コージェネレーション|熱と電気を同時に生み出す省エネ技術

コージェネレーション

コージェネレーションとは、1種類の燃料から電力と熱を同時に取り出し、両方を利用するエネルギー供給の方式である。日本語では「熱電併給」と訳され、欧米ではCHP(Combined Heat and Power)とも呼ばれる。通常の火力発電では、燃料が持つエネルギーの半分以上が排熱として捨てられる。この排熱を蒸気や温水として回収し、給湯・暖房・冷房・工場の加熱工程に使う点に特徴がある。発電と熱回収を合わせた総合効率は70〜85%程度に達し、省エネルギーと二酸化炭素排出削減の手段として、病院やホテル、工場などに広く導入されている。

排熱を「使える熱」に変える仕組み

大規模な火力発電所で発電した電気は、送電線を経由して需要家に届くまでに送電ロスも生じる。需要端での発電効率は高位発熱量(HHV)基準で37%前後とされ、残りは大気や海へ放出されてしまう。これに対しコージェネレーションは電気と熱を使う場所の近くに設置する分散型電源であり、エンジンの冷却水や排気ガスから熱を回収できる。総合効率の考え方は次のとおりである。

総合効率(%)=(発電出力 + 回収熱量)÷ 投入燃料の発熱量 × 100

資源エネルギー庁の資料をもとにした試算では、発電効率27.2%・熱回収効率42.7%のシステムを使うと、系統電力とボイラを組み合わせた従来方式に比べ、一次エネルギー消費を約2割減らせるとされる。数字だけを見れば単純な話に思えるが、回収した熱を使い切れなければ効率は大きく下がる。

原動機による違い

発電に使う原動機は、規模や熱の使い道に応じて選ばれる。燃料は都市ガスなどの天然ガスが主流で、重油やバイオガスを使う設備もある。

原動機 発電効率の目安 回収できる熱 主な用途
ガスエンジン 30〜49% 温水・低圧蒸気 商業施設、病院、中規模工場
ガスタービン 25〜35% 高温・高圧蒸気 化学、製紙など大規模工場
ディーゼルエンジン 35〜45% 温水 非常用兼用、離島
燃料電池 35〜55% 温水 家庭用、小規模業務用

台数ではガスエンジン、設備容量ではガスタービンが多い。ガスタービンは排ガス温度が高く、大量の蒸気を必要とする工場と相性がよい。

国内での普及の歩み

日本での導入は1980年代に本格化した。2000年代後半の燃料価格高騰とリーマンショックで設備投資は一時停滞したが、2011年の東日本大震災以降、停電時にも電源を確保できる点が見直され、再び導入が伸びた。家庭用を除く累計設置容量は2014年3月に1,000万kWを突破している。

コージェネ財団(ACEJ)の集計では、2025年3月末時点の累計は民生用が16,542台・287.5万kW、産業用が6,277台・1,136.4万kWである。台数は民生用が多いものの、1台当たりの容量が大きい産業用が容量全体の約8割を占める。2009年5月には家庭用燃料電池コージェネ「エネファーム」が世界に先駆けて商品化され、2025年6月末までの累計販売は55万台を超えた。

経済性を左右する条件

導入判断で最も重視されるのは、買電単価とガス単価の差である。電気が高くガスが安いほど自家発電のメリットが大きくなり、この価格差は「スパークスプレッド」と呼ばれる。電力自由化以降は電気料金メニューの選択肢が増え、契約電力の引き下げ効果も含めた比較が欠かせない。

設備投資の回収期間は一般に5〜10年程度とされるが、実務では年間運転時間が採算を決める。環境省のガイドラインでは、2,430kWのガスエンジンを年3,900時間運転した場合、年間エネルギーコストが248.1百万円から176.8百万円へ約3割減るという試算が示されている。ただし、この数字は熱を全量使えることが前提であり、夏季に熱需要が落ちる施設では吸収式冷凍機で排熱を冷房に回すなどの工夫が必要になる。

運転方式とメンテナンス

運転方式には、電力需要に合わせる「電主運転」と、熱需要に合わせる「熱主運転」がある。現場ではエンジンのオーバーホール費用を見落としがちで、数万時間ごとの大規模整備費を減価償却とあわせて事業計画に織り込むことが実務上のポイントとなる。保守を含めた長期契約(ESCO方式やエネルギーサービス)を選び、初期費用を抑える事業者も多い。

導入が進む分野

電気と熱を年間を通じて安定して使う施設ほど効果が出やすい。民生用の台数で上位を占めるのは次のような施設である。

  • 病院・介護施設(4,389台):24時間の給湯と非常用電源を兼ねる
  • スポーツ施設・浴場(2,234台):大量の温水需要がある
  • 飲食施設(1,995台):小型のマイクロコージェネが中心
  • ホテル(1,878台):客室の給湯・空調に排熱を利用

産業分野では化学、機械、食品、鉄鋼などで大型機が使われる。都市部では複数の建物へ冷温水を送る地域冷暖房の熱源としても採用され、1件当たりの容量は2,000kWを超える例が多い。

エネルギー政策とレジリエンス

国のエネルギー政策では、コージェネレーションは需要家側の省エネ対策と分散型電源の両面から位置づけられてきた。災害時に系統から切り離して自立運転できる機種は、企業の事業継続計画(BCP)にも組み込まれている。

近年は、出力が天候で変わる再生可能エネルギーを補う調整力としての役割も注目される。下水汚泥や食品廃棄物から得たバイオガスで発電し、固定価格買取制度(FIT)で売電する例もある。とはいえ化石燃料を燃やす以上、脱炭素の観点では水素混焼やカーボンニュートラル都市ガスへの切り替えといった燃料面の対応が避けて通れない。

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