渦(流体力学)|自由渦、強制渦、ランキンの組み合わせ、渦度

渦(流体力学)

渦とは、流体がある点のまわりを回転して流れる現象である。代表的な渦のパターンとして自由渦と強制渦、2種類の渦の組み合わせた、ランキン組み合わせ渦がある。また円柱回りに関してはレイノルズ数に応じて、渦の形体が異なる。

自由渦

自由渦は、回転方向の速度vが、回転中心からの距離に反比例する渦であり、v∝1/rの関係が成立する。外部からエネルギーの供給がないときに発生する渦である。流体要素の回転成分は0になり(渦度=0)、例えば木の葉が川の流れの自由渦に乗って動いた場合、回転せずに向きを変えずに流れていく。なお、自由渦では回転中心で速度が無限大となるため、完全な自由渦は存在しない。

強制渦

強制渦は、回転方向の速度vが、回転中心からの距離に比例する渦であり、v∝rの関係が成立する。外部からエネルギーを供給されたときに発生する。例えば、容器に水を入れ、容器を回転させたときに生じる流れが強制渦であり、流体の一部分に着目すると、形を変えずに回転することになる。

ランキンの組み合わせ渦

ランキン組み合わせ渦は、自由渦と強制渦の組み合わせた渦で、現実に見られる渦の多くはランキン組み合わせ渦である。回転中心付近で強制渦、その外側で自由渦となる。この境界の半径を r で表すと、V ∝ r at r<rc、V ∝ 1/r at r > rcとなる。台風、竜巻、渦潮などはランキン組み合わせ渦である。

渦度

渦度がゼロ(ω = 0)のとき、渦は発生しない。一方、渦度≠0のとき、流体の運動は渦が発生している。粘性がある流体について渦度が拡散していくため、渦度を取り扱うときは粘性を無視して考える場合が多い。

渦度

渦度

円柱まわりの流れ

円柱まわりの流れの様相は、動粘性を示すレイノルズ数(Re)により異なる。Reが6以下のとき、円柱後方ではく離が生じずに、流体は円柱に沿って流れる。Reが6<Re<40のとき、双子渦(円柱後方でのはく離による2つ対称な渦)である。さらにRe>40になると、カルマン渦(円柱後方で交互に渦がはく離する状態となり流れていく、一定間隔を有する千鳥状の列の渦)ができる。なお、後方で生じる渦列をカルマンの渦列と呼ぶ。

円柱まわりの渦

円柱まわりの渦

ストローハル数St

円柱まわりの流れは、渦の発生振動数fと、円柱の直径d、一様流の流速Uから、無次元数であるストローハル数Stが定義される。なお、5×102<Re<2×102の範囲ではほぼ0.2で一定である。

ストローハル数

ストローハル数

ロックイン現象

ロックイン現象とは、円柱の固有振動数がカルマン渦の発生振動数に近くなると、円柱が流れ直角方向に振動する現象である。渦が円柱の振動に同期して発生するため、カルマン渦の発生振動数が円柱の固有振動数に引き込まれる。

ロックイン現象

ロックイン現象

インライン振動

インライン振動とは、円柱の流れ方向の振動に同期して、円柱後方に対称な渦による円柱の振動である。円柱の固有振動数がカルマン渦の発生振動数の約2倍であり、円柱の構造減衰が小さい場合、あるいは流体の密度が液のように大きい場合に起こる。

インライン現象

インライン現象