セーフティリレー|非常停止と冗長監視で設備保護

セーフティリレー

セーフティリレーは機械安全において非常停止やガードドア、光電センサなどの入力を安全に監視し、危険源への電力遮断や停止カテゴリに応じた出力制御を行う安全制御用リレーである。内部には二重化回路と強制ガイド接点(EN 50205)が組み込まれ、片系故障時でも危険側に倒れない設計となる。機械指令やISO 12100に基づくリスクアセスメントの結果に応じ、ISO 13849-1のPL(Performance Level)やIEC 62061のSIL達成に寄与する安全機能の中心要素として用いられる。

安全規格と位置づけ

セーフティリレーはISO 13849-1/2、IEC 62061、IEC 61508の枠組みで評価される安全関連部品である。入力機器(非常停止、ガードスイッチ、ライトカーテン等)と安全出力(主接触器、ソレノイド等)の間で診断機能を担い、PFHd(危険側故障率)やDC(診断カバレッジ)向上に寄与する。電気的特性はIEC 60947-5-1やIEC 60947-4-1等に適合し、機械安全のFunctional Safetyを実装するうえでの標準的なソリューションである。

基本構成と動作原理

セーフティリレーは通常、二重化入力(CH1/CH2)、相互監視ロジック、強制ガイド接点をもつ出力リレー、電源監視、EDM(External Device Monitoring)を備える。二重化入力に対し時間差・同期条件を課すことで短絡や単線断を検出し、異常時は自己保持を解除して安全出力を遮断する。強制ガイド接点により溶着時の矛盾出力を物理的に防ぎ、診断ラインで不一致を検出する。

対象入力と安全機能の例

  • 非常停止(赤色/黄色マッシュルーム):停止カテゴリ0/1に応じた電源遮断や制御停止を実行
  • ガードドアスイッチ/インタロック:扉開放時に危険運動を許可しない
  • ライトカーテン(OSSD):遮光時に出力OFF、復帰は手動リセットとEDMで確証
  • 二手操作(2-hand):同時押し監視で片手操作・道具差し込みを防止
  • フットスイッチ/エネーブルスイッチ:作業姿勢に応じた安全許可を付与

リセット方式と誤動作防止

リセットは自動復帰と手動復帰に大別される。一般に非常停止やガード監視では手動復帰が推奨され、危険源近傍での視認・確認操作(Acknowledgement)を要件にする。EDMは下流の主接触器の補助接点を監視し、溶着や配線誤り時の誤復帰を防ぐ。クロスフォルト検出や同期監視によりCH1/CH2の短絡、アース故障も検出可能である。

接点定格と適用カテゴリ

セーフティリレーの出力はAC-15/DC-13など負荷カテゴリで定格が示され、インダクティブ負荷の遮断能力や電気的寿命(B10d)を確認する。主回路の遮断は安全接触器や安全ソレノイドと組み合わせ、シリアス故障時でも回路が安全側に移行するよう冗長構成を採る。誘導性負荷にはサージ対策(RCスナバやダイオード)を併用し、接点劣化と誤動作を抑える。

PL/SIL達成の設計指針

要求PLやSILに対し、MTTFd、DC、アーキテクチャ(カテゴリー)を満たす構成を選ぶ。たとえばCategory 3/4(PL d/e)では二重化+診断を要求し、セーフティリレーの相互監視やEDMが有効である。PFHdは機器データシートの故障率と使用率から算出し、定期点検間隔や証跡(テストレポート、試験記録)を管理して実使用条件に適合させる。

配線例と実装のコツ

二重化非常停止ではCH1/CH2を独立配線し、シールドや配線ルートで相互干渉を避ける。ライトカーテンはOSSD1/2を二重化入力へ接続し、論理は自動復帰禁止+手動リセットとする。EDMには主接触器の補助接点を戻し、メカ溶着時の復帰不能を確認する。配線色・端子記号・ラベルを図面と一致させ、保全時の誤接続を防ぐ。

セーフティPLCとの違い

セーフティリレーは定型ロジック(非常停止、ガード監視、2-hand等)をハードウェアで迅速に実装できる。一方、セーフティPLCは複数安全機能の統合、論理分岐、ネットワーク診断に優れる。小~中規模の単機能にはリレー、大規模生産ラインや再構成要求がある場合はPLCが適する。いずれもPL/SIL達成の検証と妥当性確認(Validation)が不可欠である。

故障検出と診断機能

  • 入力短絡・断線:同期監視・電圧レベル監視で検出
  • 接点溶着:強制ガイド接点+EDMで復帰不可を担保
  • アース故障:片線接地や外来ノイズを検知し安全側へ移行
  • 自己診断:電源異常、内部リレー不一致、温度上昇の検出

よくある不適合と対策

片チャンネル配線やリセットの自動化は診断カバレッジを低下させる。非常停止の並列多段接続は配線抵抗増大や診断不全を招くため、ゾーニングと端末監視で対処する。バイパス用の一時ジャンパは手順化・施錠管理し、作業後は原状回復と試験を必ず実施する。

選定ポイント

  • 要求PL/SILとカテゴリ:PFHd・DCを満たす型式か
  • 入出力点数:二重化入力数、EDM有無、補助出力
  • 定格:AC-15/DC-13、開閉容量、周囲温度、耐振動
  • リセット方式:手動/自動、外部リセット端子の位置
  • 認証:CE、UKCA、UL、TÜV等の適合表示

保全とライフサイクル

定期点検では非常停止・ガード・ライトカーテンの作動試験、EDM結果、復帰手順の確認を行う。B10dに基づいて予防交換周期を設定し、交換後は検証記録を保存する。変更管理(配線変更、機器置換)時はリスク再評価を実施し、図面と現物の差異を是正する。

導入時の実務的留意点

電磁両立性や外来ノイズ対策としてアース、配線分離、サージ吸収を徹底する。主接触器との協調でアーク抑制を図り、制御盤の放熱とクリアランス/沿面距離を確保する。設備の停止カテゴリ、余走距離、残留リスクに応じて安全機能を選定し、作業者教育と手順書整備でヒューマンエラーを低減する。最後に、検証・妥当性確認の実測記録を整備し、監査時のトレーサビリティを担保する。