ボール盤|穴あけ加工ができる機械

ボール盤

ボール盤(Drill Press)は、穴あけ加工が可能な工作機で金属、木材、プラスチックなどの材料に穴を空けることを目的としている。基本的な工作機械で、安価で省スペース、操作性も優れているため、広く用いられているが、精度はあまりよくない。垂直方向にドリルビットを固定して材料に対して均等な力を加えることができる。小さい卓上ボール盤が広く使われており、容易に穴を空けたいときに用いる。大きな部材に穴を空けるのには向いておらず、その場合はフライス盤を使うのが一般的である。 ボール盤の加工精度の目安は、直径精度は「±0.1mm」、位置精度は「±0.3mm」、表面粗さはRa6.3である。

ボール盤の構造

ボール盤の構造は、主軸にドリルを取付けて回転させ、垂直方向に下降させて、工作物に穴を空ける構造となっている。手動のドリルに比べて高い精度と安定性が優れ、材料に対して均等な力を加えることができる。

ボール盤の種類

ボール盤には、小型の卓上ボール盤、一般的な直立ボール盤、軸が移動できる大物向けのラジアルボール盤、連続的にできるようにした並軸ボール盤、一度に多数の穴あけをする多軸ボール盤がある。

卓上ボール盤

卓上ボール盤は、ドリルやリーマに回転と上下運動を与えて穴あけ作業を行う代表的な工作機械である。精度はよくないが、卓上における小型サイズで利便性が高い。主に軽作業、小規模な作業場や家庭用DIYに適している。工作物に応じた回転速度を選び、正しい位置に固定したあと、手動でレバーを下げて穴開け加工を行う。

ラジアルボール盤

ラジアルボール盤は、直立したコラムに沿ってねじ送り機構で上下移動できるアームを持つもので、旋回も可能である。主軸がラジアル方向に移動できるので、ラジアルボール盤と呼ばれる。大型な部材の加工もできるため、主に工場やプロフェッショナルな作業場で使用される。

多軸ボール盤

多軸ボール盤は、複数のドリルビットを同時に使用して複数の穴を一度に開けることができるボール盤である。高価なボール盤だが、生産効率が高く、大量生産や複雑な加工ができる。

センタポンチ

ボール盤で穴を空ける前には、センタポンチで位置決め位置で、くぼみをつけておく。

部材の固定

通常はバイスや取付具に部材を固定して穴を空ける。中小物の部材はバイスを用いて固定する場合が多い。小さい穴のときはバイス自体を手で押さえる場合もあるが、大きくなるにしたがい反力が大きくなり、部材とバイスが回されてしまうため、テーブルにバイスを固定する。貫通穴をあける場合は、ワークの下にパラレルブロックを入れて浮かせたり、アルミニウムや真ちゅうなどの柔らかい金属板を挟んで、一緒に穴をあける。

安全対策

ボール盤を使用する際には、安全対策が非常に重要である。高速で回転するドリルビットは、適切な使用方法を守らないと重大な事故を引き起こす可能性がある。以下は、 ボール盤使用時に注意すべき安全対策である。

安全確認の例

  • 作業開始前にドリルビットやチャックがしっかりと固定されていることを確認する。
  • 保護メガネ・安全靴を着用し、作業中の切り粉や破片から身体を守る。
  • 事故の原因となりやすい材料をクランプでしっかりと固定し、回転中のビットに巻き込まれないようにする。
  • ボール盤の回転速度を適切な速度に調整する。
  • 機械の近くに不要な物を置かないようにし、作業環境を清潔に保つ。(5S)

メンテナンスとケア

ボール盤の性能を維持し、長期間にわたって安全に使用するためには、定期的なメンテナンスとケアが必要である。特に、ドリルビットやチャックの状態を定期的に確認し、必要に応じて交換することが重要である。また、主軸やベルトの潤滑も定期的に行い、摩耗や損傷を防ぐことが推奨される。

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