オリフィス
オリフィスとは、流体の流量を測定または制御するために配管内に設けられた小さな孔である。多くの場合は金属製の薄板に丸い穴が開けられた形状を指し、流体を通すことで圧力差を生じさせ、その差を利用して流量を推定する。流量計測の世界ではオリフィスはベンチュリ管やノズルと並び、古くから広く活用されてきた。安定した性能と比較的簡便な構造を持つ一方で、配管条件や流体特性に合わせた正しい設計が必要である。
流量測定の原理
オリフィスによる流量測定は、主にベルヌーイの定理に基づいている。配管の一部を狭めると流体速度が上昇し、その代わりに局所的な圧力が低下する。オリフィス前後の圧力差を測定することで、流体がどれだけの速度や体積流量で流れているかを計算できる。圧力差と流量の間には理論的に一定の関係があるが、実際には渦や摩擦などの要因で損失が生じるため、正確な測定には補正係数を導入するのが一般的である。

ベルヌーイの定理
オリフィスの構造
オリフィスは円盤状のプレートに開けられた単一の孔から成る単純な構造が基本である。孔の形状は円形が一般的だが、流体の性質や設置目的によっては角形や特殊形状のオリフィスが用いられる場合もある。孔の縁はなるべく鋭利に仕上げられることが多く、流体の分離点を明確にして計算誤差を減らす狙いがある。プレートの厚さや孔の直径、配管内径との比率なども、計測精度や圧力損失の大きさに関わる重要な要素である。
種類と用途
使用目的に応じて、代表的なオリフィスにはリング型、コンセントリック型、エキセンター型などいくつかのバリエーションが存在する。コンセントリック型は最も一般的であり、プレート中央に孔を配置する形状である。一方、エキセンター型はスラリーや含まれる異物の沈殿を避ける目的で孔を偏心配置する。これらの選択によって、流体特性への適合やメンテナンス性が大きく変わるため、現場の状況に合わせた適切な選定が必要となる。
圧力損失と注意点
オリフィスでは流体を狭い孔に通すため、大きな圧力損失が発生する。これは流量計測の実用において欠点となるが、逆に「流量を制限する」という機能として活用されることもある。ただし圧力損失が過大になるとポンプの負荷が増し、エネルギーコストが上昇するため、設計段階でどの程度の圧力差を許容するかを慎重に検討する必要がある。さらに濃厚スラリーのような粒子を含む流体を扱う場合には、孔の摩耗や詰まりによる測定精度の低下も考慮しなければならない。
設置と配管条件
- 配管内面の清浄度
- 上下流直管部の長さ
- フランジタップやコーナータップの選択
オリフィスによる正確な計測や流量制御を実現するには、これらの要素が非常に重要である。配管内で流体が乱れなく整流状態に近い条件を確保するためには、一般にオリフィスの前後には一定長さの直管部を設けることが推奨される。また圧力差を検出するためのタップ位置も規格化されており、用途に応じて最適な形式を選択する必要がある。
ディスチャージ係数
ディスチャージ係数(放出係数)は、理論的な流量と実際の測定流量の乖離を補正するための値である。オリフィスで生じる流束の収縮(ベナ・コントラクタ)や流体の粘性などが原因で理論式とは異なる結果が出るため、この係数を実験や標準規格をもとに決定する。計測精度を高めるには、この係数を正確に把握し、温度や圧力、レイノルズ数の変化に対応できるように装置を調整することが重要だとされる。
産業分野での活用
化学プラントや石油精製業、火力発電所など、多くの産業分野でオリフィスは流体管理の一翼を担っている。高温・高圧の環境下でも金属プレートとタップ装置があれば流量計測が可能であるため、信頼性と汎用性が高い。また省スペースな構造で大型機器を必要としない点も利点であり、導入や保守コストの面でも優れている。最近ではプロセス解析シミュレーションなどと併用し、より高度な流体制御が行われるようになってきている。