鋳物用アルミニウム合金|砂型・金型用/ダイカスト用アルミニウム合金

鋳物用アルミニウム合金

鋳物用アルミニウム合金には、鋳物に使われるアルミニウム合金である。鋳物用として使用される砂型・金型用(記号はAC)と、溶融金属を高圧で鋳型に流し込んで使用されるダイカスト用(記号はADC)がある。本来アルミニウムは、鋳物を作りにくい金属であるが、ケイ素(Si)やマグネシウムを加えることで鋳物で作ることができる。鋳鉄と比較して軽く、溶解温度が低いため広く利用されている。実用合金としては、Al-Cu系、Al-Si系、Al-Mg系に分けられ、さらにこれらにSi、Mg、Ni、Cu等を添加している。エンジン、トランスミッションなどの自動車部品、家電製品や日用品などの用途で使われる。

鋳物用アルミニウム合金

鋳物用アルミニウム合金の表し方には、AC4Cなどと表される。Aluminum、CはCasting(鋳物)を表している。数字は添加元素による種別、その後のA、B、Cの記号は同一合金系の中での添加元素量を示している。

アルミニウム合金鋳物

Al-Si系(シルミン)

Al-Si系は、非熱処理型合金で熱膨張率が大きいため、鋳造には適さないアルミニウムにSiを加えることによって融点を下げ、凝固収縮が下がり、湯流れをよくすることで、鋳造性を高めた合金である。シルミンともよばれている。JIS AC3Aが相当合金である。鋳造性・耐摩耗性が高く、計器部品やクランクケースなど薄肉鋳物に用いられる。

Al-Mg系(ヒドロナリウム)

Al-Mg系(ヒドロナリウム)は、非熱処理型合金で、強度や耐食性に優れ、伸びはアルミニウム合金鋳物の中で最大である。鋳造性が劣る。マグネシウム(Mg)量は5%で、AC7Aが相当合金である。

Al-Cu系(ラウタル)

Al-Cu系(ラウタル)は、強度や切削性に優れるが、鋳造性が劣る。銅(Cu)4~5%のAC2Bがその代表である。強度は大きいが伸びは小さい。全体的に使用量は少ない合金系であるが、架線用部品、自動車部品、航空機用油圧部品などに使用されている。

Al-Si-Mg系(ガンマーシルミン)

Al-Si-Mg系は、熱処理型合金Al-Si系のSi量を減らして、少量のMgを添加したものであり、時効硬化(焼入れ後、時間の経過にともなって硬化する現象)により強度が向上する。ガンマーシルミンともよばれる。AC4Aが相当合金である。AC4CやAC4Dは同傾向の素材で高温強さもよく、溶接も可能で、エンジン部品やシリンダーヘッドなどに使用されている。

ダイカスト

鋳物用アルミニウム合金は、溶点が低いため、金型に溶融した金属を圧入するダイカストに適している。砂型鋳造よりも精度が高く、短時間で大量生産ことができるが、大物には適せしていない。インゴットと呼ばれる型で成形し、溶解炉で溶かして鋳造する。

アルミニウムダイカスト合金

アルミニウムダイカスト合金はADC(Aluminum alloy Die Castingの頭文字)とそれに続く数字で示されている。ADC1やADC2などあるが、その多くはAl-Si-Cu系のADC12である。軽量化に優れているため、自動車用の各種部品に用いられている。鋳造だけでなく、切削にも適するバランスのよい合金である。なお、ダイキャストは、精度の高い金型に溶融金属を高圧で注入して、すばやく凝固させて成形する。他の鋳造法と比較して生産性や寸法精度などが優れている。ダイキャストで使用する溶かしたAlには、優れた鋳造を行うために、高い流動性が求められる。

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