古代ギリシア|エーゲ海周辺に栄えたヨーロッパ文化の源泉

古代ギリシア

古代ギリシアは地中海で発展した紀元前8世紀頃にできたポリスの頃から、古代ローマに占領される以前までの古代ギリシアのことを言う。地中海東部のエーゲ海沿岸は、比較的雨が少なく、夏の乾燥が激しい地域であった。ギリシャ人は紀元前8世紀ごろに、多数のポリス(都市国家)をつくり上げたが、この共同体での生活やポリス間の交流によって、様々な思想が生まれた。(参考:ペルシア戦争,ペロポネソス戦争

古代ギリシア
古代ギリシア

目次

エーゲ文明

古代ギリシアが独自の文化を開花される以前、エーゲ海の島々とバルカン半島にオリエントの影響を受けたエーゲ文明が栄えた。侵略者(おそらく海の民と称される人々)によってエーゲ文明は滅亡し、ギリシア・ローマの都市的文明が生まれた。なお、ギリシア・ローマの都市的文明は今のヨーロッパの主要都市であるいえる。

パルテノン神殿
パルテノン神殿

地理的条件

地中海の沿岸部は雨量は少なく、ギリシアでは年間400mmから500mmで、秋から冬に集中して降り、夏は乾燥して暑いという厳しい環境であった。ナイル川以外を除いて大河はなく、山地が海岸まで迫り、平野はせまく、山脈で区切られる。土地は石灰岩や片岩質でやせており、表土は浅く保水力も小さい。したがって、一部のナイル下流や北イタリアの穀物農業に適した地域以外では、麦などの栽培にはたえず空耕して保水力を維持するための労働が必要であった。特産物は、オリーヴ・ぶどう・いちじくなどの果樹栽培には好適で、牧畜では牛・豚など大形家畜よりも羊・山羊の飼育に適している。

交易

農業には不利な土地のため、交易を中心に繁栄させざるをえなかった。人々の多くは沿岸部に分かれて住み、地中海を海路として利用した。それとともに、外来文化も入リ込み混ざリ合い、新たな文化や伝統に根ざしながらも独自の精神的風土を生み出した。

ポリス

地中海では、ポリスという小さな都市国家が作られた。厳しい自然環境のため、貴族や支配者による大量の奴隷を使った大規模な農業は行われず、小さな農業を所有する自立的な市民たちによって構成された。そのため他の文明に見られるほどの階級は見られなかった。代表的なポリスは、アテネスパルタテーベなどがある。(参考:アテネの民主主義,古代ギリシアの奴隷制度

ギリシア神話

古代ギリシャでは、人間と自然についての様々な事象や事柄を神々の意思によると考えており、自然の変化は神々の影響によって行われるとした。これらはギリシア神話として現代まで伝わっている。古代ギリシアの神は極めて人間的な性格を持つ。加えて神と人間の間に交流や恋愛が描かれており、神界と人間界を一元的構造でとらえていた。また、神と人間との間に生まれ卓越した力をもつ英雄もおり、この英雄が古代ギリシア人が理想の人間として考えていたことを示唆している。

ゼウス神殿
ゼウス神殿

吟遊詩吟

こうした神話は各国を旅する吟遊詩人により伝えられた。いつの日か、彼らは紀元前8世紀ころから各地に伝わる伝説や説話を神話としてまとめていく。
前8世紀ごろに小アジアに生まれたと伝えられるホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』はその代表のひとつである。トロイア伝説を題材とした叙事詩で、登場人物を通して愛や憎しみ、人間としての理想が描かれている。また、同じく前8世紀ごろ、へシオドスは『神統記』において神々の誕生と系譜を記し、神話的手法を用いながら宇宙の生成について述べている。

