インターロックスイッチ
インターロックスイッチは、可動式ガード(扉・カバー・フェンス)と機械の危険源の状態を機能的に連動させ、ガードが開放している間は始動・運転を禁止し、停止後でなければ開放できないようにする安全機器である。ISO 14119は装置の類型と設計原則を与え、ISO 13849-1やIEC 61508は達成すべき安全性能(PL/SIL)を規定する。代表的には、工作機械、産業ロボット、プレス、包装機、搬送ラインに用いられ、強制誘導接点や二重チャネル配線により単一故障時でも危険側へ移行しにくい設計を実現する。
定義と目的
インターロックスイッチは、ガードの位置・状態を検出し、安全制御系に信号を提供することで、危険運動の発生を抑止する。目的は「人が到達可能なときに危険源を停止させる」ことであり、許容できないリスクを残さないよう、フェイルセーフ、冗長、診断を組み合わせる。停止時間が長い装置や慣性が大きい機械には、保持力を持つガードロック付きデバイスを選定する。
構造と動作原理
インターロックスイッチは、ガードの閉状態で安全チャネル(通常はNC)が導通し、開状態で確実に開離する。強制開離(ポジティブオープニング)機構により、接点溶着時でも作動子の機械式駆動で接点を引き剥がす。非接触式では半導体出力(OSSD)や相互監視で短絡・地絡・クロスフォールトを検出し、異常時に停止信号を出力する。
機械式と非接触式
機械式はプランジャや舌片(トング)を用いてガードの直結動作で接点を切替える。非接触式は磁気、光学、RFIDなどでガードの存在を検知し、据付の自由度や耐振動・耐塵性に利点がある。一般に非接触式は整合性の高い自己診断とタンパ抵抗性を持つが、電磁環境や取付ギャップに設計配慮を要する。
強制誘導接点と冗長回路
EN/IEC 60947-5-1に適合する強制誘導接点は、NO/NCが溶着同時発生しにくい構造であり、二重チャネル配線と安全リレーのクロスモニタで故障を検出する。OSSD出力ではパルス監視により短絡・遮断・電源断を診断し、EDMにより外部接触器の溶着も監視する。
ISO 14119によるタイプ分類
- Type 1:一体式機械式(別体アクチュエータなし)。プランジャ等でガードに直接当接。
- Type 2:別体アクチュエータ式(トングキー等)。キー抜去で開離が確実。
- Type 3:非接触・非コード(磁気等)。取り扱い容易だが迂回防止策が重要。
- Type 4:非接触・コード(RFID等)。固有コードで代替物挿入を困難にする。
ガードロック付きデバイス
停止完了まで扉を保持するガードロック付きインターロックスイッチは、保持力(Fzh)や開放遅延、脱出機構(エスケープリリース)、強制解錠の有無を基準に選ぶ。ロック方式は「パワー・トゥ・ロック」「パワー・トゥ・アンロック」があり、停電時のふるまい(即時解放/保持継続)をリスク評価で選定する。
安全制御との接続
二重チャネル出力をセーフティリレーまたは安全PLCに接続し、EDMと手動リセットで再起動防止を確保する。多扉システムではシリーズ配線時の診断低下に注意し、個別監視やOSSDパラレル化は規格要件(DCavg、PFHd)を満たすよう評価する。ミューティング・バイパスは限定条件下に限定して実装する。
選定の要点
- 要求性能レベルPLr(ISO 13849-1)を起点に、MTTFd、DCavg、CCFを満たす構成を決定。
- タンパ抵抗性:コード化レベル、隠し固定、キー保管、届き回り防止寸法を確保。
- 環境条件:IP、周囲温度、振動、洗浄薬品、ケーブル引張・屈曲への耐性。
- 人間工学:扉の慣性、開口寸法、インターロック位置、点検用の非常停止設置。
- 保全:インジケータ、診断ビット、コネクタ化で交換容易性を高める。
誤動作・迂回(タンパ)対策
代替キーの差し込みやマグネット仮当てを防ぐため、Type 4のコード化や複合手段(ロック+位置検出)を採る。扉隙間からの手の侵入を防ぐため、到達距離に基づく最小距離とライトカーテンの協調を図る。ケーブルの短絡・ブリッジは二重チャネルと自己診断で検出し、迂回痕跡は定期点検で把握する。
試験・検証・保全
初期検証では停止時間測定とロック保持力確認、自己診断の故障検出テストを行う。定期点検では接点の摩耗・溶着、ヒンジのがた、OSSDのテストパルス応答、EDMの動作、ログの時系列を確認する。交換は想定ミッションタイム内で実施し、交換後は再妥当性確認を行う。
代表的適用例
- ロボットセルのフェンス扉:ロック付きでティーチング時は限定速度に切替。
- 工作機械の前面カバー:Type 2トング式で切粉・冷却液環境に対応。
- プレス周辺:扉+リミットスイッチで位置検出を冗長化。
- 充填包装ライン:防水仕様、コネクタ式で段取り替え時間を短縮。
関連機器との使い分け
インターロックスイッチは囲い・扉の管理に特化する。一方、近接エリア保護にはライトカーテン、非常時の人手介入には非常停止、シーケンスの論理統合には安全PLC、安全入出力の集約にはセーフティリレーが有効である。リミット検出の補助にはリミットスイッチやリードスイッチを用い、エンコーダ計測ではアブソリュートエンコーダやインクリメンタルエンコーダと安全制御の整合を図る。