設計FMEA Design Failure Mode and Effects Analysis
設計FMEAは、製品の機能・構造・インタフェースに内在する潜在不具合(故障モード)を設計段階で系統的に洗い出し、影響・原因・既存管理を評価して優先度を定め、是正・予防処置へつなげる手法である。製造工程に焦点を当てる工程FMEAに対し、設計FMEAは仕様・構造・材料選定・許容差・熱/振動/腐食などの環境条件、サブシステム間のインタフェースに焦点を当てる。評価にはS(重大度)・O(発生度)・D(検出度)を用い、RPN(S×O×D)やAP(Action Priority)で優先度を決め、設計段階で未然防止を実現することが目的である。
基本概念と適用範囲
設計FMEAの主対象は部品からシステムまでの全階層である。要求機能の不達成、過大応力、誤使用への脆弱性、製造ばらつきの設計吸収不足、誤組立を誘発する幾何形状など、設計に起因する不具合を想定する。評価は単独部品だけでなく、熱膨張の差、電気的ノイズ、流体共振のような相互作用まで含めることが重要である。
FMEAには種類があります。
設計を対象にするDFMEA(設計FMEA)と、製造工程を対象にするPFMEA(工程FMEA)です。
同じ手法でも、何を洗い出すかが違います。
— 鈴木(崇)@神上コーポレーション株式会社CEO (@kogagami17) June 23, 2026
実施手順
- 対象システム・境界・前提条件の確定
- 機能の定義(名詞+動詞で明確化)
- 故障モードの列挙(機能否定・性能低下・過剰性能)
- 影響(エンドユーザ・下流工程)と重大度Sの評価
- 原因・メカニズムと発生度Oの評価
- 既存の予防・検出管理と検出度Dの評価
- RPN/APに基づく対策立案、責任者・期日設定
- 設計反映・検証・残余リスクの再評価
あ、これ、自動車メーカーのQAに報告すると、大変なことになるやつ。
設計工程で、「なぜ、そういう設定に設計したのか」の検証として、設計FMEAの提出が要求される。
たぶん、次の深堀をすると要因は、「設計者がメモリは故障しない『だろう』と考えていた。」になるのかな? https://t.co/JQ6QlfK4nv— S.W.@しがないOboe吹き (@sha_w_) October 7, 2020
準備:対象・機能の定義
境界条件(温度範囲、荷重、寿命、汚染、誤使用仮定)とインタフェースを明記し、要求機能を「何を・どの程度・どれだけの期間」の形で定義する。ここでの曖昧さは以降の評価を不安定化させるため、設計FMEAシート冒頭に必ず記録する。
This week's #QualityGlossary is about FMEA! Failure modes and effects analysis (FMEA) is a step-by-step approach for identifying all possible failures in a design, a manufacturing or assembly process, or a product or service. How do you use #FMEA? pic.twitter.com/jOK2d5kD0d
— ASQ (@ASQ) October 29, 2020
故障モードの洗い出し
機能否定(動作しない)、性能低下(規格外)、過剰性能(安全・信頼性の低下)、不安定(環境依存)などの観点で発想する。締結部であれば、ゆるみ、座面陥没、疲労破断、腐食結合などが候補となる。例えば設計対象がボルトの場合、軸力不足や過大トルク、熱サイクルに伴う緩みを網羅する。
これ。
人の命が絡むのに、『設計FMEA』によるリスク検証をやってないのが丸解りだから、
7月の法改正、本気か?とおもう。 https://t.co/Kc2UKIcHW5— S.W.@しがないOboe吹き (@sha_w_) July 7, 2023
影響・原因・管理策の評価
影響はユーザ安全・法規・性能・保証費用で評価し重大度Sを定める。原因は設計パラメータ(厚み、リブ、材質、表面処理、クリアランス等)とメカニズム(座屈、摩耗、電食、キャビテーション)で表現し、発生度Oを決める。既存管理(冗長設計、許容差設計、材料規格、解析、試験、検図)を整理し検出度Dを評価する。
リスク優先度とアクション設定
RPN(S×O×D)は単純で比較しやすいが、重大度の高い項目を見落とすリスクがある。AIAG-VDAの枠組みではAPを用い、Sが高い項目を優先的に対策する。設計FMEAではS低減(フェールセーフ、冗長化)とO低減(強度余裕、ばらつき吸収設計)、D向上(診断・検出機能付与、解析・試験強化)を組み合わせる。
【FMEAを論文に活かす方法】
①故障モードの洗い出しで「網羅性」を示す
②RPN(リスク優先度)で定量的判断を示す
③対策の優先順位に技術者の判断を入れる「設計根拠を示せる人」という印象を与えられます。#技術士 #信頼性設計 #FMEA
— ゴリラ先輩 (@gollia_senpai) May 28, 2026
対策・検証・フィードバック
対策は「具体策・責任者・期日・期待効果」を明記し、設計変更をECNにて管理する。CAE、試験、実機評価で効果を検証し、S/O/Dを更新して残余リスクを記録する。未完了項目は設計ゲートで承認保留とし、設計FMEAは量産後の市場不具合からも学習してリビジョンを更新する。
設計FMEAなら設計が作りそれを品質部門がチェック、工程FMEAなら生技が作って品質部門がチェック、くらいがバランス良いと思ってます!
