フロントローディング

フロントローディング Front Loading

フロントローディング(FL,作業前倒し)とは、プロセスの前工程で大きな負荷をかけて前倒しで準備することで、後工程に負担を回さないプロジェクト管理である。最初に設計部門に負荷をかけることで、終わりに従い設計者を余らせることで、次の設計案件にスムーズに着手できることを狙いとする。そのため、前工程では設計部門だけでなく、企画部門、営業部門、製造部門、購買・調達部門と綿密に議論や情報共有を進めることで、後工程でほとんどトラブルのないような運営を行う必要がある。

リードタイムの短縮

フロントローディングの目的はリードタイムの短縮である。できる限り試作の製造を行う前段階で問題点をつぶしていき、スムーズに量産化させていく。量産工程で後戻りのステップがなければ開発設計部門は、スムーズに次のプロジェクトに移ることができる。

後戻りをさせない

フロントローディングでは、後戻りをさせないことを設計思想とした方法論である。前工程の中でも最初の企画段階では、企画部門や営業部門、マーケティング部門などと綿密に情報を共有し、どのような構想でプロジェクトを進めるかを詰める必要がある。以降は、その構想に逸脱しないよう振り返りながら設計を進める。設計が進めれば、製造部門、購買・調達部門、保守管理部門と連携をとることで、製造・保守に無理のない製品を作り上げる。これらがうまくいけば量産化では設計者が行うことはほぼなく、次のプロジェクトに携わることができるが、後戻りを多いと、それは不可能でいつまでたっても設計者の手から離れることはない。

設計品質

ただ単に前倒ししていくだけでは、フロントローディングは目的を達成できない。前段階でできるだけ設計品質を高くする必要がある。そのため初期段階から多くの問題点やリスクを洗い出して進める必要がある。

設計ツール

設計ツールを意識的に利用することでフロントローディングを実現する。それぞれの特性を理解しなければならない。

代表的な設計ツールの種類

DX

DXを活用することでフロントローディングを実現する。スケジューリングソフト、通信ソフト、3D CAD、解析ソフトなど多岐のデジタルソフトウェアを駆使することで、プロジェクトをチーム全体で管理共有し、時間的・空間的コストを抑えていく。

試作レス

3D CADや解析を駆使することで試作をなくすことが理想的である。すべての製品に対して試作レスを実行することが難しい場合は、新しい機能や設計部門のみに対象を絞って試作を行い、それを造りこみながら問題を発見していくなどの工夫が必要である。

コンカレントエンジニアリング

コンカレントエンジニアリングとは、開発部門がその構想の段階、あるいはその前後の工程で、関係部門と密に連絡を取る開発手法であるが、フロントローディングで進める。

企画・営業部門

商品の企画段階は、企画・営業部門がメインで行われるが、この段階で開発・設計部門も参加し、事前に情報を共有することである。この情報は市場調査結果や顧客の要求だけでなく、製品が現場でどのように使われているか、どういう不満があるか、噂話のレベルなど深く議論することで商品力のある開発を目指す。

製造部門への移管

フロントローディングでは、図面ができる前に製造部門と情報を交換し、その意見を取り入れながら検討を進めていく。したがって製図がし終わることには製造部門との同意は取れている状態となる。この段階ですでに組み立てやすさ、加工しやすさが達成されており、スムーズに量産工程へ移行することができる。

調達部門との情報共有

構想の段階で調達部門と情報を共有することで、設計が終わるころには、入手性のある部品、コストの安い部品、性能を満たせた部品を調達できるということになる。

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