快削鋼
快削鋼(SUM材)とは、鋼に硫黄(S)、マンガン(Mn)、リン(P)、鉛(Pb)などの元素を添加し、切削加工時に生じる抵抗や摩耗を低減し、切りくず処理性の向上と高速・高精度な機械加工を容易にするよう設計された特殊鋼である。快削鋼は強度が問わない部品には低炭素であるが、引張強さを要求する母材用では中量の炭素を含有し、焼ならして使用する。JISではSUMの記号で表され、強度がSS400に相当するSUM31、S45Cに相当するSUM43などの規格がある。自動車部品や工作機械部品、精密機器のシャフトなど、幅広い分野で活用されており、生産性向上とコスト削減の両立を実現している特徴がある。
快削鋼の定義と特徴
快削鋼の定義は、機械加工時に高い切削性を示し、部品の高速生産を可能にする鋼種であるとされている。具体的には切削工具に負担をかけにくく、刃先の摩耗を抑制し、同じ工程でもより短時間で製品を加工できる点が大きな特徴である。これは金属の結晶粒子間でうまくせん断が起こるよう添加元素や組成比率が調整されているためであり、被切削材と工具の摩擦が少ない状態をつくりやすいことに関係している。
快削鋼をピカッと削んのもまためんどいよね。
はい、次。 pic.twitter.com/zxdSU59jRX
— わこちゃん (@WAKO47939386) August 22, 2023
主な用途
工作機械による大量生産が求められる現場においては、高い切削性を持つ快削鋼が不可欠である。自動車エンジンやトランスミッション部品など、量産効果がコストと品質に直結する領域では特に需要が大きい。また精密ネジ、シャフト、ピンのようにサイズに厳密な公差が必要とされる部品でも有用である。最近では家電製品や医療機器に組み込まれる微細部品にも用いられる事例が増え、多様な産業分野で重要性を増している。
ピンを作ろうとφ4快削鋼を見積りしてもらったら送料だけで5000円を超えていたorz
お金がないのでホームセンターで素材購入w
最近は径が書いてあるので助かりますね。
プログラム書くのに何時間も掛けるのにピン一個5分位で作れちゃうw pic.twitter.com/rY3QmhhsQf— R.F.A製作所 (@Mk22Mod0) October 15, 2023
成分設計
快削鋼の切削性を高めるカギとなる添加元素として、硫黄(S)が代表的である。硫化マンガン(MnS)として形成される非金属介在物が切りくずを形成しやすくし、被加工材と工具の間で潤滑効果をもたらすため切削抵抗を低減できる。さらにリン(P)を添加すると機械的強度に変化が生じ、鉛(Pb)を添加する場合は被切削性を一層向上させることができる。ただし過度の添加は延性や靭性を損なう可能性もあるため、用途や要求特性に合わせたバランス設計が不可欠である。
硫化マンガン(II)
硫黄(S)とマンガン(Mn)は化合して脆い硫化マンガン(II)(MnS)が生じる。
リン
リン(P)は脆い性質があり、削りやすくなる。
快削鋼の成分
製造プロセス
一般的な製造プロセスとしては、溶解した鋼に硫黄やリンなどの元素を適切な濃度で添加し、鋳造や圧延を行う流れがとられる。添加元素が均一に分散するよう制御するため、精密な温度管理と攪拌技術が用いられている。連続鋳造を採用する製鋼所も多く、生産効率向上に寄与している点が特徴的である。こうした工程を経て得られた快削鋼は、ロッドやバー、シートといった形状に加工され、最終的に多彩な加工現場へと供給される。
切削性の評価方法
切削性を評価するには、工具の摩耗速度や加工面の粗さ、切りくずの形状などを指標とする実験的手法が採用される。標準的な切削条件下でテストを行い、工具寿命を比較することで快削鋼が持つ切削性の優位性を数値的に示すことができる。さらに被削材の硬さや組織状態の観察も重要なポイントである。近年では切削時の振動や音響を分析することで、切りくず排出の効率をリアルタイムで測定する技術も研究されている。