金属加工|切削から塑性まで形と強度を高める

金属加工

金属加工とは、金属材料に塑性変形・切除・接合・凝固・積層などの手段を施し、所望の寸法精度・形状精度・面粗さ・機械的性質を実現する総称である。主要な群は切削研削などの除去加工、鍛造・圧延・曲げ・絞りなどの塑性加工、溶接ろう付けなどの接合鋳造・粉末冶金などの成形、そして金属積層造形である。工程設計はJIS・ISOの公差体系や面粗さ記号、材料規格を踏まえて行い、設計―製造―検査の一貫性が品質とコストを左右する。

材料特性と加工性

加工性は結晶構造、降伏強さ、延性、硬さ、熱伝導率などに依存する。低炭素鋼は延性が高く塑性加工向き、快削鋼は硫黄添加で被削性を高める。アルミは熱伝導率が高く切削熱が逃げやすいが、バリ対策が要る。チタンは低熱伝導・高強度ゆえ工具に厳しく、銅合金は凝着に注意する。材料選定は金属加工プロセスの適否を決定づける。

切削加工の基礎

旋削・フライス・穴あけは代表的で、すくい角・逃げ角・刃先丸みが切削機構を支配する。切削速度v、送りf、切込みdの最適化と切削液の選択が工具寿命と面粗さに直結する。工具材はHSS、超硬、cBN、ダイヤモンドを使い分け、難削材にはコーティング超硬が有効である。びびり抑制には剛性確保と共振回避が重要である。

研削・研磨

研削は多数砥粒の確率切削で、砥粒・結合剤・気孔の三要素を持つ砥石を用いる。焼け・クラックを避けるために周速、切込み、ドレッシング、冷却管理を最適化する。面粗さはRaやRzで規定され、鏡面にはラッピングやポリッシングを併用する。精密仕上げで金属加工全体の機能信頼性が決まる。

塑性加工(鍛造・圧延・絞り)

塑性加工は再結晶温度との関係で冷間・温間・熱間に分類する。鍛造は結晶流れを制御して強度と靭性を高め、圧延は板・条材を高能率で製造する。深絞りや曲げでは加工硬化とスプリングバックを見込み、ビードやブランクホルダでしわ・割れを制御する。

鋳造

砂型鋳造は汎用性が高く、ダイカストは薄肉・量産に適す。ロストワックスは複雑形状と高精度に強い。凝固収縮や偏析、引け巣、ガス欠陥を抑えるため押湯配置、湯口設計、脱ガスが鍵である。鋳肌・寸法公差は後工程の切削余肉と合わせ込む。

溶接・接合

被覆アーク、TIG、MIG、レーザー、抵抗スポットなどを使い分ける。ろう付けや摩擦攪拌接合は母材溶融を避けたい場合に有効である。熱影響部HAZの脆化、残留応力、歪みを見込み、開先・治具・予熱後熱で管理する。非破壊検査で欠陥を検出し、構造健全性を担保する。

粉末冶金

金属粉末を圧粉し焼結して近似ネットシェイプを得る。複雑内在孔や含油軸受など機能性を付与しやすい。密度勾配や寸法変化を考慮した金型設計が必要で、後焼結の浸炭・含浸で特性を補強する。

熱処理

焼入れ・焼戻し・焼ならし・調質は鋼のミクロ組織を制御する基本手段である。表面硬化には浸炭・浸炭窒化・窒化を使い、歪みは治具・焼入れ媒体・等温処理で低減する。温度履歴は硬さ・靭性・疲労強度に直結する。

表面処理

めっき(亜鉛・ニッケル)、アルミの陽極酸化、PVD/CVDコーティング、ショットピーニングなどで耐食・耐摩耗・疲労特性を向上する。下地粗さと密着性、環境規制適合を確認し、機能に応じて多層化やシーリングを施す。

金属積層造形(AM)

PBF、DED、Binder Jettingなどの方式があり、トポロジー最適化で軽量・一体化設計が可能である。サポート設計と熱履歴管理で反り・割れを抑制し、機械加工やHIPで後処理する。試作から量産移行には統計的検証と材料データの整備が不可欠である。

設計とDFMA

基準面の設定、クランプ可能性、工具到達性、逃げ溝、切欠きRなどを考慮し工程を設計する。DFMAで部品点数削減と標準化を図り、必要機能に対して最小加工を選ぶ。設計者が金属加工の制約を理解することで品質とコストが両立する。

精度・面粗さ・公差

幾何公差GD&TやIT等級で形体の許容差を定義し、面粗さ記号で機能面の要求を示す。測定はCMM、プロフィロメータ、ゲージで行い、測定不確かさを管理する。基準出しと測定基準の一致が失敗を防ぐ。

生産システムと自動化

CNCとCAD/CAMでデジタル統合し、治具設計と工具管理で段取りを短縮する。工程能力Cp/CpkとSPCでばらつきを監視し、ロボット、AGV、IoT、MESで搬送・稼働を可視化する。SMEDやTPMの適用で金属加工の稼働率を高める。

安全衛生・環境

切粉の飛散と発火、回転体巻き込み、レーザー光や溶接ヒュームに注意する。保護具、インターロック、5Sを徹底し、切削液の濃度・菌管理やミスト対策を行う。RoHSやREACHへの適合は調達と工程で担保する。

代表的材料と用途

  1. 炭素鋼:機械構造一般、コストと強度のバランス
  2. 合金鋼:浸炭・調質でギヤ・シャフト
  3. ステンレス:耐食機器・食品設備
  4. アルミ合金:軽量部材・筐体・放熱
  5. 銅合金:導電・熱交換・摺動
  6. チタン合金:高比強度・耐食、航空・医療
  7. ニッケル基:耐熱、タービン・化学装置

調達とコスト

素材は板・棒・形材・鍛造品・鋳物などから選定し、歩留まりを見込む。加工時間、工具費、治具費、検査費、表面・熱処理費、物流費がコストドライバである。JIS・ISO規格材の採用と適正公差で再現性を高め、サプライヤ協業で金属加工の総合最適を図る。