ガスケット|気体や液体の漏れを防止するシール部品

ガスケット

ガスケットとは、配管や機械装置などの接合部に挟み込まれ、気体流体の漏れを防止するために用いられるシール部品である。この気体や流体を漏れなくすることをシールという。一般にパッキンとも呼ばれることもあり、自動車プラントをはじめ幅広い分野において不可欠な存在となっている。機器内部の流体圧力を安全に保持するうえで、適切な材質と形状の選定が重要視されている。

ガスケットの概要

ガスケットは基本的に柔軟性と弾性を有する材料で形成されることが多い。これは接合部の微小な凹凸を埋める働きを持ち、流体が漏れ出す隙間を効果的にふさぐ役割を担っているためである。特に高温や高圧など過酷な条件下でも性能を維持する必要があり、素材としてはゴム、合成樹脂、金属、非金属繊維など多岐にわたる。部品同士の境目を密封する手段として欠かせない存在であり、圧力容器や配管フランジ、エンジンの燃焼室などで広く用いられている。

ガスケットの役割と特徴

ガスケットの主な役割は流体の漏れ防止と振動吸収である。接合部にかかる圧力を均一化し、接触面のごく小さな隙間を埋めることが可能であるため、微細な振動や衝撃を受けても大きな変形が起きにくい。そのため、高温領域や高圧条件、さらには腐食性ガスや危険な液体を扱うプラントの配管部でも安定した機能を発揮する。これにより機器の安全性を確保し、システム全体の効率と信頼性を向上させる重要な要素となっている。

ガスケットの材料と製造方法

ガスケットの材料は用途と環境条件によって選定される。ゴム系では天然ゴムやNBR (ニトリルゴム)、EPDM (エチレンプロピレンゴム)などが一般的であり、耐熱性や耐薬品性が要求される場合にはPTFE (ポリテトラフルオロエチレン)やグラファイトなどが使われることも多い。金属系ではステンレスや銅、アルミニウム箔をベースにしたタイプがあり、高い圧力温度に耐える必要がある装置でしばしば採用される。製造方法としては圧縮成形や切削加工、ラミネート技術などが用いられ、形状や厚みに合わせた専用の成形プロセスが確立されている。

ガスケットの形状と種類

ガスケットにはフランジ用のリング形状からシート状の板ガスケット、各種機器の専用形状品まで多様なタイプが存在する。一般的には円盤形や四角形が多いが、エンジンシリンダーヘッドに使用されるコンポジットガスケットなどは複雑な穴加工や複数の素材を組み合わせた多層構造を持つ。シール対象の流体特性や設置環境、取り付け寸法などを総合的に考慮し、適切な形状とサイズを決定することが要求される。さらに金属と非金属を組み合わせた半金属ガスケットも存在し、高温高圧での使用に適合する例が多い。

金属ガスケット

金属ガスケットは、軟鋼、純鉄ステンレス 、鋼、アルミニウムチタンでできたガスケットである。高温・高圧向けのガスケットである。

非金属ガスケット

非金属ガスケットはゴム系ガスケット、クロス系ガスケット、液状ガスケット、紙状ガスケットである。

ゴム系ガスケット

ゴム系ガスケットは、ゴムの弾性・復元性を利用したガスケットで、低面圧でも安定した性能をもつ。配管のフランジ・機器等に利用されている。

クロス系ガスケット

クロス系ガスケットは、織布にゴムコンパウンドを塗布したガスケットで、フランジの口径が大きく、歪みがあったり、高い締付面圧が とれないときに用いられる。

液状ガスケット

液状ガスケットは、液状の樹脂やゴムを必要な部分に流し込んで用いるガスケットである。

紙状ガスケット

紙状ガスケットは、植物性繊維を膠質物質及び柔軟剤で処理したガスケットである。ガソリン、軽油、潤滑油などのシールに用いられる。

ガスケットとシール技術

シール技術において重要なのは、接触面の圧力分布とガスケットの変形特性である。ボルト締結によって生じる締付力を均等に作用させるため、設計段階ではトルク管理が厳密に行われる。これにより強度とシール性のバランスを保ち、作動時の振動や熱膨張による劣化を抑えることができる。さらに表面粗さや表面仕上げも大きく影響し、接合面とガスケットの密着度を向上させるために研磨やコーティングが施される場合もある。これらの要素が相互に作用し、最終的なシール性能を左右している。

ガスケットの設計と選定

ガスケットを設計・選定する際には、使用される圧力温度流体の種類、動作環境などを十分に検討する必要がある。たとえば化学プラントでは腐食性薬品に対して高い耐薬品性が求められ、石油化学や自動車産業では高温や急激な温度変化への対応が必須となる。さらに設置スペースや接合面の形状、ボルトの本数や締付トルクなども考慮しなければならない。これらの要素を踏まえて最適な素材と厚みを決定し、シミュレーションや実機試験を通じて漏れや変形のリスクを最小化することが求められる。

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