化粧品|肌や髪を清潔に保ち美しく整える製品

化粧品

化粧品は、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、皮膚や毛髪を健やかに保つために、塗擦・散布などの方法で使用される物品で、人体への作用が緩和なものを指す。日本では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)第2条第3項で定義されている。スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、ボディケア、フレグランスなど製品の幅は広い。製造には界面活性剤や乳化の技術が使われ、化学工学と品質管理の知見が求められる工業製品でもある。

医薬部外品・医薬品との法的な違い

消費者が手に取る製品は、見た目が似ていても法律上は3つの区分に分かれる。化粧品がうたえる効能効果は、厚生労働省の通知で定められた56項目に限られている。2011年に「乾燥による小ジワを目立たなくする」が追加され、現在の数になった。美白やニキビ予防といった有効成分による効果を表示したい場合は、医薬部外品として品目ごとに承認を受けなければならない。

区分 人体への作用 承認・届出 代表例
化粧品 緩和 品目ごとの届出(承認不要) 化粧水、口紅、シャンプー
医薬部外品 緩和だが有効成分を含む 品目ごとの承認が必要 薬用化粧品、制汗剤、染毛剤
医薬品 治療・予防を目的とする 厳格な承認審査 皮膚外用薬

規制と成分表示の変遷

1960年に制定された薬事法のもとで、化粧品は長いあいだ品目ごとの承認制だった。その仕組みが大きく変わったのは2001年4月である。規制緩和によって承認制が廃止され、代わりに配合した全成分の表示が義務づけられた。それまではアレルギーなどを起こすおそれのある「表示指定成分」102種類だけを表示すればよかったが、以後は配合量の多い順に全成分が並ぶようになった。配合量が1%以下の成分は順不同で記載できる。2014年には薬事法が薬機法へ改称され、現在に至る。

処方を構成する主な成分

一般的なクリームや乳液の処方では、水が全体の60〜80%を占める。残りの部分に油剤、保湿剤、乳化剤、増粘剤、防腐剤、香料などが配合される。

  • 水性成分:精製水、エタノール、グリセリン、BG(1,3-ブチレングリコール)
  • 油性成分:スクワラン、ミネラルオイル、ホホバ油、シリコーン油
  • 乳化剤:非イオン性界面活性剤(ポリソルベート類など)
  • 増粘剤:カルボマー、キサンタンガム
  • 防腐剤:パラベン類、フェノキシエタノール
  • 紫外線防御成分:酸化チタン、酸化亜鉛、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル

パラベンは配合上限が1%と定められている。一方で「パラベンフリー」を訴求する商品が増えたことで、フェノキシエタノールなどの代替成分への置き換えが進んだ。

日焼け止めの表示指標

日焼け止めでは、UVBの防御効果をSPF、UVAの防御効果をPAで表す。日本では、SPFは最大で「50+」、PAは「++++」の4段階で表示する。SPFの測定はISO 24444に基づいて行われ、被験者の皮膚に2mg/cm²の試料を塗布して評価する。

乳化を中心とした製造工程

クリームや乳液の製造で中心となるのが乳化工程である。まず、水相と油相をそれぞれ75〜85℃に加温して原料を溶かす。次にホモミキサーで毎分3000〜10000回転の強いせん断力を加えて混合し、微細なエマルションをつくる。その後は撹拌を続けながら冷却し、35〜40℃前後で香料や熱に弱い成分を加える。多くの工場では真空乳化装置を使い、減圧下で処理することで気泡の混入を防いでいる。冷却が速すぎると粒子径が不揃いになり、経時で分離することがある。そのため冷却速度は処方ごとに管理されている。仕上がった中身(バルク)は検査を経て、充填機でボトルやチューブに詰められる。

品質保証と安全性試験

製造管理の国際規格としてはISO 22716(化粧品GMP)があり、2007年に発行された。日本化粧品工業連合会の自主基準もこの規格に沿って整備されている。安定性の評価では、40℃・相対湿度75%の条件で6か月保存する加速試験がよく用いられる。粘度、pH、色、におい、分離の有無を定期的に測定する。微生物の面では、ISO 11930に基づく保存効力試験で防腐系の有効性を確かめる。この試験では、細菌や真菌を意図的に接種し、28日間の菌数の変化を追跡する。肌への安全性は、パッチテストやRIPT(反復刺激感作試験)で評価するのが一般的である。

OEM生産と許可制度の実務

国内で流通する化粧品の多くは、ブランドを持つ企業ではなくOEM・ODMメーカーが製造している。販売するには、市場への出荷責任を負う「製造販売業許可」と、実際の製造や包装・表示を担う「製造業許可」の2種類が必要になる。新規参入する企業の多くは製造販売業許可だけを取得し、製造はOEM先に委託する。OEMの最小ロットは処方の新規開発で1000〜3000個程度が目安とされる。既存の処方を流用すれば300個前後から受け付けるメーカーもある。ただし小ロットでは容器の調達費が割高になり、1個あたりの原価が中身より容器代のほうで膨らみやすい。見積もりの段階で容器の在庫状況を確認しておくと、納期の遅れやコストの増加を防ぎやすい。

天然・オーガニック表示の基準

「ナチュラル」「オーガニック」という表示には、日本の法律上の統一基準がない。そのため、国際規格ISO 16128で定められた天然由来指数を算出し、その数値を根拠として示す企業が増えている。COSMOS認証などの民間認証を取得するには原料の調達経路を証明する書類が必要で、サプライチェーンの管理体制まで審査の対象となる。

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