サーボモーター
サーボモーターとは、指令値に対して位置・速度・トルクを正確に追従させるために使われる電動機の総称である。モーター本体にエンコーダなどの検出器を備え、サーボアンプ(ドライバ)が検出値と指令値の差をもとに電流を制御する閉ループ構成をとる。語源はラテン語の「servus(召使い)」で、命令に忠実に従う動きを表している。産業用ロボット、NC工作機械、半導体製造装置など、精密な位置決めが欠かせない機械の駆動源として広く使われている。
ステッピングモーターとの違い
位置決め用のモーターを選ぶとき、比較対象になりやすいのがステッピングモーターである。ステッピングモーターはパルス数に比例して回転角が決まるため、検出器なしのオープンループで位置決めができる。ただし負荷が急に変わると脱調し、制御側はその事実に気づけない。サーボモーターは実際の位置を常に監視しているので、外乱を受けても指令位置へ戻ろうとする。両者の違いを整理すると次の表のようになる。
| 項目 | サーボモーター | ステッピングモーター |
|---|---|---|
| 制御方式 | 閉ループ(フィードバックあり) | 開ループが基本 |
| 高速域のトルク | 定格回転数(多くは3000 min-1)まで定格トルクを維持 | 回転数の上昇とともに急に低下 |
| 脱調 | 起こらない | 過負荷や急加速で発生 |
| 停止時の挙動 | ゲイン次第で微小振動(ハンチング)が出る | 保持トルクで静止し振動は少ない |
| 立ち上げ時の調整 | ゲイン調整が必要 | ほぼ不要 |
| 価格 | 高い | 安い |
サーボ機構の誕生からAC化まで
サーボ技術の源流は、1940年にマサチューセッツ工科大学(MIT)に設立されたサーボ機構研究所にさかのぼる。第二次世界大戦中の火器管制装置の研究や、1952年に公開された数値制御フライス盤がこの分野を大きく前進させた。初期の主流は整流子とブラシを持つDCサーボモーターで、電圧に対して速度がほぼ比例して変わるため扱いやすかった。とはいえブラシの摩耗は避けられず、定期交換の手間や摩耗粉の発生がクリーンルームでは嫌われた。転機は1980年代に訪れる。1982年に日本でネオジム磁石が開発され、同じころパワートランジスタやIGBTを使ったPWMインバータ技術が成熟した。その結果、ブラシのないACサーボモーターが急速にDC型を置き換えた。いまの工場で単に「サーボ」と言えば、ほぼACサーボを指す。
3重ループによる制御の仕組み
サーボアンプの内部では、外側から位置ループ、速度ループ、電流(トルク)ループという3つのフィードバック制御が入れ子になって動いている。いちばん内側の電流ループは応答が最も速く、数十マイクロ秒の周期で巻線電流を補正する。その外側の速度ループにはPID制御のうちPI制御が使われることが多く、最も外側の位置ループは比例制御が基本となる。位置偏差が縮むにつれてモーター電流は絞られ、目標位置でぴたりと止まる。国内大手メーカーの最新機種では速度周波数応答が3kHzを超えており、1990年代の製品と比べると一桁近く速くなった。
検出器の分解能
位置の検出には光学式や磁気式のエンコーダを使い、分解能は17ビット(131,072パルス/回転)から23ビット(8,388,608パルス/回転)程度が一般的である。電源を切っても位置を保持するアブソリュート型が普及し、原点復帰動作を省けるようになった。高温や強い振動にさらされる環境では、巻線だけで構成されたレゾルバが選ばれる。電動車両の駆動モーターに多く使われているのも、この丈夫さが理由である。
構造による分類
ひとくちにサーボモーターと言っても、構造や駆動方式によっていくつかの系統に分かれる。代表的なものを挙げる。
- ACサーボモーター(同期型):回転子に永久磁石を配置したブラシレス構造。FA分野の主流で、出力50W前後から数十kWまでそろっている。
- ACサーボモーター(誘導型):かご形回転子を使い、磁石を持たない。大容量・高速回転に強く、工作機械の主軸駆動などに採用例がある。
- DCサーボモーター:ブラシ付きで、24V程度の低電圧で動かせる。小型の計測機器や教育用キットに残っている。
- RCサーボ:減速ギア、ポテンショメータ、制御回路を一体化した小型品。周期20msのPWM信号で、パルス幅1.0〜2.0msによって角度を指令する。
選定で見落とされやすいポイント
容量を選ぶときは、負荷トルクに加えて慣性モーメント比を必ず確認する。慣性モーメント比はJL / JM(JL:モーター軸に換算した負荷の慣性モーメント、JM:ローターの慣性モーメント)で表し、一般には10倍以下、高タクトの搬送装置では5倍以下が目安になる。この比が大きすぎると、ゲインを上げたとたんに機械が共振し、立ち上げの調整に何日もかかることがある。現場では、モーターを1ランク上げるより減速機を挟むほうが安く収まる場面も多い。減速比nを入れると、負荷の慣性はモーター軸から見て1/n2になるからである。ボールねじで駆動する場合も、リードを小さくすれば同じように換算慣性を下げられる。費用の感覚としては、400Wクラスのモーターとアンプの組み合わせで10万円前後が一つの目安になり、同じ動作をステッピングモーターで組む場合の2〜3倍程度を見込んでおくとよい。配線にも注意したい。エンコーダケーブルを動力線と同じダクトに通すと、ノイズで位置ずれやアラームが起こりやすい。
用途と安全規格
ロボットの関節軸や工作機械の送り軸のほか、包装機、印刷機、半導体ウエハ搬送機など、サーボモーターの使い道は幅広い。射出成形機では、油圧からサーボ駆動に切り替えた電動式が増え、消費電力を半分以下にできた例も多い。安全面では、IEC 61800-5-2で定められたSTO(安全トルクオフ)機能をアンプに内蔵する製品が当たり前になってきた。ISO 13849-1のPL eに対応する機種を使えば、非常停止回路の電磁接触器を減らせる場合もある。モーター本体は耐熱クラスB(130℃)またはF(155℃)の絶縁が多く、保護等級はIP65やIP67が一般的である。切削油を浴びる工作機械では、オイルシール付きの仕様を選ぶのが現場の常識になっている。
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