モータ motor
モータとは、電気エネルギーを機械的な動力に変換する装置である。一般的には磁力を利用して回転軸を回転させることで回転運動を作り出す。ラジコンなどの小型のおもちゃのほか、電気自動車やドローンなど大型の輸送機、家庭用電気製品(洗濯機、エアコン、掃除機など)などがある。また、直流電源や交流電源、電磁誘導など、モータの種類も多い。
モータの回転速度
モータの回転速度N(rpm)は、電源周波数f(Hz)による回転磁界の速さとモータの極数により下記で表される。
三相誘導
三相誘導モータは固定子巻線によって発生する磁界が毎分f 回だけ強弱を繰り返し、三相で120°Cの位相差があるため、 合成磁界の向きが見かけ上、 回転することを利用している。
モータの回転磁界
モータの形状
モータの形状はJIS規格で標準化されているため、枠番の同じモータは、どのメーカーでも同一寸法であり互換性がある。
取り付け方法
モータの取り付け形式には、 脚取り付け型とフランジ型がある。脚取り付け型はベルトやチェーンなどの巻掛け伝導のほか、カップリングで負荷に連結する。フランジ型には縦型・横型があり、機械に直取り付けすることができるため小スペースが特徴である。
回転方向
モータは高速で回転運動を行う駆動装置のため、回転方向に注意する必要がある。市販のモータを購入したときは回転方向の指定があるかチェックし、指定がある場合は、モータに貼り付けてある方向に回転させないと、過熱や故障の原因となり、人命を損なう事故につながる可能性がある。特に時計回り(CW)か反時計回り(CCW)かの方向を決めるタイプのモータを使用するときは注意する必要がある。
使用環境と保護形式
モータはいたるところで使われることから、使用環境が厳しく定められている。一般的な使用状況では全閉外扇型 (TEFC:Totally Enclosed Fan Cooled Type) が多く採用され、ごみや水滴が侵入しない密閉されたモータに対し、外側から羽根で冷却する保護形式が多い。そのほか、防滴型、 防食型、 防爆型などの保護形式があり、特定のIPコードで利用されている。
冷却
モータタは高速での回転運動をとるため、長時間運動など過負荷になると熱を発生し、モータの劣化や故障を引き起こす原因となる。そのため、羽根車による冷却や保護装置による自動的停止機能で、モータを保護する措置をとる。
冷却の種類
- 自然冷却:モータの筐体表面に羽根車を設け、回りの空気を循環させる放熱方法である。小型モータや低負荷の場合に利用される
- 強制風冷却:モータの筐体にファンを設け、強制的に空気を送り込む放熱方法である。中型・大型のモータや高負荷の場合に利用される。
- 水冷却:モータの筐体に水を通すことによる放熱方法である。高出力・高負荷のモータや高温環境下に適している。
- 油冷却:モータの回転子に油を循環させる放熱方法である。高出力・高負荷のモータや長時間連続運転に適している。