自己|精神分析学

自己 self 精神分析学

自己とは他人や外の世界から区別された自分自身の存在のこと。主体的な意識の活動を自我(ego)とする一方、客体として客観的に把握された自分を自己(self)という。青年期には、日記、手紙、SNSやブログなどを書いたりすることによって自己を客体的、つまり他人からみた自分を意識し、自分を正しく認識する自己分析や自己イメージを養う。青年期にポジティブに未来を考え、“なりたい自分”理想的自己を持つことが自己形成にとって重要である。

自己

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目次

ユングにおける自己

心理学者ユングは、意識の中心を「自我」とし、無意識を含めた心全体の中心を「自己」とした。自我それ自体で心のコントロールすることは限界であるとした。フロイトが,「イド(欲望)あるところにエゴ(自我)あらしめよ」と言い、自我の機能を重視したのに対し、ユングは、自我が自己の意向を理解し、従っていくことを重視した。

自己形成

自己形成とは、安定した自己のあり方をつくることで自己の成長過程を指す。自己形成には、自己をあるがままに洞察し、現実の自分を受け入れることが始まり、そのような現実の自分を基礎にして、どのような自分になりたいのか、“なりたい理想の自分”をイメージし、それに向かって今の自分をのりこえていく。

自己実現

人は、自分の能力や性能に対し、その能力を十分に発揮し、または進歩させ、より自分らしくなりたいという願望をもつ。マズローやゴールドシュタインはこのことを自己実現と呼んだ。マズローは人間的な生理的欲求の段階、安全を確保する欲求の段階、所属と愛の欲求の段階、承認する欲求の段階、そして、それらに上位に位置する自己実現の欲求があるとした。自己実現によって、人間はもっとも大きなる欲求を満たすことができる。

自己実現とは、完全に熱中し、全面的に没頭しつつ、無欲になって十分に生き生きと経験することを意味する。青年のもつ自意識なしに、体験することでもある。この経験の刹那に人間はまったく完全に、人間になるのである。この瞬間が自己実現の瞬間なのである。この瞬間こそ、自己が自ら実現しつつあるときなのである。個々人として、われわれはすべて、時たまそういう瞬間を経験しているものである。(『人間の最高価値』マズロー)

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