鍛造|高温で叩き加工し強度を高める技術

鍛造

鍛造は、火造りとも呼ばれ、十分に過熱した金属にハンマやプレス機で圧縮や衝撃を加えることで目的の形状や性質を得る加工技術である。刀鍛冶が刀を作るように加熱した金属を叩くことで、金属組織が緻密になり、切削加工に比べて強さや硬さを得ることができる。鍛造用材料としては、、青銅、黄銅、アルミニウム合金に代表される。

鍛造の歴史

古代エジプトメソポタミア文明では、や青銅を用いた鍛造技術が発達していた。中世ヨーロッパでは、鍛冶屋が農具や武器の製造を担い、社会インフラの一部を支えていた。産業革命以降、蒸気機関や機械プレスの登場により、鍛造は効率的な大量生産が可能となり、現代の産業の基盤を築いた。

鍛造の種類

鍛造には主に自由鍛造、型鍛造、圧延鍛造の3種類がある。自由鍛造は大型部品の製造に適しており、鍛冶屋のような手作業に近い方式で金属を加工する。型鍛造では金属を加熱し、特定の形状を持つ型に押し込むことで精密な形状を得る。圧延鍛造は金属を回転するロール間に通して薄い形状にする方法で、板状や棒状の製品を作るのに用いられる。

自由鍛造

自由鍛造は、金型を使わずに熱した金属をハンマやプレス機で打つことで成形である。この方法は大形、不規則形状、型鍛造を行なう前の素材(荒地)、小量生産に適している。加工者は手動で加工し、職人がたがね、へし、タップなどの簡単な工具を用いて形状を自由に調整できるのが特徴である。

型鍛造

型鍛造は、特定の形状を持つ金型金属を押し込み、目的の形状に成形する加工法である。製品の形状に応じて型彫りした上型と下型を用い、上型をハンマに、下型を金敷きに取り付けて、この間に赤熱した素材を置き、上型を落下させて鍛造を行なう。鍛造型には、1度打ちで所要の形状に仕上げるものと、2度打ちまたは3度打ちを行なって仕上げるものがある。自由鍛造に比べて大量生産することができるが、大きな力で鍛造を行うため大型の装置が必要となる。

圧延鍛造

圧延鍛造は、回転するロール間に金属を通して形状を加工する方法である。この技術は特に板状や棒状の製品を製造する際に用いられる。圧延鍛造は金属の厚みを均一化しながら、表面品質を向上させる効果がある。

鍛接

鍛接とは、主として軟鋼を加熱し、つち打ちによって接合する方法である。約1300-1400度まで上げ、強い衝撃を与えることで接合する。鍛接される材料は、高温に加熱されるため、酸化鉄その他の化合物が生じやすいため酸化剤などを使う。

すえ込み鍛造

すえ込み鍛造とは、直径の小さなを、ハンマやプレスなどで徐々に押し込むようにして、いろいろな形状の製品を作る加工法である。材料が少なくてすみ、多量生産に適しており、軸受などの部品を作ることができる。

鍛造の特徴

鍛造の特徴について、第一に、鍛造によって金属の内部組織が緻密化し、強度や靭性が向上する点が挙げられる。特に、疲労強度や耐衝撃性が重要な部品に適している。第二に、金属内部の不純物を取り除く効果があるため、欠陥の少ない高品質な製品が得られる。また、鍛造により部品の形状を正確に仕上げることができるため、後工程での加工が軽減され、コスト削減にもつながる。

強度や靭性

鍛造は、加熱した金属を叩いて成形することで、金属の内部組織を緻密化し、通常の金属よりも高い硬度や靭性を持つ材料を得ることができる。材料の種類によって異なるが、切削加工と比較して、鍛造品はおおよそ2~5倍の硬度向上が期待できる。

変形

鍛造では、金属に圧縮方向の力を繰り返し与えることで形状を変化させる。この際、圧縮方向の寸法は減少し、それに直角な方向の寸法は増加する。これは、粘土を押しつぶすように力を加えると材料が広がる性質に似ている。鍛造の変形プロセスは、金属の内部組織を均一化し、製品の強度や靭性を向上させる。

