構造主義|言語学,文化人類学,社会学,他

構造主義 structuralism

構造主義とは、ある事象の意味を、それ自体に求めるのではなく、それらの事象を関係づける社会的・文化的なシステム(構造)から説明する思想的な立場である。一般にソシュールの言語学やレヴィストロースの文化人類学、フーコーの精神心理学などがその代表である。1950年代にフランスに登場し、60年代に世界的な流行となった思想運動広まった。具体的な事象は、それらを意味づけている社会的・文化的システムと深い関連(構造)の中で存在しており、その構造の中で他の要素と関係づけられることによって意味を得る。構造主義は、個々の人間の行為を、それらを関係づけ意味づける歴史的・社会的に形成された全体的体系(構造)から解明する。

構造(システム)

構造(システム)とは、それぞれの事象や行為の関連(体系)のことであり、意味を与える関係の体系行為や事象を関係づける規則の体系である。社会は、人びとの言葉や行為を関係づける体系(構造)によって、支配されており、その体系の枠組み内の関係によって、それぞれの言葉や行為の意味が定まる。

思想の源泉

全体と部分の間にみられる構造という考え方は、ヘラクレイスは「世界は変化することで安息している」、ブッダの縁起説にも見られる。19世紀には、マルクスが唯物論の観点から社会の下部構造において、生産関係という社会構造を問題にした。また、フロイトは、精神分析学を創始し、人間の意識はその背後に無意識による構造化されているとした。現象学の創始者フッサールは、全体と部分の関係について独自の記述的分析をおこない、a href=”/フッサール”>フッサールに影響されてゲシュタルト心理学が成立した。

代表的な構造主義者

代表的な構造主義者には、レヴィストロースミシェル・フーコー、ジャックラカン、ロランバルト、ルイ、・アルチュセールがあげられる。

理性主義批判

構造主義において、主体や意識とは離れたところで機能する構造を認めたため、人間主義や理性主義といった近代的な思考様式が否定・弱体化されることとなった。

西洋進歩主義批判

構造主義が台頭した当時欧米社会において、未開社会は低くみられる傾向にあったが、未開社会はけっして迷信ではなく、高度に抽象的な部分が認められる。西洋中心主義の進歩史観が相対化されることになった。

歴史批判

構造の偶発的・共時的に生成は、これまで常識であった、歴史が一つの方向に発展するという見方や歴史に意味があるという見方を否定する。構造主義は、世界を重層的な構造としてとらえ、人間をそれら諸構造のトップに据えるのではなく、あくまでそうした多様な構造の接点とみる新たな世界観を形成した。

ロマン・ヤコブソン

言語学者ロマン・ヤコブソンを中心とするプラハ言語学サークルの研究によって構造主義革命は起こる。ロマン・ヤコブソンは、音韻論の分野で音素研究に貢献したが、研究を通じて、ここの音の、音同士の差異に気づき、構造という言葉をつかった。レヴィストロースは、ロマン・ヤコブソンの研究をヒントに文化人類学研究に生かした。

ソシュール

ソシュールは当時、歴史言語学が主流であった時代に、構造言語学を提唱した。言語を、その語それ自体ではなく語と語の間の関係や差異に着目して説明している。

レヴィストロース

レヴィストロースは、ヤコブソンの言語学をヒントに、文化人類学のフィードワークを通して、民族の風習(近親相姦のタブー)を研究し、その中に一定の構造が存在することを説明した。人間社会は構造が一定の影響力があることを示した。

ミシェル・フーコー

フーコーは、精神医療を通じて権力の構造を分析し、狂気や異常が学校、病院、刑務所などの権力構造から外れていることにすぎない、と批判し、歴史が狂気と理性、正常と異常を作りだした、と分析した。

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