機械材料|機械に使われる材料の種類と分類

機械材料

機械材料とは、主に工業素材として使われる材料の一般である。使用目的の面から構造物に使用される材料、部品に使用される材料、工具に使用される材料などに大きく分かれる。また、成分の面からは、金属材料と非金属材料に大別され、金属材料は、鉄鋼材料や非鉄材料(アルミニウム、ニッケルなど)、非金属材料は高分子材料、無機材料(セラミックス、ガラス)、複合材料(プラスチック)などに分類することができる。(参考:機械材料の性質

歴史

18世紀にはじまった産業革命は、様々な機械を生み出した。機械を作る工作機、輸送機、電気機械、鉱山機械などであるが、機械材料は様々な機械の母体となり、機械的性質を決定づける要因のひとつである。したがって、機械の多種・多機能化や、厳しい機械性質や制度が求められるに従い、機械材料も多岐にわたるようになった。

機械材料

鉄鋼

鉄鋼は、強くて硬いものが多く、割れにくい。汎用性の高い素材で一般的に親しまれている。熱処理を加えればより硬く、より強くできる。しかし、錆びに弱く重量は重いため、軽量化には向いていない。その他の素材に比べて安価である。

記号 名称 特長
SPCC 冷間圧延鋼板 滑表面を持ち、酸化亜鉛めっきなどの表面処理がされている。
SPHC 熱間圧延鋼板 高温で柔軟に形成できる。溶接歪みが少ない。
SS400 一般構造用圧延鋼材 低価格で経済性が良い。強度や高度に優れている。溶接性が良い。
SS400D ミガキ棒鋼 磨表面
S25C 機械構造用炭素鋼鋼材 焼入れ性がよく低価格。
SGP 配管用炭素鋼鋼管 腐食性に優れ、給水管、排水管、ガス管に用いる。
STPG370 圧力配管用炭素鋼鋼管 耐圧性に優れいている。
S45C 機械構造用炭素鋼鋼材 調質性がよい。
SWP-A ピアノ線 耐食性に優れ、ばね性がよくばねに使われる。

合金鋼

記号 名称 特長
SCM435 クロムモリブデン鋼鋼材 高強度、疲労強度、溶接性がよい
SUJ2 高炭素クロム軸受鋼鋼材 ベアリング に使われ、耐熱性、耐摩耗性、腐食抵抗性がよい
SK4 炭素工具鋼鋼材 高硬度で刃物などの工具用に使われる。

特殊鋼(ステンレス)

記号 名称 特長
SUS316-WPA ばね用ステンレス鋼線 ばね性
SUS303 18-8ステンレス鋼 加工性に優れ、非磁性をもつ
SUS304 18-8ステンレス鋼 耐錆性に優れ、非磁性をもつ
SUS316 17-12ステンレス鋼 耐食性・耐蝕性・高温耐性に優れている
SUS440C 17Crステンレス鋼 強度磁化をもつ。耐熱性、切削性、耐食性、耐摩耗性に優れている。
SUS410 13Crステンレス鋼 非磁性、耐食性、耐熱性をもつが、腐食性が弱い。

非鉄金属

非鉄金属は、アルミニウム、ニッケル、マグネシウムチタンに代表され、加工性、入手性が良く、耐熱性、耐食性、流通性もよいため、機械設計において最もよく使用される。鉄鋼と比較して軽い。

記号 名称 特長
AC3A アルミ合金鋳物 軽量材
CAC403 青銅鋳物 (砲金) 導電性が高く、耐食性があり、機械的な強度も優れている
A1100 純アルミ 軽量で加工しやすく、熱伝導性、電気伝導性が良い
A2017-T4 アルミー般強力材 熱処理が可能。軽量で高強度・耐食性、熱伝導性が良い。
A5052-H34 アルミー般強力材 耐食板
A7075-T6 アルミー般強力材 軽量で加工しやすく、熱伝導性、電気伝導性が良い耐食性が優れている。
C2801P 黃銅板 良好な導電性、延伸性、可鍛性、抗菌性に優れている。
C3604BD 黄銅材 導電性、可鍛性がよく快削性に優れている。電子機器などで使用

