CAE|仮想モデルを構築し、様々な条件をシミュレーションする

CAE

製造業やエンジニアリングの現場において、設計や解析の高度化が求められている現代では、CAEの活用が幅広い領域で進んできている。試作品をつくる前の段階で、コンピュータ上に仮想モデルを構築し、様々な条件をシミュレーションすることで、材料選定や構造の強度評価、熱解析などを効率よく行うことができる。これにより開発期間が短縮し、コストの抑制が期待されている。さらに競争力を高めるためにも、データを駆使した定量的な設計判断が不可欠であるが、その中核を担う技術としてCAEが浸透しつつある。

CAEの定義

一般的にCAEとは、Computer-Aided Engineeringの頭文字を取った呼称である。設計や製造工程をコンピュータで支援する手法の総称であり、CADやCAMといった他のシステムとともにモノづくりの効率化を推進する。製品の形状や特性を仮想空間で再現し、応力や熱伝導、流体の流れなどの物理現象を数値解析によって把握することが中心となる。その結果に基づき設計案を修正し、より高品質な製品を目指して試作回数の削減や開発期間の短縮を狙うものである。

CAEの役割

製品開発プロセスでは、実際に試作品を作り何度もテストを繰り返すことが多い。しかし近年は開発のスピード化が叫ばれており、試作にかかる時間やコストは企業にとって大きな課題となっている。この点でCAEは、仮想環境で設計の妥当性や製造時の不具合をあらかじめ予測できるため、無駄なコストと時間を大幅に削減できる。加えて過酷な環境や危険を伴う実験のシミュレーションも実機を使わずに行えるため、安全性の観点からも注目されている。実験の段階で得られるデータを解析にフィードバックし、設計の最適化へとつなげるシームレスな流れを構築するのがCAEの大きな役割である。

CAEの種類

一口にCAEといっても、その用途は多岐にわたる。例えば構造解析では、応力やひずみを解析することで製品の強度や剛性を事前に評価できる。熱解析では、熱伝導や対流、放射による温度変化をシミュレーションし、熱膨張や熱歪みの問題を予測する。流体解析では、空気や液体の流れを可視化して、抵抗や圧力損失の低減方法を検討する。さらに複合解析では、構造と熱を同時に扱ったり、流体の影響を考慮して材料選定を行うなど、多角的な視点での解析が可能である。こうした専門領域ごとに異なるアルゴリズムやソフトウェアが活用されており、目的に合った解析を選択することが重要である。

CAE導入のメリット

製品開発にCAEを導入する最大のメリットは、試作回数の削減と開発期間の短縮にある。仮想空間で詳細な検証ができるため、設計段階で不具合や性能上の課題を洗い出せる。こうした早期検証によって、リスクヘッジがしやすくなり、開発コストを抑える効果も期待できる。さらに設計変更のスピードも向上し、異なる構造案を素早く比較検討することで、最適解を導くまでの時間が短くなる。実験とシミュレーションを組み合わせることで精度をさらに高めることも可能であり、製品開発の全体最適を図る上で欠かせない基盤技術といえる。

CAEの活用事例

近年は航空宇宙、自動車、家電、医療機器など幅広い産業がCAEを積極的に採用している。航空宇宙分野では、複雑な気流解析を行い燃費効率や飛行安定性の最適化を進めている。自動車では車体剛性や衝突安全性の向上を図り、性能評価の時間を大幅に短縮している。家電製品でも騒音や熱対策を事前に解析し、快適性を向上させる設計が可能になった。また医療分野では人体や医療デバイスの挙動をシミュレーションすることにより、安全性と効率を高める開発が行われている。このようにモノづくりの現場で高度化するニーズに応えるべく、CAEは欠かせない存在として定着している。