『人間知性論』(『人間悟性論』) ジョン・ロック

『人間知性論』(『人間悟性論』) ジョン・ロック

『人間知性論』とは、イギリスの政治学者・哲学者ジョン・ロックの主著で、1690年に刊行された。人間に生まれつきそなわる生得観念を否定し、一切の知識の源泉を経験に求める経験論の立場から、人間の認識作用を考察した。心の意識にあらわれる観念は、外から印象を受け取る感覚と、心の内の動きを観察する反省という二つの作用をもとに発生し、理性はこれらの経験から生まれた観念を使って推理や思考を行う。『人間知性論』の第一巻では、生得観念が存在するのだという見解(生まれながら人間の心の構造の一部として存在しているような観念をわれわれはもっているとする見解)を検討しつつ、これを否定し、第二巻では、人間は白紙(タブラ・ラサ)の状態で生まれ、心には、文字をまったく欠き、観念を少しももたないと主張し、心は如何にして観念をそなえるようになるのか(ジョン・ロックの経験論)について議論している。第三巻では言語と観念について書かれており、言語を、われわれの観念を感知可能なものにしてくれるしるしからなる記号の体系だとした。第四巻は「知識と臆見について」と題され、知識とは我々の任意の観念同士の結合、一致あるいは不一致や背馳の知覚であるとし、知識について論じられている。

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