— 生技chan (@seisangijutsu_c) March 26, 2024
設計プロセスへの組み込み
- コンセプト段階:主要機能・リスク仮説の粗スクリーニング
- 詳細設計段階:要素設計・公差・材料・環境耐性の具体評価
- 試作段階:試験計画とリンクし、検証でDを現実値へ更新
- 設計審査:DRの議題としてハイリスク項目の意思決定に活用
設計FMEAはDRや変更管理と循環させると効果が高い。購買・製造・サービスの知見を取り込み、設計製造連携を強化する。
設計・製造・品質での認識ズレが典型例。
「どの基準で決めたのか」「誰が承認したのか」が不明確だと、要求事項との整合性を問われやすいポイントです。要求事項→特殊特性→設計FMEA→ 製造FMEA → コントロールプランの一貫性が肝。 pic.twitter.com/nlFEis357u
— 品質さん (@chokyori_tsukin) October 22, 2025
モデルベース・解析の活用
MBD/MBSEやCAEは、原因の物理メカニズムを定量化しOやDの根拠を強化できる。流体・熱・構造・電磁界解析により閾値や余裕度を示し、FMEAの文言を「現象→因子→指標→閾値」で統一する。試験では加速試験・環境ストレスで再現性を確認し、検出機能の有効性を評価する。
よくある失敗と対策
- 後追い作成:図面確定後の形式作成を禁止し、初期から並行実施する。
- 用語の曖昧さ:機能・原因・影響を定義表で統一し、属人化を避ける。
- 評点の主観:評価基準表とレビュー体制を整備しバラツキを抑える。
- 対策未完了:責任者・期日・検証方法を明記しゲートで承認判断する。
- 境界条件漏れ:温度・湿度・腐食・振動・電磁ノイズなどの環境表を前提に添付する。
過去の失敗を教訓にするのはいいですが、それが原理原則に基づいて原因究明されたものなのかは非常に重要です
それがされてない中で教訓にしたところで、その対策が本末転倒なものになるからです
という状況の中で設計FMEAの作成が進められていて、今後の設計活動が難儀しそうです
— HG@製造現場ぼやき (@motoE_plt) July 26, 2022
テンプレートの要点
設計FMEAシートは、部品番号・図面版数・対象機能、項目、故障モード、影響、S、原因、O、現行予防/検出、D、RPN/AP、推奨対策、責任者、期日、実施結果、更新後S/O/D、残余リスク、参照資料(試験成績・解析レポート)で構成する。CTQや法規要求とのトレーサビリティを列に持たせると有効である。
関連手法との関係
QFDで顧客要求から設計特性を導き、設計FMEAで不具合を未然防止し、FTAで上位事象の論理関係を検証する。DRBFMは変更点に焦点を当て、影響の見落としを抑える。これらを併用することで、設計品質・安全・信頼性を包括的に高められる。
設計FMEAとDRBFM…..
考えるの面倒くさいけど、やり込めば技術力は向上するんだよなぁ…
大っ嫌いだけど😀もうちょい検出率低い奴出てこいや❗️笑笑
— ナタ (@opnismo) December 2, 2019
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