福徳一致
徳(アレテー)を知ることができれば、そのひとは幸福であるというソクラテスの考え方を指す。人は無知(無知の知)であり、善を知ることができない。善を知ることのないひとこそが、悪の行為を行ってしまう。逆に言えば、善、即ち、魂の備えるべき徳(アレテー)についての知識があれば、それに導かれて善く生きることができ、そこに真の幸福があるとした。無知の知の立場に立つソクラテスにとって徳がなにかを知ることは、幸福を知ることにほかならないといえる。裏を返せば、徳(アレテー)を知っている人間が不幸であることはありえない。正義を貫いて徳(アレテー)をそなえた優れた魂を持って生きることにこそ、真の幸福があると説いた。