プロタゴラス Protagoras B.C.500‐B.C.430?
アテネで活躍したソフィストの一人。トラキアのアブデラ出身。相対主義の立場にとってポリスの青年達の教育を行う。ソクラテスを筆頭に多くの哲学者から批判される傾向にあるが、「人間は万物の尺度である」と述べ、人によってそれぞれの価値観や判断基準があり、安易に普遍的な価値や基準はない、としたプロタゴラスの相対主義の議論の評価は高い。
相対主義
プロタゴラスは、相対主義、人間中心主義を掲げる。一般的に言って、対象についての真実な唯一の言説はありえず、同じ事柄は、相反する言説によって同時に表現される。何が真理かは各々の人によって異なっており、正しく絶対的な言説は存在しない。そして、プロタゴラスその矛盾を直接表現することを断念し、対立論法を取る。各々の内部では整合していながら、二つ突き合わせると、両立しない二つの言説へとわけた。これは不安定かつ未決定でつねに二重のものとして存在する自然としての認識である。こういった相対主義から生まれるものは徹底した現実主義であるといえる。相対主義の背景から、弁論術を含めた技術的知識や教育の重視が現れた。
『断片』
人間は万物の尺度である。有るものどもについては有るということの、有らぬものどもについては、有らぬということの。