ギリシアの演劇

デルフォイの円形劇場
デルフォイの円形劇場

ギリシアでは重要な行事や祭典のときに演劇が行われた。演劇は悲劇と喜劇があり、悲劇は神話・伝説を題材にして運命と神の意志の対立や人間として避けられない弱さを表現している。アイスキュロス『縛られたプロメテウス』、『オレステイア三部作』、ソフォクレスの『オイディプス王』、『アンティゴネ』、『エレクトラ』、エウリピデスの『メディア』、『アンドロマケ』、『トロイアの女』があげられる。喜劇は冗談やパロディを通じ当時の政治や社会を風刺しており、アリストファネスの『女の議会』、『女の平和』、『雲』があげられる。

アポロンの神託

アポロンの神託は古代ギリシアの全域で信じられていた信託である。人々は植民地建設や法典設定、宣戦布告の前などにアポロンの信託をうけて最終決定を下した。信託はデルフォイ神殿の本殿にすえた三脚に巫女が座してそれを受け取る。(参考:デルフォイの神託

オリュンピア競技

オリュンピア競技はゼウス信仰の中心地オリュンピアで4年に一度夏の農業の閑散期に5日間開催された。競技機関とその前後の1ヶ月間は神の休戦が宣言され、戦争も中止され、ギリシア各地から選手が集まった。

自然哲学

前6世紀ごろ、神話(ミュトス的)な説明とは距離を起き、自然や宇宙の成立、事物の根源を追求する自然哲学が生まれた。伝統的なロゴス(理性)的思考と経済の発展による自由な気風を背景にその議論は活発化される。その祖とされるタレス(前624〜前546)は,「万物の根源は水である」と述べ、人間が経験的に認識する事実から出発し、論理的に結論を導き出すという帰納的な学問的姿勢を打ち出した。タレスの他、数学で知られるピタゴラス、万物は流転するヘラクレイトスアトム(原子)を唱えたデモクリトスなど現代科学の背景となった多くの学問的成果を生み出している。ここにギリシャ思想は神話的思考から離れ、理性的思考に向かっていく。

真理の探究

自然哲学とはまた別の流れでソクラテスプラトンアリストテレスが登場した。彼らは自然の解明というよりは、形而上学的な関心や倫理的課題に思索を好んだ。特にソクラテスアテネペロポネソス戦争スパルタに敗れ、歴史に名を残す民主政治は堕危機的状況にあって、ソクラテスは「徳とは何か」「善く生きることとは何か」に強い関心を示している。

ソフィスト

ソフィストとは知恵のあるひとという意味で古代ギリシアで活躍した弁論家たちのことをいう。民主的な運営をしていたポリスにとって知識があり、弁論術に長けた人材に需要が集まった。彼らは議論で相手を説得したり、謝礼をもらい弁論術を教える教師のような仕事をしていた。

ニケ神殿
ニケ神殿

自然科学

古代ギリシアの自然科学者のアルキメデスはシチリア島のヒエロン2世の王冠が純金製であるか否か調べたとき、浮力の原理を発見した。また第二次ポエニ戦争では、投石機など様々な兵器でローマ軍を悩ませたが、図形の問題を解いている解きにローマ兵に殺されたといわれている。その他、エラトステネスは地球の全周を約40000kmだと測定し、三角形の内角の和は180°である。

歴史

歴史学者のヘロドトスはペルシア戦争をテーマとして『歴史』を著述した。神話や伝承を取り組みながら物語風に歴史を記述し、事の経過や真否は、追求せず、出来事をより詳しく記述しようとしている。トゥキュディデスは、ペロポネソス戦争をテーマとする『歴史』を著述し、様々な情報を無批判に取り入れたり、主観的な類推をさしはさんだりせずに、厳密な史料批判に基づいて記述している。

ヘレニズムの思想

アレクサンドロス大王の東方遠征と世界帝国の樹立は、ギリシャ文化とオリエント文化の融合をもたらした。一方、各ポリスは,独立を失い統一国家へ吸収され、人々は広大な世界国家の一員、コスモポリテース(世界市民)として生きることになった。ポリスの成熟は、公的生活と私的生活の分離をもたらし、その結果、個人的満足や内面的平安を重視するストア派やエピクロス派の思想が生まれた。


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