図形の省略
製図において対象物の図形は簡潔に描くために、一部分を省略して描くことができる。補助投影図によるその他の省略、ねじ穴や穴の省略、投影図の省略など省略を利用して間接でわかりやすい図面を描く必要がある。
かくれ線の省略
かくれ線は、図形の理解を難しくするため、できるかぎり省略する。
補助投影図
補足の投影図に見える部分のすべてを描くと、わかりにくい図面になる場合がある。この場合は、図を省略し、部分投影図や補助投影図を使って描く。
補助投影図1
補助投影図2
線の省略
切断面の先方に見える線は、省略することができる。
特定の形状
一部に特定の形をもつ形状の場合、特定部分が図の上側に現れるように描く。キー溝をもつボス穴、壁に穴又は溝をもつ管やシリンダ、切割りをもつリングなどの場合がそれに当たる。
穴の省略
ピッチ円上に配置する穴などは、側面の投影図(断面図)において、ピッチ円が作る円筒を表す細い一点鎖線と、その片側だけに1個の穴を図し、ほかの穴の図示を省略することができる。
対称図形の省略
図形が対称形状のとき、対称図示記号をつけて片側を省略することができる。中心線の片側の図形だけを描き、その中心線の両端部に短い2本の平行細線(対称図示記号)をつける。なお、中心軸の片側の図形を、中心線を少し越えた部分まで描くときは、対称図示記号を省略することができる。
繰返し図形の省略
同種同形のものが多数並ぶ場合には、実形の代わりに図記号をピッチ線と中心線との交点に記入することで省略することができる。ただし、図記号を省略する場合には、その意味を分かりやすい位置に記述するか、引出線を用いて記述する。
ねじ穴の図形を省略
長穴の図形
ピッチ円による穴の投影
両端部(一端は1ピッチ分)または要点だけを、実形または図記号によって示し、ほかはピッチ線と中心線との交点で示すことができる。ただし、交点の位置が明らかなとき、繰返し部分の数を寸法記入または注記することで、ピッチ線に交わる中心線を省略することができる。
中間部分の省略
図形が同一形状で、紙面をはくために重要部分だけを指示すれば、中間部分を省略することができる。具体的には、軸、棒、管、形鋼などの同一形状、ラック・工作機械の親ネジ・はしごなど同じ形が規則正しく並んでいる形状、長いテーパなどの部分(テーパ軸など)は、紙面を省くため中間部分を切り取って、その重要な部分だけを近づけて図示することができる。この場合、切り取った端部は、破断線で示す。なお、長いテーパまたはこう配の中間部分を切り取った図示で、傾斜が緩いものは、実際の角度で示さなくてもよい。