ヴァルナ|カーストにつながる古代インドの身分制度

ヴァルナ

ヴァルナは、アーリヤ人のイラン・インド地域に征服・定住して以降、前10ー前7世紀にかけて形成された厳重な階層身分制度である。アーリヤ人が定住した当初は、バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラの四つの基本的身分(ヴァルナ)が形成されたが、のち職業の分化・世襲に伴い、複雑化して約3000のカーストにつながる。異なるカースト間の結婚が厳禁されるなど、階級は固定化した。現在では憲法で生まれによる差別を否定しているが、実際には根強く残っている。

ヴァルナ

ヴァルナ

ヴァルナ

ヴァルナとは「色」を意味する語。アーリヤ人がインドに入ったころ、肌の色の違いが身分の違いを意味していたところから、この語は「身分」「階級」の意味でも使われるようになり、混血が進み肌の色と身分の対応関係がなくなってからも後者の意味で使われつづけた。

ヴァルナの世襲

ヴァルナは職業を世襲し、他のヴァルナとの間の結婚は禁止されるなど厳重な規定によって固定化された。次第にヴァルナはカースト制度へと発展し、時代とともに強化・複雑化して、インド社会の発達を妨げた。

カースト

カーストの語は、大航海時代に来航したポルトガル人が、インドの身分の区別を指す語として用いたカスタ(家柄・血統)に由来する。インドでは一般に生まれを意味するジャーティという語を用いる。

ヴァルナ

ヴァルナ

バラモン

バラモン(婆羅門)とは、司祭階層でヴァルナの最上位で、宗教と学問を司る階級である。バラモンの司祭する宗教をバラモン教という。バラモン教ヴェーダを根本聖典とし、民衆にはわからない複雑な祭式を行った。太陽神ヴィシュヌ、火神アグニ、雷神インドラを最も重要な神とした。

クシャトリヤ

クシャトリヤ(刹帝利)は、ヴァルナの第2位に位置する武士・貴族階層で、政治・軍事を担当した。

ヴァイシャ

ヴァイシャ(吠舎)は、ヴァルナの第3位に位置する一般庶民階層である。納税義務を負い、農民・牧畜民・商人などを指したが、のちに、商人を指すようになった。

シュードラ

シュードラ(首陀羅)は、ヴァルナの最下位で、上位3ヴァルナに奉仕する隷属民階層である。アーリヤ人に征服された先住民や奴隷階級で被征服民が大部分である。のちには、農業・牧畜はシュードラの職業とされた。

不可触民

不可触民(ダリト・ハリジャン)は、4種のヴァルナの枠外におかれ、差別された最下層の人々である。

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