エネルギー(力学)|仕事をさせる潜在的能力

エネルギー(力学)

物理におけるエネルギーとは、仕事をさせる能力である。また、石油や石炭、天然ガスなど、そのままでは仕事を行わないが、潜在的には自動車を動かす、あるいは電気を作るなどの潜在的な能力がある場合、これらもエネルギーをもつ、といえる。

エネルギーの歴史

エネルギーという用語は、一般的に使用されているが、比較的、浅い歴史を持つ。ニュートン力学を生み出した、ニュートンはエネルギーという言葉は使用しておらず、その言葉自体を知らなかったとされている。1717年、流体で大きな成果を残したスイスの物理学者ベルヌーイが初めて使ったとされている。1807年に イギリスの物理学者ヤングはmv²という量を運動エネルギーにとることを提唱し、エネルギーという言葉も使用したが、ここでも一般化されるところまではいかなかった。1851年、イギリスの物理学者トムソンが発表した論文以後によりエネルギーという言葉広く知られるようになった。日本では1973年におこった石油危機をきっかけに日本語として定着した。

エネルギーの種類

エネルギーには、力学的エネルギー、内部エネルギー(熱エネルギー)、化学エネルギー、電気・磁気エネルギー、光エネルギーなどがある。それらは相互に変換可能であり、発電などの社会インフラからろうそくの火やホタルの光などの日常的なものまで広く使用されている。

力学的エネルギー

力学的エネルギーとは、ニュートンやヤングの時代から発見された、もっとも基本的なものは力学的エネルギーである、大きく運動エネルギーと位置エネルギーに分けられ、その和として定義されている。

内部エネルギー(熱エネルギー)

内部エネルギーとは、物体の内部に蓄積されているエネルギーである。物体は分子や原子から構成されていて、これらの粒子は運動エネルギーや相互作用の位置エネルギーをもっているため、それを利用したエネルギーである。もっとも親しまれているのは熱エネルギーで、物体に熱を加えると内部エネルギーが上昇し、それを我々は日常に利用している。また、この点で、核エネルギーも一種の内部エネルギーとみなすことができる。

化学的エネルギー

化学エネルギーとは、物質の化学変化に伴うエネルギーである。化学反応の際、 が発生する反応を発熱反応、逆に熱を吸収する反応を吸熱反応という。ガスや石油を燃焼して生じる熱などはこれにあたる。

電気・磁気エネルギー

電気磁気エネルギーとは、電気を利用したえねるぎーである。帯電体は周辺にある紙片などをひきつけ仕事をする、などの現象を利用している。また同じようなエネルギーとして、磁気エネルギーがあげられ、これは、磁石は鉄の小片をひきつけ仕事をする、などの現象を利用している。リニアなどの基本原理はこの電気・磁気エネルギーを利用している。

光エネルギー

光エネルギーとは、光の波に伴って運ばれるエネルギーである。 光は電磁波の一種で、波の形で空間中を広がっている。

エネルギー変換

エネルギー変換とは、エネルギーにはいろいろな種類があるが、それらを互いに別のエネルギーに変わることである。例えば、手をこすり合わせると摩擦熱が生まれ、力学的エネルギーから熱エネルギーに変換されている。また、ホタルの光は化学エネルギーを光エネルギーに変換している。大きくいえば、水力発電で電気を起こす場合や火力発電、太陽光発電はすべてエネルギー変換が利用されている。

エネルギー保存則

エネルギー保存則とは、基本的な物理法則の一つで、各種のエネルギーは他の種類のエネルギーに変換したり、1つの物体から他の物体へ移動するが、全体としてはエネルギーの総和は時間の経過に関係なく一定に保たれるという法則である。この法則は「孤立した物体系のエネルギーの総量は、内部でどんなエネルギーの変換が起こっても一定不変である」と表現される。また「ある物体に外部からエネルギーが加わったときその分だけ物体のもつエネルギーの総量が増加する」とも表現され、どのような種類のエネルギーでも、受けとったエネルギーの総量分だけ、エネルギーが増加する。力学的エネルギー保存則や熱力学第一法則もまたエネルギー保存則の一種である。

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