ピローブロック
ピローブロックとは、転がり軸受と鋳物製またはプレス製のハウジングをあらかじめ一体化した軸受ユニットのうち、機械のフレームや架台の上面にボルト2本で据え付ける形式を指す。内蔵される軸受は外輪の外径面が球面に仕上げられており、ハウジング内面の球面座と組み合わさることで取り付け誤差を自動的に吸収する。芯出し作業が不要に近く、軸には止めねじや偏心カラーで固定できるため、コンベヤや農業機械、食品機械など精密な位置決めを要しない汎用の回転支持部で圧倒的に多く採用されている。JIS B 1559(転がり軸受ユニット)で形状・寸法が規格化されており、メーカーが異なっても同じ呼び番号であれば互換性が確保される点も普及の理由である。
ピローブロックの構造
構成要素はハウジング、ユニット用軸受、固定機構の3つに大別される。ハウジングの材質は一般にねずみ鋳鉄FC200で、腐食環境向けにはステンレス鋳鋼製や樹脂製が用意されている。内部の軸受は玉軸受ベースの深溝形が基本であり、外径面の球面によりハウジングとの間で±2°程度の調心が可能となる。両側には接触ゴムシールとスリンガを組み合わせた密封装置が備わり、内部にはグリースがあらかじめ封入されているため、多くの機種は無給脂で使用できる。給脂式の機種ではハウジング上部にグリースニップルが設けられ、稼働環境に応じて補給する構造である。軸への固定は止めねじ式が最も一般的で、ほかに偏心カラー式、テーパスリーブ式(アダプタ式)がある。止めねじ式は着脱が容易な反面、軸表面に打痕が残るため、再利用する軸ではカラー式を選ぶとよい。
軸受ユニットにおける位置づけと形式
軸受ユニットには取り付け面の向きによって複数の形式があり、ピロー形はその代表格である。上面据え付け以外の場面では、壁面に取り付けるフランジ形(角フランジ・丸フランジ・ひしフランジ)、フレームの溝に差し込んで位置調整できるテークアップ形、鋼板プレス製の簡易カートリッジ形などが使い分けられる。呼び番号の体系は共通で、たとえばUCP204であればUCが軸受系列、Pがピロー形、204が内径番号を表し、内径は20mmとなる。内径04以降は番号を5倍した値が軸径に対応するため、UCP208なら軸径40mmと即座に読み取れる。ラインナップは内径12mmクラスの小形から140mmを超える大形まで揃っており、転がり軸受の選定と同様に基本動定格荷重と許容回転数をカタログで照合して選ぶ。
単体軸受との使い分け
軸受単体を購入し、ハウジング穴を機械加工して組み込む方式と比較すると、ピローブロックの利点は据え付け工数の削減に尽きる。ハウジングのはめあい穴加工、芯出し、シール設計、初期給脂といった工程が不要になり、ボルト締結のみで軸支持が完成する。B2Bの調達現場では、UCP205クラスなら1個あたり数百円から1,000円台で流通しており、内製加工のコストと比べて桁違いに安い。ただし回転精度や剛性は単体のボールベアリングを精密ハウジングに組み込んだ場合に及ばず、工作機械主軸のような用途には適さない。高荷重が予想される箇所では、ころを転動体とするローラーベアリング内蔵の分割形プランマブロックが選択肢となり、こちらは製鉄設備や大型ファンなど重機械分野で使われる。静圧の油膜で支持する油圧ベアリングとは対照的に、あくまで簡便さと経済性を優先した機械要素といえる。
主な用途
ベルトコンベヤやローラコンベヤのプーリ軸支持が最大の用途であり、搬送機械では両端にピローブロックを1個ずつ配置する構成が定番となっている。ほかに攪拌機、送風機、精米機や籾摺り機などの農業機械、製材機械、遊戯施設の回転部にも広く使われる。食品工場向けには、ステンレス製ハウジングと食品機械用潤滑剤(NSF H1登録品)を封入した仕様が展開されており、洗浄水がかかるラインでも耐食性を維持できる。粉塵の多い穀物エレベータでは、標準シールに加えてカバー付きの仕様を選定すると軸受寿命が大きく伸びる。
取り付けと保守の注意点
据え付けの手順自体は単純であるものの、実務ではいくつかの注意点がある。第一に、調心機能は静的な取り付け誤差の吸収を目的としており、運転中に軸が首を振るような動的ミスアライメントを許容するものではない。第二に、止めねじの締め忘れや緩みは軸とのクリープ摩耗を招く典型的な故障原因であり、規定トルクでの締結と増し締め点検が欠かせない。第三に、2個のユニットで軸を支持する場合、軸の熱伸びを考慮して片側を固定側、反対側を自由側として扱う配慮が必要になる。潤滑面では、無給脂形の許容温度は封入グリースの性能で決まり、標準品はおおむね−20℃から100℃の範囲で使用される。給脂形では潤滑剤の銘柄を混用しないことが原則であり、増ちょう剤の異なるグリースを補給すると軟化や油分離を起こす。回転数の目安として、UCP205(軸径25mm)のグリース潤滑時許容回転数は毎分6,000回転程度であるが、シール接触部の発熱を考えると常用域はその半分以下に抑えるのが現場の通例である。
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