ラッピング
ラッピング(Lapping)は、工業分野における精密研磨技術の一つであり、主に金属やガラス、セラミックスなどの素材の表面を平滑に仕上げるために用いられる。工作物をラップ盤とよばれる工作機にはさみ込み、 非常に細かい研磨剤(砥粒と油・水)を混合して作成するを入れて、工作物に上から圧力をかけながら双方に相対運動をさせる加工である。表面の凹凸を微細に削り取り、高精度の表面状態(平面度や表面粗さ)を実現できる。光学機器や電子部品、エンジン部品など、精密さが要求される部品の製造に欠かせないプロセスである。ラッピングは、他の研磨方法よりも高精度な仕上げを実現でき、表面の平面度や粗さを数ミクロンからサブミクロン単位までコントロールすることが可能である。
ラッピングの仕組み
ラッピングは、研磨剤を含んだ液体やペーストを使い、被加工物とラッププレート(研磨盤)との間で摩擦を発生させることによって、表面を削り取る。ラッププレートは非常に平滑で硬い材質でできており、一定の圧力をかけながら研磨を行う。この過程で使用される研磨剤は、ダイヤモンドや酸化アルミニウムなどの超微粒子で、研磨の度合いや仕上げの精度に応じて選択される。ラッピングは、機械的な研磨と化学的な作用が同時に進行し、精密かつ平滑な表面仕上げを実現する。
ラッププレート
ラッププレート(研磨盤・ラップ盤)とはラッピング作業を行うための研磨加工機で、ラッププレートには工作物よりやわらかい鋳鉄や銅合金、錫が用いられる。工作物はガイドの役割を担うキャリア(枠)の中に入れ、このキャリアが自転しつつ、工具であるラップに対して公転する。片面ずつ研磨する片面研磨機、両面を同時に研磨する両面研磨機がある。さらに精度を出す場合は手作業で行う。
ラップ剤
ラップ剤にはダイヤモンド、炭化ケイ素、アルミナなどの砥粒が用いらる。より細かい砥粒を使うほうが精度は出る傾向にある。ラップ剤に水や油をいれたものをラップ液といい、水溶性油や水に砥粒を分散させて使われる。砥粒には、AC砥粒の粒度の細かいもの(240~4000番)、酸化クロム、酸化鉄(べんがら)、ダイヤモンドなどが用いられる。細かければ細かいほど、わずかにしか削れないが、精度は高い。
加工精度
仕上げ精度は0.1~0.01μm程度まで可能である。良質な表面粗さや平面度、平行度だしに適しており、高い精度の形状精度を加工できる。ただし、面で加工することが多く、溝やザグリの加工はできない。
ラッピングのプロセス
ラッピングのプロセスは、主に以下のステップで進行する。まず、被加工物をラッププレートに固定し、研磨剤を適量投入する。次に、ラッププレートを回転させながら、一定の圧力で被加工物をラップし、表面を均一に削っていく。このプロセス中、定期的に研磨剤を追加しながら、仕上げの精度に合わせて加工を進める。最後に、加工が終了したら、被加工物を洗浄し、表面の仕上がり具合を確認する。このプロセスは、細心の注意を払って進める必要があり、研磨時間や圧力などを精密に管理することが重要である。
ラッピングの種類
ラッピングには、使用目的や素材に応じていくつかの種類がある。最も一般的なものは「平面ラッピング」で、金属やガラスなどの平坦な表面を研磨するために使用される。流体に砥粒を混ぜたスラリーと呼ばれるラップ剤を使う湿式法と砥粒のみを使う乾式法がある。「球面ラッピング」は、レンズやベアリングのような球面を持つ部品の精密研磨に使われる。また、化学的な作用を併用する「CMP(化学機械研磨)」は、半導体製造で広く用いられており、ウェハーの平坦化に欠かせない技術である。
乾式ラッピング
乾式ラッピングとは、ラップにラップ剤を埋め込むことで光沢のある仕上げとなるラッピングである。
湿式ラッピング
湿式ラッピングとは、ラップ剤に工作液を加えることで無光沢仕上げとなるラッピングである。
おはようございます🌸
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新潟の燕研磨ですね🎶
あちらはバフ研磨かな!?
タンブラー有名ですね🤗
うちは砥石研磨です🙌
バリ取り、ラッピング研磨等もしてます🥰
レーザー加工も楽しいですよ😋 pic.twitter.com/Tn4JNPIwed— さんず☀️世界に1つのギフト職人🎁 (@SUNS032) September 7, 2020
メリット
ラッピングの最大のメリットは、他の研磨方法に比べて非常に高い精度で表面を仕上げられる点である。ラッピングは、サブミクロンレベルの精度が要求される部品に対しても対応可能であり、表面粗さや平坦度を精密に管理できる。また、複雑な形状や硬質材料にも適用でき、ダイヤモンドやセラミックといった硬度の高い素材に対しても高効率に加工が行える。さらに、表面に応力がほとんど残らないため、機械的強度や疲労寿命を損なうことなく加工できるのも大きな利点である。
デメリット
ラッピングにはいくつかのデメリットも存在する。まず、非常に精密な作業であるため、加工速度が遅く、生産性が低いことが挙げられる。また、作業に使用する研磨剤やラッププレートが高価であるため、コストがかかる点もデメリットである。さらに、ラッピングは高度な技術が要求されるため、熟練した技術者による細かな調整が必要であり、作業者のスキルに依存する部分が大きい。
適用分野
ラッピングは、精密加工が必要な多くの産業分野で広く使用されている。古くは宝石の研磨に用いられているが、ブロックゲージ、精密ベアリングの玉、光学機器(レンズ)やカメラレンズ、半導体ウェハーなど、極めて高い精度が求められる部品の製造に欠かせない。また、航空宇宙産業や自動車産業においても、エンジン部品やターボチャージャーのコンポーネントに対する高精度な表面仕上げにラッピングが利用されている。これにより、部品の摩擦抵抗を低減し、性能向上や耐久性向上に貢献している。
【半導体製造工程】③#粗研磨(#ラッピング)
ウェーハ両面を平行になるように整えながら、所定の厚さに仕上げるため、アルミナ研磨材で粗研磨(ラッピング)していきます。
この状態で厚さが均一化されたラップド・ウエハーと呼ばれる状態のものが出来上がります。 pic.twitter.com/64Qw197HQN— 茂呂製作所【公式】 (@moroseisakusho) September 11, 2024
ラッピングのメンテナンス
ラッピングに使用される機器やラッププレートは、定期的なメンテナンスが必要である。特に、ラッププレートは加工精度に大きな影響を与えるため、その平面度や表面の状態を常にチェックし、必要に応じて再研磨や交換を行う必要がある。また、研磨剤の品質も仕上がりに直結するため、適切な保管と管理が求められる。さらに、ラッピング機械自体も、定期的に清掃し、部品の摩耗や劣化に対して予防的なメンテナンスを行うことで、長期にわたり安定した加工精度を維持できる。
ラッピングの将来展望
今後、ラッピング技術はさらに高度化し、ナノテクノロジーや微細加工技術の発展とともに進化していくことが予想される。特に、半導体や光学機器の製造においては、より高精度な表面処理が求められており、ラッピング技術がその要請に応じた形で進化していくだろう。また、AIや自動化技術の導入により、加工精度のさらなる向上と作業効率の改善が図られると期待されている。さらに、環境に配慮した研磨剤の開発や、加工プロセスの省エネルギー化も重要な課題として取り組まれることになる。