2026 イスラエル総選挙
2026 イスラエル総選挙は、2026年10月27日に実施されたクネセト(国会)議員選挙である。定数120を全国1区の比例代表制で争い、投票率は77.7%に達した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相が率いる与党陣営は53議席で最大勢力を保ったが、過半数の61議席には届いていない。ガディ・アイゼンコット元軍参謀総長を軸とする野党陣営も48議席にとどまり、どちらも単独では政権を組めない結果となった。アラブ系2政党は計19議席へ伸ばし、組閣の行方を左右する位置に立っている。本記事は2026年10月31日時点の情報に基づく。
開票結果:与野党とも過半数に届かず
中央選挙管理委員会は10月30日未明に開票結果を発表した。有効票は約568万票。第1党はリクードの27議席(得票率20.51%)で、次点はアイゼンコット氏が率いる中道右派新党「ヤシャル」の21議席だった。世論調査の平均ではリクードとヤシャルが22議席ずつで並んでおり、リクードは予想を5議席上回ったことになる。下表に議席を獲得した11政党をまとめる。
| 政党 | 陣営 | 議席 | 得票率 |
|---|---|---|---|
| リクード | 与党 | 27 | 20.51% |
| ヤシャル | 野党 | 21 | 16.06% |
| トゥギャザー(ベネット=ラピド) | 野党 | 12 | 9.34% |
| 統一リスト | アラブ系 | 11 | 8.80% |
| 民主党 | 野党 | 8 | 6.44% |
| ラアム | アラブ系 | 8 | 5.92% |
| イスラエル我が家 | 野党 | 7 | 5.93% |
| ユダヤの力 | 与党 | 7 | 5.73% |
| 統一トーラー・ユダヤ主義 | 与党 | 7 | 5.50% |
| シャス | 与党 | 6 | 5.26% |
| 宗教シオニズム=ゼフート | 与党 | 6 | 5.09% |
解散から投票日までの流れ
前回選挙は2022年11月で、史上最も右寄りといわれる政権が発足した。国会は2026年7月12日、17日付での解散を決めている。背景にあったのは、ガザでの戦闘とイラン情勢をめぐるネタニヤフ氏への批判である。選挙戦では、6月27日にネタニヤフ氏が「右派政権でも、アラブ系政党に頼る左派政権でもない挙国一致政府」を掲げた。10月19日にはトランプ米大統領が同氏への「全面的支持」を表明している。右派の票割れを恐れたネタニヤフ氏は、10月23日に小政党へ撤退を促した。ところが「予備役・経済」(2.72%)と、退役准将ウィンテル氏の「イスラエルの民」(1.68%)は届かず、両党の約25万票が議席に結びつかなかった。
阻止条項が決める勝敗
イスラエルの選挙制度は、全国を1つの選挙区として得票率に応じて議席を割り振る。建国以来、単独で過半数を取った政党はない。小党乱立を抑えるのが阻止条項で、議席獲得には有効票の3.25%が必要になる。今回の基準は18万4547票だった。わずかな得票差が数議席を動かす仕組みのため、各陣営は連立の組み合わせを前提に候補者名簿を調整する。名簿の統合や撤退要請が頻発するのは、この制度の帰結である。
与党陣営と野党陣営の顔ぶれ
与党陣営は、リクード(27)、ユダヤの力(7)、統一トーラー・ユダヤ主義(7)、シャス(6)、宗教シオニズム=ゼフート(6)の5党で計53議席となる。報道によれば、改選前の約68議席から15議席の後退である。野党陣営は反ネタニヤフで一致するユダヤ系4党で、合計48議席を得た。
- ヤシャル:アイゼンコット氏が率いる中道右派、21議席
- トゥギャザー:ベネット、ラピド両元首相の統一名簿、12議席
- 民主党:中道左派、8議席
- イスラエル我が家:リーベルマン氏の党、7議席
アラブ系政党の伸長
統一リスト(11議席)とラアム(8議席)を合わせた19議席は、現有の10議席からほぼ倍増となる。アラブ系政党が連立政権に加わった例は、2021年発足のベネット=ラピド政権でのラアムに限られる。ネタニヤフ氏は選挙前、アラブ系政党に依存する政権を作らない考えを示していた。野党陣営の48議席に19議席を足せば67議席で、数字の上では過半数を超える。しかし、その枠組みが実際に成立するかどうかは別の問題だ。
組閣の手続きと予算への影響
開票結果は11月4日、イツハク・ヘルツォグ大統領に正式提出される予定である。以後の流れは次のとおり。
- 大統領が各党党首と協議する
- 過半数の支持を得られる見込みの議員に組閣を要請する
- 要請を受けた議員は28日以内に連立を成立させる
- 必要なら14日の延長が認められ、最長で42日になる
組閣に失敗すれば、別の議員へ要請が回るか、再選挙に進む。政権の枠組みが決まらない間は、新年度予算の審議も動かない。予算が未成立の年初には、前年度予算の12分の1ずつを毎月執行する継続予算で運用されるのが通例である。イスラエルに取引や投資を持つ企業は、閣僚人事と予算案の提出時期を並べて見ておくとよい。ガザやイランをめぐる中東情勢の判断も、新政権の顔ぶれ次第で変わるからだ。ネタニヤフ氏が率いる交渉が長引けば、予算執行の遅れは数か月単位に及びうる。
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