使われる。部材通しを組み合わせ位置を決めると、そこに下穴に穴をあけて目安を作る。テーパピンは、直線的な丸穴に対しては途中で止まるため、リーマでテーパ穴を作り、最後にテーパピンを打ち込む。現場で行うため、ドリルやリーマ、加工するスペースが必要である。部品を交換すると位置が合わなくなる。

呼び方

利点と欠点

  • 利点:高い位置決め精度、脱落しにくい、コンパクトな設計が可能
  • 欠点:分解時に専用工具が必要なことがある、加工に手間がかかる、繰返し使用に制限がある

テーパピンの材質

テーパピンには一般的に炭素鋼やステンレス鋼が使用されている。炭素鋼はコストパフォーマンスに優れ、一般機械用途に広く用いられる。一方、ステンレス鋼は耐食性に優れており、水回りや屋外機器などに適している。また、特殊用途では真鍮やチタンが使われることもある。

テーパピンと平行ピンの違い

テーパピンと並んでよく使われるのが平行ピンである。平行ピンは直径が一定の円柱形で、抜け止めや位置決めに使われる。だが、摩擦力による固定が弱く、精密な位置決めには向かない場合もある。対してテーパピンは摩擦力と形状拘束を併用するため、より高精度で強固な固定が可能である。

取り付けと取り外し方法

テーパピンは、ハンマーやプレス機などを使って打ち込まれることが多い。打ち込み方向には太い方から細い方へ向けて挿入する。取り外し時には、ピンの細い側にドリル<などで小さな穴を開け、プーラーや打ち棒で押し出す。専用のピン抜き工具がある場合も多い。

JIS規格と寸法

テーパピンは日本産業規格(JIS B 1351)により寸法や形状が規定されている。例えば、標準テーパは1/50で、呼び径や全長の組合せが多数用意されている。寸法は下記が参考値としてあげるが、市場に出回っているものと異なるため、メーカーのカタログを参考とすること。

テーパピンの形状と寸法 4-60

呼び径 0.6 0.8 1 1.2 1.5 2 2.5 3 4 5
d
基準寸法
0.6 0.8 1 1.2 1.5 2 2.5 3 4 5
d
許容差
(h10)
0
-0.040
0
-0.040
0
-0.040
0
-0.040
0
-0.040
0
-0.040
0
-0.040
0
-0.040
0
-0.048
0
-0.048
a
0.08 0.1 0.12 0.16 0.2 0.25 0.3 0.4 0.5 0.63
4
5
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
30
32
35
40
45
50
55
60
呼び径 0.6 0.8 1 1.2 1.5 2 2.5 3 4 5

4-60はlの寸法を示す。

テーパピンの形状と寸法 22-200

呼び径 6 8 10 12 16 20 25 30 40 50
d
基準寸法
6 8 10 12 16 20 25 30 40 50
d
許容差
(h10)
0
-0.048
0
-0.058
0
-0.058
0
-0.070
0
-0.070
0
-0.084
0
-0.084
0
-0.084
0
-0.100
0
-0.100
0.8 1 1.2 1.6 2 2.5 3 4 5 6.3
22
24
26
28
30
32
35
40
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95
100
120
140
160
180
200
呼び径 0.6 0.8 1 1.2 1.5 2 2.5 3 4 5

22-200はlの寸法を示す。

テーパピンの呼び方

テーパピン製品の呼び方

ISOによらないテーパピンの形状と寸法 0.6-5

呼び径 0.6 0.8 1 1.2 1.6 2 2.5 3 4 5
基準寸法 0.6 0.8 1 1.2 1.6 2 2.5 3 4 5
許容差 +0.018
0
+0.018
0
+0.025
0
+0.025
0
+0.025
0
+0.025
0
+0.025
0
+0.025
0
+0.030
0
+0.030
0
4
5
6
8
10
12
14
16
18
20
22
25
26
28
30
32
36
40
45
50
55
56
60
63
65
70
呼び径 0.6 0.8 1 1.2 1.6 2 2.5 3 4 5

4-70はlの寸法を示す。

ISOによらないテーパピンの形状と寸法 6-50

呼び径 6 8 10 13 16 20 25 30 40 50
基準寸法 6 8 10 13 16 20 25 30 40 50
許容差 +0.030
0
+0.036
0
+0.036
0
+0.043
0
+0.043
0
+0.052
0
+0.052
0
+0.052
0
+0.062
0
+0.062
0
28
30
32
36
40
45
50
55
56
60
63
65
70
75
80
85
90
95
100
120
125
140
160
180
200
225
250
280
呼び径 6 8 10 13 16 20 25 30 40 50

28-280はlの寸法を示す。

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