C形軸用同心止め輪|軸上の部品を正確に固定する部品

C形軸用同心止め輪

C形軸用同心止め輪は、機械部品の一種であり、軸方向の位置決めや部品の抜け止めに使用される止め輪の一種である。「同心」という名称の通り、取り付けた際にに対して同心、すなわち中心が一致するように設計されており、精度の高い回転部品の構成に用いられる。特に回転機械やトランスミッションなどで重要な役割を担っており、その寸法規格や設計はJIS規格などに基づいて標準化されている。

基本構造と特徴

C形軸用同心止め輪は、C形(半円を切り抜いたような形状)をしており、の溝(シャフトグルーブ)に嵌め込んで使用する。特徴的なのは、内径側に開口部があり、その両端に取り付け・取り外しのための穴または切り欠きが設けられている点である。この形状により、専用のプライヤーを使って容易に脱着が可能で、メンテナンス性に優れている。また、同心度が高いため、回転部品のバランスを崩さず取り付けできる。

機能と用途

この止め輪の主な機能は、回転する軸上の部品、たとえばベアリング歯車プーリーなどを所定の位置に固定し、軸方向に動かないようにすることである。これにより、動力伝達系における精度保持や振動の抑制に貢献する。特に高速回転する装置においては、部品のずれが大きな不具合につながるため、高精度な同心止め輪が重用される。

取り付け方法

C形軸用同心止め輪の取り付けには、専用の止め輪プライヤーを使用する。まず、に設けられた溝の位置を確認し、プライヤーで止め輪の端部をつまみ、開いた状態でに差し込み、溝に正確に嵌め込む。装着後は、止め輪がしっかりと溝に収まっているかを目視で確認し、ずれや浮きがないことを確認することが重要である。なお、脱着を繰り返すと変形や摩耗が生じるため、交換の目安を見極める必要がある。

材質と耐久性

  • 炭素鋼:一般的な用途に広く使用される。熱処理によって強度とばね性が付与される。
  • ステンレス鋼:耐食性が高く、湿度や腐食環境下でも使用可能である。
  • バネ鋼:特に高い弾性が求められる場合に使用される。

関連部品との組み合わせ

C形軸用同心止め輪は、ベアリング、ギア、シールなどと一体で使用されることが多い。これらの部品を上で固定しつつ、正確な位置に配置することで機械装置全体の動作精度が保たれる。特に潤滑の管理が重要な場面では、オイルシールとの組み合わせにより、潤滑剤の漏れ防止や異物侵入の防止にも寄与する。また、軸受との摩擦を防ぐためにスペーサーが併用されることもある。

トラブルと対処法

C形軸用同心止め輪に関する代表的なトラブルとしては、止め輪の浮き上がり、変形、摩耗が挙げられる。原因としては、取り付け不良、過大な軸方向荷重、あるいは回転数の過剰などがある。これらを防ぐためには、正しい取り付け手順の遵守、使用限界の把握、定期的な点検が不可欠である。また、万が一脱落した場合は、装置の重大な故障を引き起こす可能性があるため、バックアップ構造の設計も重要となる。

JIS規格との関係

C形軸用同心止め輪には、日本工業規格(JIS B 2804など)に基づいた寸法や形状、許容公差が定められている。これにより、異なるメーカーの機械部品との互換性が確保されており、設計やメンテナンスにおいての利便性が高い。また、標準化された規格により、在庫管理や調達も効率的に行える。JISでは呼び径ごとに溝の深さ、幅、止め輪の厚さ、内径などが詳細に指定されている。

C形軸用同心止め輪(単位 ㎜)20-75

呼び(1) 止め輪 適用する穴(参考)
1 2 d₃ t b r参考 d₁ d₂ m n
最小
20 18.7 1.2 2 0.3 20 19 1.35 1.5
22 20.7 1.2 2 0.3 22 21 1.35 1.5
25 23.4 1.2 2 0.3 25 23.9 1.35 1.5
28 26.1 1.5
(1.6)
2.8 0.5 28 26.6 1.65
(1.75)
1.5
30 28.1 1.5
(1.6)
2.8 0.5 30 28.6 1.65
(1.75)
1.5
32 29.8 1.5
(1.6)
2.8 0.5 32 30.3 1.65
(1.75)
1.5
35 32.5 1.5
(1.6)
2.8 0.5 35 33 1.65
(1.75)
1.5
40 37.4 1.75 3.5 0.7 40 38 1.9 2
42 38.9 1.75 3.5 0.7 42 39.5 1.9 2
45 41.9 1.75 3.5 0.7 45 42.5 1.9 2
50 46.3 2 4 0.7 50 47 2.2 2
55 51.3 2 4 0.7 55 52 2.2 2
56 52.3 2 4 0.7 56 53 2.2 2
60 56.3 2 4 0.7 60 57 2.2 2
65 61.3 2.5 5 0.7 65 62 2.7 2.5
70 66 2.5 5 0.7 70 67 2.7 2.5
75 71 2.5 5 0.7 75 72 2.7 2.5
呼び 止め輪 適用する穴
(参考)
1 2 d₃ t b r参考 d₁ d₂ m n
最小

止め輪の端末の形状は、図示のものでなくてもさしつかえない。
呼びは1欄のものを優先し、必要に応じて2欄の順とする。
受渡当事者間の協定により、t1.6としてもよい。ただし、そのときmは1.75とする。

C形穴用偏心止め輪(単位 ㎜)80-200

呼び 止め輪 適用する軸(参考)
1 2 d₃ t b r
参考
d₁ d₂ m n
最小
80 75.1 2.5 5 0.7 80 76.5 2.7 2.5
85 80.1 3 6 0.7 85 81.5 3.2 3
90 85.1 3 6 0.7 90 86.5 3.2 3
95 90.1 3 6 0.7 95 91.5 3.2 3
100 95.1 3 6 0.7 100 96.5 3.2 3
105 98.8 4 8 1.2 105 101 4.2 4
110 103.8 4 8 1.2 110 106 4.2 4
120 113.8 4 8 1.2 120 116 4.2 4
125 118.7 4 8 1.2 125 121 4.2 4
130 123.7 4 10 1.2 130 126 4.2 4
140 133.7 4 10 1.2 140 136 4.2 4
150 142.7 4 10 1.2 150 145 4.2 4
160 151.7 4 10 1.2 160 155 4.2 4
170 161.2 4 10 1.2 170 165 4.2 4
180 171.2 4 10 1.2 180 175 4.2 4
190 181.1 4 10 1.2 190 185 4.2 4
200 191.1 4 10 1.2 200 195 4.2 4
呼び 止め輪 適用する軸(参考)
1 2 d₃ t b r
参考
d₁ d₂ m n
最小

止め輪の端末の形状は、図示のものでなくてもさしつかえない。
呼びは1欄のものを優先し、必要に応じて2欄の順とする。
受渡当事者間の協定により、t1.6としてもよい。ただし、そのときmは1.75とする。

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