漏れ電流
漏れ電流とは、絶縁されているはずの部分や電気が流れない前提の経路に微小ながらも流れてしまう電流のことである。多くの場合、半導体デバイスやコンデンサ、絶縁ケーブル、電源回路などの周辺部において、想定外の経路を通じて少量の電流が流れてしまう現象を指す。理想的には電流が通過しない場所に電流が流れるため、機器の誤動作や安全性の低下につながる恐れがある。また熱や電圧ストレスなどの要因によって漏れ電流が増加すると、部品や回路全体の寿命を縮める原因にもなり得る。特に高周波や高電圧で駆動する装置では、その影響はより深刻となるため、回路設計や保守の面で十分な検討と対策が必要である。
漏れ電流と半導体の性質
半導体素子における漏れ電流は、pn接合やゲート絶縁膜などの物理的構造によって決まる特性が大きく関係している。例えばMOSFETやバイポーラトランジスタでは、接合付近での欠陥や温度上昇によって少しずつ電流が流れてしまうことがある。特に微細化が進んだCMOS回路では、ゲート酸化膜の薄膜化と高集積化に伴い、ゲートリーク電流と呼ばれる漏れ電流の増大が問題となってきた。これに対処するために高誘電率材料(High-k)などの新素材が開発され、ゲートの厚みを確保しつつトランジスタの性能を維持する技術が進んでいる。さらにパワー半導体分野では、高耐圧を想定したSiCやGaNといったワイドバンドギャップ材料が普及し始めており、これらの材料特性を活かした設計により、従来のシリコン素子より漏れ電流を抑制できる可能性が高まっている。
PLC半導体出力の漏れ電流の影響を抑えるためのブリーダ抵抗、言葉としては知っていたけど、ソレを使えば解決できるかも?なトラブルに初めて遭遇した。いや、仕様的には大丈夫なはずなんだけど、でも漏れ電流が悪さしてるとしか思えない。
とりあえずうちの部品箱から1/2wの3.3kと4.7kを発掘してみた。 pic.twitter.com/7pam8SVEFr— らしゃ (@193_doi) March 4, 2025
安全性への影響
漏れ電流は安全面で大きな意味を持つ。例えば家電製品や産業機械では、外装やシャーシに意図せず電流が流れると感電事故につながる恐れがあるため、保護接地や絶縁設計が入念に行われている。医療機器においては、患者や操作する医療従事者への影響を最小限に抑えることが特に重要であり、漏れ電流を厳格に制限するための国際規格(IEC 60601など)が定められている。これらの規格に準拠するためには、基板設計段階からの絶縁距離の確保やスルーホールの処理、部品選定での高信頼性品の採用など多方面での配慮が必要である。さらに強電系の設備や高圧送電設備でも、長大なケーブルに生じる誘導電流や絶縁劣化によって漏れ電流が発生するリスクがあり、定期点検や絶縁試験の実施が法令で義務付けられている場合もある。
漏れ電流による絶縁抵抗は、電源を落とせない現場で役に立ちます。 pic.twitter.com/AupWUQxPvu
— 株式会社 アスター (@astar7777) February 13, 2025
漏れ電流の測定と対策
漏れ電流の測定は、安全と品質管理の要である。計測には、絶縁抵抗計やクランプメータ、あるいは専用のリーククランプアダプタなどが使われる。計測手法や周波数帯域を適切に選択しないと、想定外のノイズ成分を拾うこともあるため注意が必要である。一般的な対策としては以下のような方法が知られている。
漏れ電流測定。何が正解なのかよく分からなくなってきました。 pic.twitter.com/Py2Zws5wxp
— 株式会社栗田電気保安管理事務所💡 (@kurita_denki) February 19, 2025
- 高品質な絶縁材料や部品を選択する
- 配線や基板パターンの設計で絶縁距離を確保する
- シールドやグラウンド設計を工夫してノイズを低減する
- 定期的なメンテナンスや絶縁抵抗試験を実施する
低消費電力化と漏れ電流
近年のエレクトロニクス分野では、消費電力の削減が大きな課題となっている。CPUやメモリなどのLSIでは、低電圧化や電源制御の高度化が進む一方で、微細化による漏れ電流の増加が懸念材料となる。特にスタンバイ電力の削減が求められるデバイスでは、回路が動作していない待機状態でも漏れ電流が増えてしまうと省エネ性能が大きく損なわれるため、設計段階からリーク電流対策を盛り込むことが求められる。またパワーデバイスでも効率向上のため、導通損失と同時に漏れ電流の低減が検討されており、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)やMOSFETのゲート構造の改良など、研究開発の分野でも盛んに取り組まれている。このように漏れ電流は安全面だけでなく、省エネルギーや高性能化の観点からも重要度を増しており、今後も製品開発や回路設計における主要な検討課題であり続けると考えられる。