Vベルト|V形の断面形状をもつベルト

Vベルト

Vベルトとは、ベルトのひとつで、プーリとの摩擦力によって伝動する機械要素である。断面が台形の形になっているため、Vベルトと呼ばれる。V状のベルトが、V状のプーリの溝にくさびのように食い込むため、Vベルトとプーリの両側面に大きな摩擦力が生じ、平行2軸間で動力を伝達する。平ベルトに比べて、接触面積が大きく、摩擦が大きいため滑りが少なく伝達効率が良い。

Vベルトの特徴

  • 回転速度の範囲が大きい
  • 回転比を任意で決めることができる
  • 軸間の距離の許容幅が大きい
  • 騒音が小さい
  • ベルト交換などのメンテナンス性がよい
  • 潤滑剤がいらない
  • 安価性がよい

Vベルトの製造

Vベルトは、ゴムを主材料として継ぎ目のない環状に製造される。ゴムの材質によって耐熱性、耐油性、耐屈曲性、耐摩耗性など性能が大きく左右で飽きる。また、大きな張力に耐えるようにポリエステルコードなどの糸(心線)を通して作られる。

Vプーリ

Vプーリは、Vベルトに対応したプーリ(ベルト車)である。Vプーリは一般に鋳鉄製であるが、高速用には鋳鋼のものがある。そのほかアルミニウム合金も使われる。Vプーリの溝はVベルトの形状に合わせてV型になっているが、Vベルトが曲げられると、外側の幅はせまり、内側はひろがるため、Vプーリの溝角度は、Vベルトの角度より大きくなる。

Vベルトの種類

Vベルトは、幅の大きさを基準に一般用Vベルト、細幅Vベルト、広幅Vベルト、広角Vベルトがある。

一般用Vベルト

一般用Vベルトは広く使われ、入手交換が容易で、電動時のベルト速度は最高30m/sが目安である。

細幅Vベルト

細幅Vベルトとは、一般用 Vベルトと比べて、厚さが厚く、幅が狭い。一般用Vベルトに比べて性能が大幅に向上し、寿命も長く、同一の伝動条件ならば、装置を小形にでき、高速伝動にも適するなどの特長をもつため、普及が拡大している。伝動時のベルト速度は最高40 m/sが目安である。

広幅Vベルト

広幅ベルトとは、式無段変速装置に使用されるベルトで、ベルトの幅が広いため変則範囲を大きくできる。小径のプーリに対してもよく曲がってなじむように、ベルトの底面は波形になっている。

広角Vベルト

広角ベルトは、VベルトのVの角度が大きく、心線の量が多いベルトである。また、ベルト側面に働く圧縮力に耐えるため、ベルト背面の横方向に補強のリブがある。プーリ溝へのベルトの落ち込みが少なく、ベルトのプーリ離れがよい。また、屈曲性がよいため、小径のプーリが使用できるなどの特長をもつ。トルク変動の少ない連続高速伝動の場合やプーリ径を小さくしたい場合に適する。伝動時のベルト速度は最高 60m/s程度である。

Vベルトの適用範囲

リンクの種類 軸距離 m 速度比 リンク速度 m/s
平ベルト 10以下 1:1~6(15以下) 10~30 (15以下)
Vベルト 5以下 1:1~7(10以下) 10~15 (10以下)

初張カ

初張力とは、適正な摩擦力を想定した、ベルトに与える適正な張力である。初張力が大きすぎれば軸受の負担や摩擦が大きくなり、また小再場合は、滑りが生じ、振動も発生しやすくなる。

張カを求める式

張カの調整

機械の稼働時間に応じて定期的な調整が必要になる。Vベルトは、テンションプーリを使用して調整するか、プーリ軸が移動できる場合、の位置を変えて調整する。多数のVベルトを使う場合は定期交換を推し進める場合もある。

テンションプーリ

回転比

VベルトとVプーリの間に滑りがないものとすると回転比は次のようになる。実際には、ベルトとプーリによる摩擦で回転運動を伝えるため、その接触面が小さくなると摩擦力は小さくなり、滑りが大きくなって回転運動の伝達効率は低下する。

回転比

角度

VベルトのV字の角度は40°で、断面によりM,A,B,C,D,Eの六種類がある。Vプーリの溝の角度は、Vベルトの種類や呼び径によって異なるが、VベルトのM,A,B,Cでは溝角度は呼び径によって34°,36°,38°,DおよびEでは36°,38°が規定されている。

ベルトの長さ

ベルトの長さについて、軸間距離がプーリの直径に比べて十分大きい場合、あるいは回転比が1に近い場合は、ベルト長さLは近似的に次式で表される。普通、ベルトのため、シームレス品のため、途中で長さを調節することはできず、適切な長さを選定する必要がある。

ベルト長さ

ベルト速度

ベルト速度は下記の通りで示す。

テンションプーリの速度

プーリに押し付ける力

プーリに押し付けられる力Fは、ベルト側面に直角に作用する力、と摩擦係数、角度によって次のように表される。

プーリに押し付ける力の展開

微少部分の法線方向の力の釣り合いから以下の式が成立する。

巻き角

伝達動力と速度

複数のVベルトによる伝達動力の確保

Vベルトが1本で伝達動力が不足しているときは、複数用いることで伝達動力を確保できる。

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