割りピン｜仮止め用留め具

割りピン

割りピンとは、割れているピンでねじのゆるみ止めや落下防止を目的として使われる。シンプルな構造の留め具でボルトとナットに割りピンをピン穴に入れてゆるみを防止するように使われる。材質は、一般的に金属製で、鋼や黄銅が用いられている。先端はとがり先やひら先が大きい。安価であるが、壊れやすい。英語では「split pin」や「cotter pin」と呼ばれ、工学的には一時的な結合手段または安全装置としての役割を果たしている。


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構造と材質

割りピンの基本構造は、一本の細長い金属棒を中央で折り曲げ、折り曲げた部分を頭とし、開いた先端を固定部分とする設計である。材質には鉄、ステンレス鋼、真鍮などが用いられ、使用環境によって耐腐食性や強度が考慮されて選定される。鉄製のものは防錆のため亜鉛メッキされることも多い。

使用方法

割りピンの使用方法は非常に単純である。まず、ピンを通す穴を備えた部材にピンを挿入し、その後、ピンの先端を左右に広げることで抜けにくくする。この操作により、部材同士が一定の位置に固定され、振動や衝撃による緩みを防止できる。取り外しも比較的容易で、再利用可能な点も利点である。

用途と応用分野

割りピンは多様な分野で使用されている。たとえば、機械工学ではシャフトとナットの抜け止めに、建築現場では仮組み作業に、また学校の図工やDIY用途でもよく見られる。航空機や自動車分野では、安全確保の観点から重要部位に使用されることもある。

仮止めとしての役割

割りピンは恒久的な固定具ではなく、あくまで仮止めや補助的な留め具として用いられることが多い。これにより、部材の脱着が容易になり、保守点検や部品交換の際に迅速な作業が可能となる。

安全性と注意点

割りピンは比較的単純な部品であるが、適切な使用がなされなければ機械の誤作動や事故の原因となりうる。特に重要部位への使用に際しては、規定のサイズ、材質、装着状態を遵守することが求められる。また、繰り返し使用により金属疲労が起こる場合があり、定期的な交換が推奨される。

JIS規格との関係

日本工業規格（JIS）においても割りピンは標準化されており、形状、寸法、材質について明確に規定されている。これにより、産業現場での互換性と安全性が確保されている。下記に寸法例を示したが、JISやISO、メーカーカタログを参照すること。

割りピンの形状と寸法0.6-3.2　(単位㎜)

呼び径 0.6 0.8 1 1.2 1.6 2 2.5 3.2
d
基準寸法		 0.5 0.7 0.9 1 1.4 1.8 2.3 2.9
d
許容差		 0
-0.1		 0
-0.1		 0
-0.1		 0
-0.1		 0
-0.1		 0
-0.1		 0
-0.2		 0
-0.2
c
基準寸法		 1 1.4 1.8 2 2.8 3.6 4.6 5.8
c
許容差		 0
-0.1		 0
-0.2		 0
-0.2		 0
-0.3		 0
-0.4		 0
-0.4		 0
-0.6		 0
-0.7
b
約		 2 2.4 3 3 3.2 4 5 6.4
a
約(最大)		 1.6 1.6 1.6 2.5 2.5 2.5 2.5 3.2
ボルトの
直径		 2.5以下 2.5-3.5 3.5-4.5 4.5-5.5 5.5-7 7-9 9-11 11-14
クレビスの
直径		 2以下 2-3 3-4 4-5 5-6 6-8 8-9 9-12
ピンの
直径		 2以下 2-3 3-4 4-5 5-6 6-8 8-9 9-12
ピン穴径
参考		 0.6 0.8 1 1.2 1.6 2 2.5 3.2
4 〇
5 〇 〇
6 〇 〇 〇
8 〇 〇 〇 〇 〇
10 〇 〇 〇 〇 〇 〇
12 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
14 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
16 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
18 〇 〇 〇 〇 〇 〇
20 〇 〇 〇 〇 〇 〇
22 〇 〇 〇 〇 〇
25 〇 〇 〇 〇 〇
28 〇 〇 〇 〇
32 〇 〇 〇 〇
36 〇 〇 〇
40 〇 〇 〇
45 〇 〇
50 〇 〇
56 〇
63 〇
呼び径 0.6 0.8 1 1.2 1.6 2 2.5 3.2

呼び径はピン穴の径による。
dは先端からl/2の間における値とする。
先端の形状は、とがり先でも平先でもよい。そのいずれかを必要とする場合は指定する。
4-63はlの寸法を示す。

割りピンの形状と寸法18-280　(単位㎜)

呼び径 4 5 6.3 8 10 13 16 20
d
基準寸法		 3.7 4.6 5.9 7.5 9.5 12.4 15.4 19.3
d
許容差		 0
-0.2		 0
-0.2		 0
-0.2		 0
-0.2		 0
-0.2		 0
-0.3		 0
-0.3		 0
-0.3
c
基準寸法		 7.4 9.2 11.8 15 19 24.8 30.8 38.6
c
許容差		 0
-0.9		 0
-1.2		 0
-1.5		 0
-1.9		 0
-2.4		 0
-3.1		 0
-3.8		 0
-4.8
b
約		 8 10 12.6 16 20 26 32 40
a
約
(最大)		 4 4 4 4 6.3 6.3 6.3 6.3
ボルトの
直径		 14-20 20-27 27-39 39-56 56-80 80-120 120-170 170以上
クレビスの
直径		 12-17 17-23 23-29 29-44 44-69 69-110 110-160 160以上
ピンの
直径		 12-17 17-23 23-29 29-44 44-69 69-110 110-160 160以上
ピン穴径
参考		 4 5 6.3 8 10 13 16 20
18 〇
20 〇
22 〇 〇
25 〇 〇
28 〇 〇
32 〇 〇 〇
36 〇 〇 〇
40 〇 〇 〇 〇
45 〇 〇 〇 〇 〇
50 〇 〇 〇 〇 〇
56 〇 〇 〇 〇 〇
63 〇 〇 〇 〇 〇
71 〇 〇 〇 〇 〇 〇
80 〇 〇 〇 〇 〇 〇
90 〇 〇 〇 〇 〇
100 〇 〇 〇 〇 〇
112 〇 〇 〇 〇 〇
125 〇 〇 〇 〇 〇
140 〇 〇 〇 〇
160 〇 〇 〇 〇 〇
180 〇 〇 〇 〇
200 〇 〇 〇 〇
224 〇 〇 〇
250 〇 〇 〇
280 〇 〇
呼び径 4 5 6.3 8 10 13 16 20

呼び径はピン穴の径による。
dは先端からl/2の間における値とする。
先端の形状は、とがり先でも平先でもよい。そのいずれかを必要とする場合は指定する。
18-280はlの寸法を示す。