Oリング|Oリングをつぶすことによってシールする機械要素

Oリング

Oリングは、断面が円形のゴム製のリングで、配管と配管やフランジとフランジの間をOリングをつぶすことによってシール(密封する)ための機械要素である。シールの方向性がなく使用圧力範囲が広い優れた流体の漏洩機能を持つ。価格が安く取り付けスペースが小さい。固定用あるいは運動用のシールとして用いられる。

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Oリングの歴史

1930年、アメリカのニールス・クリステンセンの研究によりOリングが発明された。ニトリルゴムが使用されるにして急速に広がり、1940年アメリカ軍用機の油圧系統用として標準化された。GASや液体の流体部分にはOリングが使用されている。ゴム製であるため熱などに弱いが、耐摩耗性、耐熱性、耐薬性、耐プロセス性など、特殊なOリングも開発されている。

シール特性

Oリングの働きは流体をシール(密封)する。フランジとフランジの間にOリングを入れ、フランジによる締め付け力によってシールを行う。平面同士の間にOリングを入れることもあるが、Oリング専用のOリング溝を作るときもある。強力な締め付け力を要しないため、締付・組立しやすい。

分類方法

Oリングの分類については、材料で分離する方法と用途別で分類する方法がある。

材料別分類

1種A:耐鉱物油用(ニトリルゴム相当)
1種B:耐鉱物油用(ニトリルゴム相当)
2種:耐ガソリン用(ニトリルゴム相当)
3種:耐動植物油用(スチレンブタジエンゴムまたはエチレンプロピレンゴム相当)
4種C:耐熱用(シリコーンゴム相当)
4種D:耐熱用(ふっ素ゴム相当) に分類されている

用途別分類方法

P:運動用のシールでパッキンとして使用される。
G:固定用のシールでガスケットとして使用される。ほそくてねじれがあるため、運動部には使用できない。
V:真空用のシールである。

材質

Oリングの材質には、その性質状、使用温度や耐薬品性によって材料別に多種多様である。特殊なガスを使用する装置や高温になる場合は、特殊な材質のものが必要である。なお、一般に、耐温度に関しては、ニトリルゴム、シリコンゴム、ふっ素ゴムと順に耐温度が高くなる。

Oリング溝

Oリングは平面同士でOリングをつぶすものとOリング溝と呼ばれる溝を作り、そこにOリングを納めて使うものとがある。Oリング自身の反力でつぶしきれない場合があるため、圧力を考えなければならない。Oリング溝は、オーソドックスな四角型、台形になったアリ溝型と角部を面取りした三角溝型がある。

表面粗さ

Oリングが接触する面について、平面・Oリング溝どちらも表面粗さが悪いとリークの原因となる。遠心ポンプのような一定圧ではRa1.6-Ra3.2、振動がある装置や往復動ポンプのように圧力に脈動がある面では、Ra0.8-Ra1.6が必要とされる。(標準)また、筋目もCが多用される。詳細はJISやISO、メーカーカタログを確認すること。

バックアップリング

バックアップリングとは、高圧で利用されるとき、Oリングと併用されて用いられる部品である。Oリングがすきまへはみ出して損傷するのを防ぐことができる。また、溝が深いときのかさ増しとして使うときもある。なお、使い方は、Oリングの低圧側に取り付けることがポイントである。

抜きタップ

Oリングを使うときOリングが固着するため、容易に取れない。部材にめねじを作り、押しねじなどのボルトを挿入してジャッキアップしてOリングを剥がす。これを抜きタップという。

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