鍛練効果

鍛練効果とは、過熱した材料を繰り返し叩くことで、内部の粗大結晶を破壊し、全体的に組織を緻密化させる現象を指す。この過程で材料内部に圧縮応力が作用し、機械的性質が向上する。鍛練効果により製品の強度や靭性が増し、使用する材料の量を削減できるため、約20%の軽量化が可能となる。

鍛造比

鍛造比とは、鍛造前と後の断面積の比である。鍛造によって断面積4が1まで小さくなった場合、鍛造比は4である。

鍛造用材料

鍛造用材料とは、熱間において著しく可塑性を有するもので、、青銅、黄銅、アルミニウム合金である。鉄鋼はその強度と靭性から広く用いられており、その代表は、炭素量が2%以下の汎用の鉄鋼材料である機械構造用炭素鋼鋼材(S-C材) や炭素工具鋼材 (SK材) である。自動車や建設機械の部品製造に使われている。アルミニウム合金は、軽量で耐腐食性が高い素材であるが、このような機械的性質を向上を行いたいとき、鍛造により成形する。自動車、航空宇宙産業、電子機器などはアルミニウム合金の鋳造品が一般的である。青銅、黄銅の銅合金は導電性や耐摩耗性が優れており、電気部品や配管部品に適している。

熱間鍛造

鍛造にはの多くは熱間鍛造で作られている。熱間鍛造は、金属を高温に加熱して柔軟性を高め、加工する方法である。この技術は主に鉄鋼アルミニウム合金などの金属材料に用いられ、加熱によって変形抵抗が低下するため、複雑な形状を容易に成形できる。一般的にの場合は1200°Cから1300°C、アルミニウム合金では400°Cから500°Cで加熱される。熱間鍛造は、部品の強度や靭性を高めると同時に、材料の利用効率も向上させる利点がある。

材料の鍛造開始温度(最高温度)と鍛造中止温度(最低温度)

最高温度(℃) 最低温度(℃)
普通鍛鋼 1200 750
高張力鋼 1200 850
高炭素鋼 1150 900
ニッケル鋼 1200 850
高速度鋼 1200 1000
ネーバル青銅 800 650
マンガン青銅(1.5%Mn以下) 750 500
マンガン青銅(4%Mn以下) 850 700
ニッケル青銅(2%以下) 850 550
ニッケル青銅(15%以下) 950 800
アルミニウム青銅 850 600
りん青銅 800 650

冷間鍛造

冷間鍛造は、金属を加熱せずに常温で加工する方法である。この技術は、加熱工程を省略するためエネルギーコストが低く、加工精度が非常に高いという利点がある。ただし、金属が常温では変形しにくいため、加工には非常に大きな力が必要であり、使用する金型も高い強度が求められる。そのため、冷間鍛造は比較的小型で精度が求められる部品の製造に限定的に用いられる。

鍛造機械の種類

鍛造機械の種類は、大きくハンマおよびプレスのふたつに分けられる。鍛造加工には材料の大きさに適した容量をもつ鍛造機械を選ぶ必要がある。

ハンマ

ハンマには、ドロップハンマ、空気ハンマ、蒸気ハンマなどの種類がある。これらは、落下エネルギーを利用して金属に打撃を加える機械である。駆動源として圧縮空気やモータが用いられ、重量のあるハンマ頭が上下動することで加工物を打つ仕組みとなっている。ハンマの性能は落下部の重量によって規定され、1トンや3/4トンなどの規格がある。

プレス機

プレス機とは型鍛造に用いられる工作機械で、金型を取り付けて自動的に金属を成形する。駆動源としてモータ、水圧、油圧が用いられ、安定した加圧力を提供するのが特徴である。構造は主にシリンダ、プレス本体、ポンプ、圧液供給装置、操作装置から成り、効率的で高精度な加工が可能である。プレスは大量生産や複雑な形状の部品製造に適している。

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