鋳鉄

記号 名称 特長
FC200 ねずみ鋳鉄品 耐熱性、耐食性、硬度、切削加工性、非磁性をもつ。
FCD600 球状黒鉛鋳鉄品 高い強度をもつ。鋳造性で様々な形状を作れる。

無機化学物

無機化学物は、セラミックスやガラスに代表され、硬くて熱に強いのが特徴である。急激な温度変化を与えるとヒートショックにより破損する。化学的に安定な材料なので、腐食や耐薬品性に優れる。それと同時に、電気や熱伝導性は悪い。硬度が高いため、割れやすく加工が難しいため、複雑な形状には向いていない。

記号 名称 特長
グラナイト 石定盤材 耐久性と耐摩耗性をもつ。白、灰色、ピンク、赤、黒の色がある。
ジルコニア セラミックス 高高度、耐蝕性、絶縁性に優れている。透明性がある。
アルミナ セラミックス 高高度、耐摩耗性、耐食性、高い融点をもつ。
SIC セラミックス 高高度、耐摩耗性、耐食性、高い融点をもつ。
石英 ガラス 透明性、高い絶縁性、耐摩耗性、絶縁性をもつ。

有機化学物

有機化学物は、プラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムに代表され、軽くて変形しやすいものが多い。絶縁性がある。強度や耐熱性はあまり望めない。また、太陽光など紫外線にあて続けると劣化する。

樹脂

記号 名称 特長
MC901 MCナイロン 耐熱性、耐摩耗性、化学耐性、電気絶縁性を持ち、自己潤滑 する。
EP エポキシ樹脂 耐化学薬品性、耐水性、絶縁性、優れた粘着性をもつ。
PMMA アクリル 軽量で透明性を持つ。成形性がよくいろいろな形を持つ。
PC ポリカーボネート 軽量で、耐水性、透明性、耐熱性、耐化学薬品性を持つ。

ゴム

記号 名称 特長
NBR ニトリルゴム 耐油性、耐燃性、耐熱性、耐薬品性などの特徴を持つ
シリコンゴム 耐油性、耐燃性、耐熱性、耐候性などの特徴を持つ
バイトン(フッ素ゴム) 耐熱性、、耐摩耗性、耐油性、耐薬品性、耐候性を持つ

複合材料

複合材料とは、金属やプラスチック、セラミックスなど二種類以上の機械材料を組み合わせ、素材のもつそれぞれの特性を生かし単独では得られなかった機能、性能を持たせた材料である。板材・棒材・発泡材などを加工・変形し接着・溶接・圧延接合したもの等、さまざまなものがある。

  • エンジニアリングプラスチック
  • 繊維強化プラスチック(FRP)
  • ガラス繊維
  • 炭素繊維
  • 繊維強化金属(FRM)
  • 繊維強化セラミックス(FRC)
  • 金属基複合材(MMC)
  • 炭素繊維強化炭素複合材料(C/C)

機械材料の選定

あらゆる工業の基盤に用いられる機械や装置、またそれらによって製造される製品において、材料の特性を踏まえて慎重に選定していかなければあならない。日進月歩で素材の向上が行われているが、性能だけを求めてコスト高が問題になることもあり、慎重に選ばなければならない。

  • 機械的特性(強度・剛性・弾性・じん性・重量・比強度・比剛性・摩耗性・寿命など)
  • 電気的特性(電気伝導性・帯電性・磁性など)
  • 熱特性(耐熱性・熱伝導性・断熱性・体積膨張性・変態点・寸法安定性(線膨張係数)など)
  • 環境特性(耐熱性・耐寒性・耐腐食性・粉塵)
  • 加工性(切削性・鋳造性・鍛造性、溶接性・接着性、表面処理性(めっき・塗装)など)
  • コスト(素材自体の値段・加工費・品質安定性・入手性・標準性)
  • 安全性
  • 廃棄性(環境に有害でないか・リサイクルが可能か)
  • その他(経年特性・磁化特性・反射/透過性・色・JISの対応)
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