空海(弘法大師)|真言宗の開祖,密教,大日如来,即身成仏

空海

空海(774~835年)は真言宗の開祖。主著『即身成仏義』『十往心論』『三教指帰』『性霊集』。最澄とともに平安仏教を代表する仏僧で弘法大師と呼ばれる。
讃岐国郡(現在の香川県善通寺市)に郡司の子として生まれる。15歳のとき上京し、『論語』や『史伝』などを学び、18歳の時、京都の大学寮に入り、漢学などを学ぶが、翌年ごろから山林での修行に入り、四国の各地で修行した。23歳で『三教指帰』を書し、儒教や道教に対する仏教の優位を説いた。29歳の時、遣唐使の留学僧に選ばれ翌年入唐。恵果に師事し密教を学び、師の死後は20年の留学期間を2年で切り上げ帰国した。高野山に金剛峯寺を建て真言宗を開いた。真言は大日如来の真実の言葉の意で、その秘奥を指して密教と呼ばれた。42歳での高野山の開創に取り掛かり、49歳で東寺(教王護国寺)を勅旨され、真言宗の確立に努めた。空海は、わが国、初の民衆の教育機関である綜芸種智院比の創立や灌漑地の改修工事や土木工事などをしながら日本各地を巡り、庶民の教化につとめた。62歲で死去した。
空海の真言密教によれば、この世界は大日如来の分身である多くの仏によって成り立ち、大日如来と一体化することが密教の目的である。それが、現実に生きているこの身がそのまま仏となる即身成仏である。この思想は西洋における神秘主義に類するものである。

空海

空海(弘法大師)の像

目次

顕教と密教

密教は、釈迦が説いたとされる顕教に対して、法身仏である大日如来が直接説いた教え。

大日如来

大日如来とは、密教の本尊のことをいい、宇宙の真理そのものであり、宇宙の中心・根源である。この宇宙観を図として描いたものが曼荼羅である、大日如来の分身として諸仏や菩薩.南王などが設置されている。

即身成仏

即身成仏とは、生きとし生けるものはすべて大日如来の顕現であり、三密の実践によってこの身のままで仏になれるという教え。真言宗の思想の中心をなすもので、死後成仏ではなく、現世の幸福に重きを置く平安仏教の特色を示している。空海は、三密の行によってこの肉体そのものが大日如来と同化し、宇宙に偏在する仏の清らかな命を力強く生きることができると説いた。

三密

空海は、「三密加持して速疾に顕わる」と説く。即身成仏の考え方であるが、手に印契を結び(身密)、口に仏の真言を唱え(語密)、心に本尊を観じて(心密)、それらが一体となるように修行をすると、「三密相応して加持し」(仏の慈悲と智慧が人に加わり、これを人が受け止めて保持すると、人と仏の一体化がおこり、「速疾に頭わる」(その身たちまちにして仏となる)と説いているのである。
こうして現世にいながらにして仏となったものには大いなる力が宿るとされ、雨乞いや疫病除けなど、様々な鎮護国家の祈りも行われるようになっていつた。

『即身成仏義』

手に印契を結び、口に真言をとなえ、心を集中させれば、身・口・意の三密が一体となって仏の力が行者に加わり、すみやかに解脱の境地を得ることができる。もし行者がこの真理のことわりをつねに念じれば、三密が一体となるから、生きたこの身のままですみやかに仏の三種類の身体をあらわして悟りを開くことができる。即時・即日の場合と同じように、即身の意味もまたこのようである

『三教指帰』

『三教指帰』は空海24歳の著作。序文に、みずからの出家の経緯と執筆理由が語られている。放蕩青年とその親に対して、亀毛先生(儒教)・虚亡隠士(きよむいんし)(道教)・仮名乞児(仏教)がつぎつぎに教えを説くという戯曲的な構成をとり、儒教・道教・仏教の教えを比較して、仏教がもっともすぐれていることを主張している。

『十住心論』

『十住心論』は、空海の思想の集大成の書である。即身成仏の立場から、儒教や空海以前の仏教各宗の教えを総合的に位置づけ、大日如来を中心とする悟りに到る道程を10段階に分けて論じている。

東寺

東寺(教王護国寺)は現在の宗教法人名は教王護国寺である。平安遷都時に西寺とともに創建されたともいわれるが、時期は不明。823年、嵯峨天皇が空海に与え、官寺的性格も帯びていた。五重塔をはじめ国宝も多く、とくに講堂内の仏像(21体中15体が国宝に指定)は、密教の本質を示す曼荼羅の構成となっている。

綜芸種智院

綜芸種智院は空海が設立した庶民のための般初の私立学校。国家の大学は儒教中心であったが、仏教も含めてあらゆる学問(綜芸)を学ぶ仏の智(種智)の学校を意味する。828年頃の設立と考えられるが、食料の支給をするなど、広く貧しい庶民にも門戸を開いた。

大師伝説

大師伝説は各種あるが、おもに弘法大師(空海)が各地にあらわれ、「奇跡」を行ったという伝説が多い。杖で地面をつくと水が湧いた(弘法清水伝説)や杖が木になった話、また遊行を行基とする例もある。

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